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『日本大沈没 明るい未来を迎えるための資産防衛術』 [☆☆]

・日本とアメリカという経済格差がそれほどない2国間でさえ固定相場制は無理なのに、「ギリシャとドイツ」「ドイツと南欧諸国」「ドイツと東欧諸国」のように大きな経済格差がある国の間での同一通貨は無理だ、というのが昔からの私の主張です。ユーロ問題とは本質的に、固定相場制の問題なのです。

・ギリシャ、スペイン、イタリアなどの実力に比べて、今のユーロは強すぎるのです。

・ドイツの景気はすこぶるよいのです。ユーロがドイツの国力に比べて安すぎるせいだと思います。

・ポピュリズム政治を継続していると、いずれはギリシャのように、そのつけで最貧国に落ちる可能性さえあるということです。

・債務残高の「対GDP比」でいうと、日本は先進国中で断トツに悪いのです。2012年の数字だと日本の219%に対し、ギリシャは181.2%、イタリアは128.1%、スペインは77.2%に過ぎません。

・日本の場合は、ご存知のように日本国債の91.7%を日本人が持っています。日本がこけたところで、直接的な損をするのは日本人だけです。ですから世界は騒いでいないのです。

・「騒がれているから大変だ。騒がれていないから大丈夫だ」というわけではない。

・「日本国債は大丈夫」と主張される方には、私は「では第2次世界大戦中に発行された戦時国債はどうなりましたか?」と聞くことにしています。この戦時国債は、戦後のインフレで紙切れ同然になりました。

・日本人は「財政破綻問題は、しょせんは国の問題」と自分自身の問題として真剣に考えていない。

・ほとんどの日本人は、間接的にですが、大量に日本国債を保有しています。というのも、金融機関が預かった預金で大量の日本国債を買っているからです。

・トヨタの2012年3月期の純利益は、前期比31%減の2835億円でした。一方、米国では斜陽産業と言われる自動車産業ですが、それでもフォード・モータースは2011年12月期に純利益を202億ドル、約1兆6000億円も上げているのです。

・日本企業が情けないのです。日本企業の最終利益は、欧米や韓国企業の10分の1から100分の1に過ぎないのです。

・「職人さんの思いが込められているんでしょうね~。それは日本の誇りですよね」と聞いたら、答えは「ローテク産業ではそうなんですが、均一性を求められるハイテク産業だと、それでは(=職人さんの思いが込められていると)不良品になっちゃうんです」だった。キャスターが期待していたと思われる回答がまったく返ってきませんでした。

・80年代、日本の製造業はすごかったのです。80年代は先進国しか需要がなかったので、約10億人の市場を相手に、品質のいいものをモーレツなセールスマンが売り込めば売れたのです。今は新興国が市場経済に組み込まれているので、市場規模が70億人から80億人になりました。新興国の人たちはそんなに高い品質のものを求めていません。しかし日本人はいい品質にこだわった。だから負けちゃったのです。

・円高とは「外国人が円を買っている」せいではなくて、「日本人が円を売って外国に投資しない」方が主因だと思います。

・日本の投資家が、手数料の安い海外の証券会社を通じてロンドン市場から日本株を買えば、「外国人買い」にカウントされます。

・社会保障費は「所得の再分配」だと言いました。「再分配」と言っても、現在は「富者から貧者」への再分配ではなく、「未来世代から現代世代」への再分配をしていることになります。こんなことが許されるのでしょうか?

・「財政は大丈夫なのに消費税を上げるのは何事だ」などと言う政治家は、事態を理解する能力を欠いた人か、状況を理解していながら「耳障りのいいこと」を言って、国民を欺く人のどちらかだと思います。

・1946年の預金封鎖当時は、まだ明治憲法下です。明治憲法下ならともかく、いまの憲法下で預金封鎖などという財産没収行為ができるのか、私には疑問です。

・私の言う「1票の差」とは、マスコミが取り上げている「地域の格差」ではありません。私が懸念しているのは「世代間の格差」です。

・結論は、「現役世代の利益代表者を減らすしかない」というもので、「80歳以上の高齢者の選挙権をなくす」という案でした。これは、未熟だからという理由で20歳未満の若者に選挙権を与えていないのと対をなします。

・高すぎる値段には、のちに大幅下落という調整が起きるのが世の常です。

・日本のように増税して福祉を充実させることは社会主義的なのです。

・日本の課税最低限が先進国の中ではフランスと並んで断トツに高い。そのせいで、国民の3ぶんの1ぐらいしか所得税を払っていない。

・日本では、税金支払いという国民の義務を果たしていない人がものすごく多いということです。それなのに10%ぐらいの消費税で、軽減税率の話が出てくるわけです。私は、消費税20%くらいまでは軽減税率を適用しなくてもいいと思うのです。

・「日本は格差のない、極めて平等な国」だと思っています。学者や専門家がどんな机上の学問を振りかざしてきても、です。この、ありもしない格差の是正を念頭に、税金や経済対策を練ってきたからこそ、日本はおかしなことになってしまったのです。

・日本には世界レベルの貧困層なんていない。

・グローバル競争の時代に、年3回海外旅行をする人と、3年に1回海外旅行をする人の格差を是正するようなことをしていると、日本は競争力を失います。

・猛烈に頑張っても頑張らなくても、結果的に生活レベルが同じなら、誰も猛烈に働きません。

・グローバル競争に文句を言う人がいますが、それは携帯が発達している現在でも、「固定電話の方がよい」と頑なに主張するようなものです。

・競争がないと、日本はグローバル競争で世界に遅れをとります。私は、「国民は皆貧乏だが、平等。しかし他国とは、かなりの格差がある」のは好きではありません。

・子供手当と生活保護を合わせると、ほぼ法人税収相当額です。法人税は所得税、消費税と並んで日本の三大税収の一つですが、それに相当する額が子供手当と生活保護で消えてしまうのですから、「国に金が不足する」のは当然と言えば当然です。




日本大沈没

日本大沈没

  • 作者: 藤巻 健史
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2012/08/24
  • メディア: 単行本



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