SSブログ

『史上最大のボロ儲け』 [☆☆]

・長期間にわたり市場全体のパフォーマンスを上回ることができる投資信託などほとんど皆無である。インデックス・ファンドは安価でパフォーマンスもいいが、こうした投資形態はいずれも、上げ相場でなければ利益は出せない。

・理想としていたのは、できる限りリスクを限定しながらも、それなりの利益が見込める投資だった。常々こう言っていた。「マイナス面に注意しろ。プラス面なんて気にしなくていい」

・ポールソンは自分の考えを話したがらないタイプの人間ではないか、あるいは単に自分の考えを持っていないのかもしれない。アーロンはそう思った。

・ローン会社はまた、すでに住宅を所有している人々には、その住宅を担保にしてローンを組むよう促した。これを「第二の住宅ローン」と呼ぶと、家を質に入れているような気分になるが、「資産活用」と呼べば悪くは聞こえない。

・多くの州では、大した審査や教育を受けなくても住宅ローンを販売することができた。かえって電気業者や美容院のほうが審査が厳しかったぐらいである。

・住宅ローンの専門家でさえ住宅価格の趨勢を見極めようとすることなどほとんどなかった。当時の専門家の意見によれば、こうしたローンには、住宅市場が健全なものかどうかというよりも、金利やインフレの傾向のほうが重要だった。

・ほとんどのアナリストが、全国的な差し押さえ件数や住宅価格の高騰の仕方といった基礎的なデータさえ持たずに、ただ住宅ローン相互の優劣を比較するばかりだった。

・プログラミングをしていたおかげで、頭で考えたことを検証するには、問題の分析や試行錯誤、それにシミュレーションを行うことが大切だとわかったんだ。

・株の空売りは、何らかの理由で株価が上昇してしまった時に大きな損害を被る。しかしCDSによる損失は一定額以上にはならない。

・貸し手に注意するんですよ。借り手じゃありません。借り手というのはいつでも、できるだけ多く借りようとします。融資を制限するかどうかは貸し手次第なんです。貸し手が際限なく融資するようになった時には気をつけなさい。

・スーパーボウルの試合一つを取っても、どちらのチームが先に点を取るか、各クオーターに何点入るかなど、さまざまな種類の賭け方がある。これと同じように、パッケージ化された住宅ローン一組に対してさまざまな賭け方ができるように、幾種類ものCDSを作り出した。その結果、有限のサブプライムローンに対し、そのCDSは無限に増殖していった。

・あの人はどんな問題にも「洗練された答え」を見つけないと気がすまない人なんです。イタリアでは、実質的な答えと洗練された答えとは違うんですね。ソファを作るだけじゃだめなんです。美しいソファを作らないと。

・ポールソンの保有するCDSは軒並み価格が急騰した。その結果ポールソンは40億ドル以上の利益を獲得した。しかしあくまでも書類上の話である。売却しなければ現実の利益にはならない。

・その年、100億ドルという驚異的な利益を上げていた。ということは、その裏で誰が莫大な損失を被っているのか? どの企業が深刻な問題をひた隠しにしているのか? そしてこの先にはどんな結果がまっているのか?

・株の空売りには不安を感じていた。それは、株価の下落を利用して金儲けをすることに罪悪感を抱くからではない。株価はいつどれだけ上がるとも限らない。つまり空売りは、株を保有するよりもマイナス面が多いのだ。

・過去のバブルの主因は極端な低金利にあった。それがまた次ぎのバブルを生み出す可能性がある。

・来るべきバブルを見極め、それを利用して利益を上げるチャンスを握っているのは、誰よりも部外者なのかもしれない。金融のプロというものは、誰もが同じビジネス番組を見、同じ新聞記事を読んで見解をまとめるため、そこに穴があったとしても誰も気づかない。しかし、世間一般の通念に挑もうとする部外者にはその穴がわかる。

・2005、6年頃から金融システムに不安を抱いて投資家の多くは、大手銀行や政府機関、大企業の人間ではなかったというのも偶然ではない。大企業のトップに上り詰めたり、選挙に勝ったり、政府の要職に選ばれたりする人物というのは、楽観的な傾向が強い。

・薄闇の中で机に足を乗せ、何かがおかしいのではないかとじっくり考え、それに備える方法を模索するような姿は、昇進を狙う幹部には似つかわしくない。この四半期の利益を最大限に高め、短期的な収益目標を達成し、ライバル企業の一歩先を行く方法を考える姿こそ、幹部にふさわしい。

・金融システムの崩壊を、人為的ミスによるものではなく起こるべくして起こった自然災害のようなものと説明すればいい。あたかも自分に落ち度はなかったかのように振る舞い、高報酬の仕事を今までどおり続けている専門家がどれだけいることか。

・私はセーフティネットではなくトランポリンを作りたいのです。社会の底辺に落ちた人々が復活できるような機会を提供しなければなりません。



史上最大のボロ儲け ジョン・ポールソンはいかにしてウォール街を出し抜いたか

史上最大のボロ儲け ジョン・ポールソンはいかにしてウォール街を出し抜いたか

  • 作者: グレゴリー・ザッカーマン
  • 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ
  • 発売日: 2010/12/09
  • メディア: 単行本



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

トラックバック 0