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『数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活』 [☆☆]

・リスクについて考え、語るときには、確率ではなく頻度を使え。「30パーセントから50パーセントの確率で性的問題が生じる」という精神科医の言葉では「頻度のもとになる集団」がわからない。だが、「10人の患者のうち3人」というふうに頻度で表わせば、基本の集団がはっきりするから誤解は減る。

・患者は安心したがっているんです。たとえ状態が前より良くならなくても。自分の苦しみに貼るレッテルが欲しいのです。

・検診なんか、経済的にみたら引き合わないことが多い。その分の税金を他のもっと役立つことに使った方がいいくらいなものだ。

・啓蒙とは、自分で自分に課した未熟から立ち上がることだ。未熟とは、よそからの指導なしには自分の理解力を行使できないということである。

・H・G・ウェルズはこう予言したという。「そのうち、統計的な考え方は、市民生活にとって読み書きと同様に不可欠なものになるだろう」

・大人になっても数字を正しく理解できない人は多い。パウロスらはこれを、「数字オンチ(innumeracy)」と呼んだ。

・18世紀から19世紀の大半、統計数学は少数のエリートだけが知っている国家機密で、一般市民には知らされなかった。

・誤解を生じるリスクの伝え方は、大きく分けて3つある。一度限りの出来事について確率を云々すること、相対リスク、そして条件付確率だ。しかも現在、一番よく使われるらしいのがこの3つなのである。

・彼は検査に同意するときに、頭脳を使うよりもへりくだった従順さを発揮した。情報を求めようとも、医師に関連質問をしようともしなかった。

・前立腺がんの多くは進行が遅いから、検査を受けなければ一生わからなかったかもしれない。自然死した50歳以上の男性の解剖結果で、3人に1人はなんらかのかたちの前立腺がんをもっていたことがわかっている。多くの男性は前立腺がんのためではなく、前立腺がんをもったまま死亡するのである。

・患者の多くは何ひとつ自分で決定せずに医師に任せたがる。

・あなたのお手紙から読み取るべき教訓は、他のところで再検査を、なんだったら3度でも検査を受けましょう、ということです。決して一度きりの検査を信じてはいけないのです。決して。

・ある検察官の言葉によれば、「平手打ちは殺人の前奏曲」だからだ。

・「数字オンチ」の数の多さから考えれば、彼らを誤解に導くチャンスは数限りなくある。普通の市民が相対リスクや一度限りの出来事の確率、あるいは条件付確率を理解できないとしても、それは当人がいけないのだ、そうだろう?

・数字オンチは搾取しやすい、ということだ。数字オンチのほうが圧倒的多数なら、わかりにくくしておけば「数字がわかる人間」は得をする可能性がある。

・人生はやらなければならないゲームだ。

・交通事故の回数のように分布が歪んでいれば、平均値の両側に同じ数が並ぶということはない。人々が自分の運転能力を過大評価しているという結論は早計というものだ。ちょっとした統計的思考で、ほとんどのドライバーが実際に「平均」より安全であることはすぐにわかる。

・子供たちにクモやヘビ、トラを怖がらせることは簡単だ。親がクモを怖がってみせればいい。しかし、電気コンセントを怖がらせるのは難しい。

・人間は進化の中でごく最近になって世界を劇的に変化させた。これが、わたしたちが何を恐れるかということと、実際に何が一番危険かということとは必ずしも一致しない理由の一つである。

・多くの西欧諸国ではおざなりにされているが、正規の教育目標の一つはリスクの見分け方を教えること、つまり不確実な世界で論理的に考える方法を教えることである。この目標を――「大衆の不安」を煽らずに――実現するツールのひとつが、数字を直感的に理解しやすい方法で説明することだ。

・この夢の実現には二つのことが必要だと指摘したい。知ること、そして勇気だ。どちらか一方では、刃がひとつしかないハサミのようなものだ。どちらも不可欠なのである。





数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活―病院や裁判で統計にだまされないために

数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活―病院や裁判で統計にだまされないために

  • 作者: ゲルト ギーゲレンツァー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/09/30
  • メディア: 単行本



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