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『「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱』 [☆☆]

・戦後の日本社会は「鉄腕アトム」と「あしたのジョー」に影響を受けた団塊の世代が作り上げた。

・団塊の世代にとって日本社会は自分たちが作り上げるものだったが、新しい世代にとっては完成した社会だった。

・無いものは無い! 確認せい! お前にまだ残っておるものは何じゃ!

・証拠なんて待っていたら何も防げないでしょう! 敵はその目で見極めなさい!

・当時「球団経営には地域発展に尽くすという大きな理念を持った企業があたるべきだ」と声高に反対を表明した当時の県知事は、神奈川県としてのサポートの具体的な約束をしないまま翌シーズンに入る前に東京都知事選へと転出を表明し退出する。

・腐った組織に所属していることがわかっていて、なおそこにとどまり、そこで何とかしようと頑張る特性を持っているのが、ガンダム世代である。

・少年期(9から12歳)に起きた大事件はその人間の人生観の形成に大きく影響する。またティーンエイジ(13~19歳)に起きた大事件は、その後の人生における行動規範の原型を作り、青年期(20~23歳)の大事件が行動規範の完成に影響する。

・人ひとりを騙すのは犯罪だが、何千万人を騙すのは政治である。

・いつでもコミュニケーションできるし、いつでも集まれるのが仲間。これはそれ以前の世代から考えるとある意味相容れない常識である。それ以前の世代であれば、帰宅後は自分の時間であって、そこに呼び出しがかかるのは非常識でもある。

・「作中で恋愛を描かない」というポリシーと、ワンピース世代の恋愛観には微妙な連関がありそうだ。草食男子は世代的にはワンピース世代とまったく被る。

・音楽CDに入っている音楽をiPodにインストールしたまま、オリジナルの音楽CDをいわゆる「中古屋」に転売する場合は、本来の知的所有権の考え方からすると許容されるべきではない行為と考えられる。

・一般的に、上司と部下がうまくいくケースというのは、上司か部下のどちらか、最低でも一方のコミュニケーション能力が高い場合である。

・手段か結果かと問われれば、「それは結果の方でしょう」となるのがワンピース世代の考え方だ。ところがガンダム世代はというと、そもそも成果で評価されるのが気に食わない。プロセスこそ重要であり、もっと途中経過を見て欲しいと内心は考えている。

・彼は最初のうちは抗議に対してうなずきながら神妙そうに話を聞くのだが、じきに状況を「論理的」に整理し始め、結局のところ、ほかにどうしようのなかったことが証明されてしまう。漫画「ONE PIECE」風に言えば、彼は「論理の実」の能力者である。この論理の実の能力者の手にかかると、どんなおかしなことでも「証明」されてしまう。どんなにこちらに分があると思っていたことでも、その場の勝負では論理の実の能力者の勝ちになる。

・最近、われわれは社会現象について、自分の意見を持たなくなりつつある。意見を持つ前に、グーグルで意見を「検索」するように変わったのだ。

・自分独自の意見を持つということは、しんどいことである。特に、世の中の空気と違う意見を持っていると生きにくいものだ。だから、「自分の意見を持たない人」「他人の意見をサーチする人」が今の日本には増えている。

・多数派の空気を読む技術を持っていない少数派を「あいつはKYだ」と名指しするのは単に面白おかしいだけではなく、安全でもある。何せ相手は「少数」なのだから。

・自分自身は革新していくが、社会や組織は変われずに矛盾を抱えたまま存在する。その矛盾を呑み込んでわれわれは存在していく。苦悩の美学がそこには存在していた。

・年収が30万円しかないのに、670万円の借金を抱えています。いずれ返せるでしょうか。先に答え。「返せない」。これが常識的な答えだろう。「頑張って年収を増やせばいい」というのはこの問題の場合は当てはまらない。というのは、この問題の正体は「国民ひとりあたりの税収と国債残高」であるからだ。

・日本でこの最低税率10%に当てはまる人がどれくらいいるかというと、実に国民全体の81%に上るというのである。逆に、最高税率を支払っている給与所得者は人口の1%に満たない――。

・日本より深刻な格差社会の問題を抱えるアメリカでは、最低税率は日本同様10%だが、その税率に相当する人は国民全体の23%と、数としては多くない。

・ワンピース世代の価値観は、自由と仲間にある。そして社会という顔の見えない集合体は、彼らにとっては守るべき仲間には属さない。

・20年かけて会社に奉仕してきたことに対する見返りを求めて、既得権のように会社にしがみつこうとする。

・未来を予測するのではなく、想定して準備する。

・未来を予測するのは難しい。だから未来は予測するのではなく想定することに方が大切だ。

・日本人は言葉をすり替えるのがうまい。太平洋戦争の敗戦が終戦と呼びかえられた頃からこの習慣は変わらない。

・私が注目したのは、当時の首相の言葉で「個人資産が1500兆円あるのだから国債はまったく心配がいらない」という発言だった。財務省は最後は国民の個人資産から債務を返済する腹でいることを首相が公言したのだ。

・個人として見れば、アメリカ人は先に消費して後から稼いで返す性向があるのは事実だが、国全体で見ればクレジットで先に消費して(道路や公民館や地方空港などを大量に作って)後から返そうという考えているという点では日本政府の方がアメリカ人個人よりもクレジット依存の程度はひどいのだ。

・パチンコも競馬も中年より上の世代の遊びだ。ギャンブルのように勝ち負けが五分五分のゲームを近頃の若者は好まない。あらかじめ情報を集めることで確実に勝てるマネーゲームがたくさんあるからだ。

・生活が苦しくなるとはいってもそれを「もう年収が3万ドルしかない」と考える人と、「まだ年収が3万ドルももらえている」と考える人では人生の楽しみ方が真逆になる。

・マスコミ報道では青少年の犯罪をセンセーショナルに取り上げることが多いが、ガンダム世代以降、若者の犯罪は大幅に減少して現在にいたっている。キレると危ないのは実は総理やその上の老人世代の方である。

・例えば個人がオークションで古着を売ったのにその収入を税務署に申告しないということは、厳密に言えば日本人の多くが行っている日常的な地下経済活動である。

・飛行機に乗って貯まったマイルを電子マネーに交換することもできるが、その場合も雑収入として申告していない人が大半だと仮定すれば、それも立派な地下経済である。

・「日本国債は国民の個人資産を担保にしているから決して破綻しない」という論法がある。「国民の個人資産を担保にしているから」という言葉は、言い換えれば「国債を返済するために国民の財産を奪うことをあてにしている」という意味だ。



「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱

「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱

  • 作者: 鈴木貴博
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2011/06/07
  • メディア: 単行本



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