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『役立つ新書が3分でわかる本』 [☆☆]

・「自分とは物語である」と説くんです。その「自分の物語」をどう維持して、あるいは修正していくか。そのためには「物語」である以上、聞き役になってくれる他人のコミュニケーションが必要だと述べています。

・中流の生活を送っているごく一般的な人は、40~50歳くらいになるとやや保守的な本が読みたくなるんですよ。自分の立場や考え方を、読書で補強するために。

・数年前まで、「石」が多い玉石混淆だったのが、総数が数百万を超すにいたって、「玉」の数も無視できない量になった。仮に100個のうちにひとつの「おもしろいブログ」があれば、日本なら5万の注目すべきブログが存在することになるからだ。

・「下流」とは単に所得が低いことをいうのではない。コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生への意欲が低いのである。その結果として、所得が上がらず、未婚のままである可能性も高い。

・彼らは都合のいいデータや学説、論理のみを用いて、環境問題対策の名目で利益を誘導している。しかも「自然を守る」という大義名分があるから、反論するのは厄介だ。

・もっとも重視するのは「卑怯を憎む心」である。「万引きはなぜいけないのか」という問いに、「法律違反だから」と答える子供を育ててはいけない。

・長期的に経済発展する国は、必ず数学や理論物理学のレベルが高く、そのことは歴史を振り返ってみても反例はないそうだ。

・アメリカは初等中等教育が十分に機能しなくても、富の力で海外の天才秀才を集めることができる。しかし、日本のような狭い国土に乏しい資源の国では、国民の高い知的水準が繁栄の原動力であり命綱である。

・美しい田園風景を持つイギリスや、エメラルドの島と謳われたアイルランドは、天才の頻出地として知られている。インドも世界的に傑出した数学者や物理学者を複数輩出しているが、彼らはいずれも、壮麗な寺院の立ち並ぶ、インドでもとりわけ美しい地域の出身なのだ。その土地に存在する美が、天才の発生と密接に関係しているという。

・当時、GHQのメンバーには社会主義的理想を持った者が多く、彼らは日本を「社会主義の実験場」にしていたというのだ。

・言葉とは思想そのものである。言葉が消えるということは、その言葉が表わす考え方や情緒自体がなくなっているということなのだ。逆にいえば、語彙が豊富な人は、それだけものの感じ方も鋭くて豊かだということになる。

・要は費用(=支出)の合計をを減らすことができればいいのだから、細かい節約を何十回、何百回繰り返すよりも一度の大きな節約をする方が大きな効果を上げる場合もあるのだ。

・「タウリン1000ミリグラム配合」 1000ミリグラムは実際のところ1グラムでしかない。しかし「タウリン1グラム」と比べれば、そのインパクトの差は一目瞭然。

・「24時間100キロマラソン」というと困難なチャレンジに思えるが、実際は1時間に4キロ弱──早歩き程度のスピードで達成できる。

・上場した以上、それは会社に値段をつけて売りに出していることと違いはない。

・働き盛りの人がボケていく過程では、何もしていない場合よりも、むしろ何かひとつのことをやりすぎている場合が多い。結局、仕事以外の脳の使い方ができなくなってしまうのである。

・もっともしてはいけないのは「フリーズする場面から逃げること」だという。感情系の要求にしたがって逃げてしまうと、訓練の機会を失い、感情を抑えながら思考系を働かせる力がますます落ちてしまうという悪循環に陥る。

・パーソナリティは、自分がいかに人生を磨いてきたかが映る鏡なのである。

・素粒子や中性子といった量子は、そこにある「コト」はわかっているのに、その「モノ」は観測してみないとどこにあるのかわからない。存在そのもの(=モノ)ではなく、そこに存在するという現象(=コト)でしかとらえられないのが、現代物理学の世界である。

・人間は、自分が知りたいと思う情報しか受け入れることができない。それ以外の情報は、無意識のうちに遮断してしまう。これをバカの壁というのだ。

・「わかっている」という人のうち、大半の人は「わかっていると思い込んでいる」場合が多いのだ。

・本来、個性とは誰にも真似できないもの、つまり「身体」に宿るものである。

・入社して組織に入れば、徹底的に共通了解を求められる一方で「個性を発揮しろ」といわれる。しかしそれは「会社が期待する個性」にすぎない。

・「自分の個性は何だろう」という悩みに答えはない。それよりも「両親や友達の気持ちが」そういうことのほうが重大な問題だ。他人の気持ちがわからなくて、共通性の上に成り立つこの社会で生きていけるというのだろうか。

・男性でも女性でも立派な人は、常に丁寧な言葉で話すように努めている。

・花や木の名前を知っているということは、自然をいとおしむ態度につながる。

・社会人ともなると、「あの人、話し方は頭が悪そうだけど、本当は賢いよね」ということにはならない。「賢いかどうかの判断基準」が、会話に集約されているからだ。

・「誰それは、こう言ってたよ」と、他人の判断に寄りかかって自分の考えを示さない場合も「知性は感じられない」と切り捨てる。

・日本のマンガの表現力の高さは世界の中でトップクラスだという。それは、日本のマンガが「ノンバーバル・コミュニケーションを意識的に活用している最先端の領域」であるためだという。

・賢いか愚かかは頭脳で決まるわけではない。むしろ、話し方や振る舞い方で人は他人を評価するといわれる。「なぜか、実力を評価してもらえない」という人は、話す内容ではない部分に何か原因があるのだろう。

・悪役にこそストーリーの主導権がある。つまり、ほぼすべての物語は悪役の起こす数々の悪行が起点となっている。換言すれば「悪役が毎回、計画を立ててお話を進めるのに対して、正義の味方はリアクションするだけ」という構図で進行していくのだ。

・世の中においては「世界を支配している」という「特権」がなければ手に入らないものなど存在しない。すべての物質、事象は金で換算できる、「単に値段の問題でしかない」のだ。

・「悪」とは「人々の幸福と平和」を破壊することにある。それは「その時代に信じられている価値観に反抗すること」と換言できる。つまり、現代の高度資本主義社会における「悪」とは「自由経済原理」や「情報の自由化」などの価値観を真っ向から否定することなのだ。この結果として、著者が最後に導き出した「現代の世界征服」とは、「人に優しく、環境に優しく」「本やネットの情報よりも、身近な「目上の人」つまり親や先生や上司の言うことを信じて行動する社会」を創造すること、というパラドキシカルなものであった。

・「言語技術」とは、「情報を取り出し、解釈し、自分の考えを組み立て、判断する力」である。

・若者が自分の求めたコミュニケーションが環境や状況に一致しない場合に「びみょー」「うざい」といった曖昧な言葉でその場をやり過ごすのも、言語技術の訓練が足りないからだ。

・「おたく産業」は「既存の市場経済の外側にある」ものであり、国に「許可」されたり「庇護」されたり、それ以前に「認知」された時点で衰退する。



役立つ新書が3分でわかる本

役立つ新書が3分でわかる本

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 2008/03
  • メディア: 単行本



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