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『パーソナル・インフルエンス』 [☆☆]

・マス・メディアから発する影響がまずオピニオン・リーダーのところに達し、つぎにオピニオン・リーダーを仲継ぎとして一般の人びとのところに流れてゆく。

・学級仲間との結びつきが弱い子供たちは、仲間と強く結びついている子供たちにくらべて、ラジオのアクション番組や暴力番組を、より多く好む傾向がみられるという。

・仲間集団の「メンバー」(仲間集団に融け込んでいる子供たち)と、仲間との結びつきが弱い「非メンバー」とでは、同じようにアクション番組や暴力番組を好んでも、その好みの質が異なっているという。つまり、「非メンバー」では「ゾクゾク」したり「頭にこびりついて離れない」といった、ストーリーから受ける直接的な興奮を楽しんでいるのに対して、「メンバー」グループのほうは、ストーリーのなかから仲間たちで一緒にやる遊びのヒントをひき出しているというのである。

・仲間集団のメンバーはメディアを彼らの社会生活に役立てているのに対して、非メンバーはメディアを幻想や逃避に利用することが多いというわけである。

・住宅団地の研究によれば、隣近所の人たちとかけはなれた意見を持っている人たちは、仲好しの友だち3人をあげてもらった質問において、皆から指名を受けることが「非常に少なかった」という。

・人びとは自分の意見や態度を集団に同調させることによって、その代償にメンバーとしての承認と友情とを手に入れるわけである。

・人びとの行動様式を変化させようとする試みは、講義形式や個人指導のように孤立状態におかれた個人を対象とするよりも、その問題をめぐって人びとの間に何らかの交渉が行なわれるような状況のもとで提案される場合のほうが、ずっとうまく成功するのである。

・序列の高い人びとは、序列の低い人びとにくらべると、話しかける相手の数が多い。

・序列の高い人びとの発言内容は、序列の低い人たちの発言内容にくらべて多様性を持っているという。また、前者は情報を提供し意見を開陳する傾向が強く、後者は情報や意見を仰いだうえで、それに同意ないし不同意を表明する傾向が強いという。換言すれば、発言回数の少ない人たちは「主導権」をとるよりも「反応」する傾向が強いのに対して、発言回数の多い人はしばしばひとに影響を与えようとすると、いうことができよう。

・マス・メディアの役割が意見や態度の「改変者」であるよりもむしろ「補強者」であることについては、すでに信頼できる証拠がある。

・それぞれのチームリーダーになった人を分析したところ、彼らに共通な最も目立った特徴点のひとつは、ほかのチームとの接触の程度が非常に高いということであった。

・ギャングのリーダーの威光は、一部分、彼が外の集団――政治屋、ぐれん隊、他のギャングやそのリーダーたち――と付き合いがあるということに由来していたのである。

・リーダーが、その集団成員に対してより広い社会体系の中で自分たちの占めている位置を理解させたり、その位置に満足させたりすることができなくなったような場合には、新しいリーダーが生まれてきて、そうした機能を果たすようになるということである。



パーソナル・インフルエンス―オピニオン・リーダーと人びとの意思決定 (1965年)

パーソナル・インフルエンス―オピニオン・リーダーと人びとの意思決定 (1965年)

  • 作者: E.カッツ
  • 出版社/メーカー: 培風館
  • 発売日: 1965
  • メディア: -



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