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『小説家になる 新人賞を取るための12講』 [☆]

・常に自分はいるべき場所にいない、ここにはまっていないという気持ちは、たぶん書くことの本質的な原動力だと思うんです。

・村上春樹は根本的には他者と出会いたくない人なんです。自分のなかで自足できるなら自足したい。だけど、他者を想像する力があるから作家になりうるのです。

・もともと外国語で書かれた小説は原文で読めればそれにこしたことはないけれども、原文ではなくても、翻訳を読むことは日本語を豊かにする。

・無意味なことに非常に神経質になると、ユーモアを呼びます。

・彼の作品では写される対象が動かなくなったときにカメラが動き、対象が動いているときにカメラは動くのを止める。

・人物を描くにもクローズアップしたり、引いてみたりする。背景を描写すればカメラを引いたことになるし、人物が手に持ったものを描写すれば、クローズアップになる。

・ストーリーとプロットには有名な定義があります。ストーリーは「王が死んだあとしばらくして王妃も死んだ」、プロットは「王が死んだあと、心痛のあまり、しばらく後に王妃も死んだ」ということです。つまり、出来事が連鎖する因果関係の有無です。

・なぜ虫になったのかは一切問わない。そのかわり、虫になるとどういう不都合が現れてくるかということだけを徹底して書くわけです。これはミステリと逆の方法で、冒険小説のやり方です。

・デペイズマンのペイは国のことで、デペイゼは国を追放するという意味の動詞。デペイズマンは国を追放すること、されることが本来の意味で、そこから、あるべき場所にある物体を別のところに移すというのがシュルレアリストの言うデペイズマンです。

・小説を読む根本の原動力には、いったいなぜそうなるんだと謎を追求する面白さがある。

・小説はサブリミナルな作業だということです。細かな伏線を張ったり、ちょっとした物事に注意を喚起したりして、読む人の記憶に一定の情報をインプットして、読者の意識を操作し、作者の望む方向に持っていくという意味で、サブリミナルな作業です。

・行動の描写には主語、動詞、目的語だけでいい。というより、他の要素、とくに副詞は、文章のスピードを著しく減殺する。「すばやく」と説明した瞬間、文章のスピードは四文字分遅れるわけです。

・ともかく書くこと、である。できるかぎり毎日一定の時間をとり、何かを書き続けるようにする。そうするだけでも、価値ある何らかの結果につながるし、少なくとも執筆技術の向上には間違いなく役に立つ。

・小さな不正確が繰り返されると、結局は全体が不鮮明な作品になってしまうのだ。

・エルヴィス・プレスリーは非常に独特な人手、彼に影響を受けて何か新しい音楽の新しいスタイルをつくった人は誰もいない。それなのに、普通の人の生き方を変えてしまった。

・五百円ぐらいの金が「ないよ」と言ったって話にはならない筈である。あることはわかりきっているのだから「ダメよ」と言われた方が気持ちよかった。「ないよ」という嘘に対して、「ダメよ」なら分かるよ、おまえ持ってるじゃないか。



小説家になる!―天才教師 中条省平の新人賞を獲るための12講 (CWSレクチャーブックス)

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  • 作者: 中条 省平
  • 出版社/メーカー: メタローグ
  • 発売日: 1995/05
  • メディア: 単行本



タグ:中条省平
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