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『日本一親切な老前整理』 [☆☆]

・東日本大震災のあと、あわてて買いだめに走った人が大勢いましたが、それは、何日分あれば安心、という目安がなく、不安に駆られたからです。

・高齢の親、とくに男親は「親の遺品整理は子供がするもの」と思い込んでいます。「自分もしてきたから」と。でも、昔の親は今ほど長生きしなかったし、基本的にモノが少なかったので、遺品整理は今よりずっとラクだったはず。

・長く入院していると外からの刺激がなく、認知症を発症する可能性が大きいのです。高齢者の入院は、しばしば要介護に急接近することを、知っておきましょう。

・「介護度がついて、介護保険から改装費用が出るのを待つ」という人がいますが、介護保険から出る住宅改修の費用は20万円まで。浴室まわりの改装などは、費用の足しにしかなりません。

・「介護は突然やってくる」といいますが、本当はじわじわとやってきているのに、気づかないだけかもしれません。とくに、老親と遠く離れて暮らす子供は、親の元気だったころの姿が頭にありますから、「大丈夫」だと思い込むようなところがあります。

・たまに実家に帰ったときでも、親は子供に会えたうれしさもあって、気分が高揚していますから、元気そうに見えたりします。

・「いつもある程度片づいているのに、やけにモノが出ているな」というような変化が感じられたら要注意。「そろそろ見守りが必要ですよ、近い将来、要介護になるかもしれません」というシグナルです。

・親子といえども勝手に処分すると、問題が発生します。けれども、母親の場合、処分したのが娘だとケンカにはなりますが、なぜか許せるもの。それが嫁となると、もう大変です。あとあとまで「私の大切なものを嫁が捨てた」とこぼすでしょう。本当は不要なモノだったとしても「捨てられた」という悔しい感情だけが残るのです。

・父親はたいてい頑固で、こだわり方が母親とは違っています。趣味のモノを捨てるという概念がなく、たとえば、本好きの人は「本に囲まれて死にたい」などと公言するくらいです。

・仕事を引きずっている限りは、自分が介護される立場になる、などということは、考えてもみないこと。それが高じて、介護される立場になっても、「介護されている」という自覚がない男性がたくさんいます。

・まだまだ元気だからと趣味やボランティアに生きがいを見出すのは、すばらしいことですが、いずれは介護される立場になることを、頭の隅に入れておいてほしいものです。

・和室に布団を敷いて寝ている場合、ある程度元気なうちは、1日2回の布団の上げ下ろしが、案外いい筋トレになっているようです。筋肉を使っていると骨折の予防にもなるので、一概にベッドにしなさい、とはいえません。

・判断力が鈍る、というのは、自分を客観的に見つめられなくなることです。主観でしか物事を判断しないので、なかなか老いが認められません。

・団塊の世代すべての人が75歳以上になり、後期高齢者となる2025年以降に起きるであろう問題が、「2025年問題」と称されています。

・団塊の世代の高齢化は、取りも直さず「多死の時代」がやってくる、ということ。

・子としては、「もっと交通の便のいい、駅に近いコンパクトなマンションに引っ越せばいいのに」と思い、そのようにすすめても、親はなかなか腰が上がりません。しかし、不便な場所だと、たとえば親が倒れて介護が必要になったとき、頻繁に通うこともできません。遠く離れた場所ならなおさら、交通費もかかるし、介護保険を使うにしても、思うようにいかないかもしれません。

・必要なのは、自分の老いを認められるかどうか、ということ。老前整理は、「老いを認める」という考え方がベースになっています。「まだまだ大丈夫」では、何の解決にもならないのです。

・アンチエイジングに務めることも大事ですが、そこばかり突きつめていくと、年をとることを否定することになります。加齢は逆らうものではなく、上手につきあっていくもの。そのために、老前整理がある。

・モノはたくさんあるのがよいのではなく、本当に必要なモノがきちんと整理されてあって、出したいときにすぐに使えて、積み重なったりしておらず安全で、ということが大事なのです。





日本一親切な老前整理

日本一親切な老前整理

  • 作者: 坂岡 洋子
  • 出版社/メーカー: 主婦と生活社
  • 発売日: 2012/12/21
  • メディア: 単行本



タグ:坂岡洋子
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