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『しらずしらず あなたの9割を支配する「無意識」を科学する』 [☆☆]

・研究によれば、私たち人間は、自分の感情を理解することにかけては、能力の低さと自信の高さが奇妙な形で絡み合っているという。

・研究によれば、華やかな修飾語が加えられていると、その叙情詩的に説明された料理を注文しようという気が起こるだけでなく、その料理を、一般的な説明しか加えられていないまったく同じ料理よりもおいしいと評価するようになるのだ。

・情報の形態が理解しにくいものであると、その情報の内容に関する判断に影響が及ぶのだ。

・人間は、商品を容器で、本を表紙で、さらには、企業の年次報告書を光沢紙かどうかで判断する。だから、医者は本能的にこざっぱりとしたシャツとネクタイで身を包むものだし、また、弁護士がバドワイザーのTシャツを着て依頼人を出迎えるのは勧められない。

・科学的に規定されたポルノはどこで入手すればいいのだろうか? 実は、心理学者はそのためのデータベースを持っている。それは国際情動画像システム(IAPS)と呼ばれるもので、性的にきわどい素材や、切断された人体の一部から、子供や野生生物の愛らしい写真に至るまで、480枚の画像が、喚起される刺激のレベルに応じて分類して収められている。

・ほとんどの人は、入り乱れる言葉に翻弄されるという問題を避けるために、要点は保持したまま、細部は進んで破棄する。その結果、深層構造、つまり言われたことの意味は長期間保持できるが、表層構造、つまり発せられた単語は、わずか8から10秒のあいだしか正確には記憶できない。

・タイレノールを服用していた被験者では、社会的疎外に関連した脳の領域の活性が抑えられていることが明らかとなった。どうやらタイレノールは、社会的拒絶に対する神経反応を確かに抑制するらしい。

・作家は、「この場面の手掛かりが、ホレスはメアリーが自分のことを振るつもりだと考えていることを、読者に伝えることになると思う」といったように、自身の四次志向性の経験に基づいた判断をしなければならないため、文学作品をつくるには四次志向性が必要だ。

・その台本とは、次のようなものかもしれない。理由をつけずにちょっとした頼み事をされたら、ノーと言え。理由をつけてちょっとした頼み事をされたら、その理由が何であれイエスと言え。

・その指標を計算するには、自分が話しているときに相手の目をどれだけの時間見ているか、その割合を求め、それを、自分が話を聴いているときに同じ相手の目を見ている時間の割合で割る。この比は重要な意味を持っていることが、明らかとなっている。これは「視覚的優越性比率」と呼ばれ、社会的優位階層のなかで自分が会話の相手に対してどのような位置にいるかを反映している。相手に比べて社会的優越性が高い人では、視覚的優位性比率は1.0近くか、またはそれより大きい。1.0より小さいと、優位階層のなかで低い位置にいることがうかがわれる。

・政治信念は曲げられないが、声は融通が利くので、マーガレット・ヒルダ・ロバーツは腹心の忠告を受け入れて声の高さを下げ、社会的優位性を高めた。1951年に裕福な実業家デニス・サッチャーと結婚し、マーガレット・サッチャーとなった彼女は、やがて首相に登りつめたのだ。

・大学当局は、「忘れるな! キャンパスで流行っているどんちゃん騒ぎを減らせ!」と書けば、学生への警告になると考えているかもしれないが、実際には逆に、「忘れるな! キャンパスではどんちゃん騒ぎが流行っている!」と、行動を促す言葉として解釈されているかもしれない。

・たとえ「彼ら」と「自分たち」を区別する規則がコイン投げに近いものであっても、私たちは「彼ら」を差別して「自分たち」をひいきする。

・本当の真実は、視床、視床下部、扁桃状部のような構造体のなかに潜んでいて、どんなに内省をしようがそこに意識的にたどり着くことはできないのだ。

・要するに人間は、怒るから身震いしたり、悲しいから泣いたりするのではなく、身震いするから怒っていることに気づき、泣くから悲しいと感じるということだ。

・視覚や記憶と同じように、感情もまた直接の知覚でなく限られたデータから構成されるのだとしたら、やはり知覚や記憶の場合と同じように、そのデータの空白が心によって埋め合わされ、それを「間違って思い込んでしまう」ような状況が起こるはずだ。そしてそれによって、視覚や記憶の錯覚に相当する「感情の錯覚」が起こるに違いない。

・「作話」という言葉は、記憶の空白を、真実であると信じる嘘の話で埋め合わせることを指す場合が多い。しかし人間は、自分の感情に関する知識の空白を埋めるためにも、作話をおこなう。誰もがそうした性向を持っている。

・自分の感情や行動に対する説明を考え出すとき、脳がどのような行動を取るかに、あなたは驚かれるかもしれない。心のなかにある、文化的規範を収めたデータベースを検索して、もっともらしいものを選ぶのだ。

・真理にたどり着く方法は二つある。科学者の方法と、弁護士の方法だ。科学者は証拠を集め、規則性を探し、観察結果を説明できる理論をつくって、それを検証する。弁護士は、ほかの人たちに納得させたい結論からスタートし、それを裏付ける証拠を探すとともに、それに反する証拠を斥けようとする。

・子供はそもそも負けた子をいじめたがるものだろうが、とりわけ、勝つことがすべてだと思っていた負け犬には喜んでいじめをする。

・友人や恋人や伴侶を選ぶときには、自分が相手をどう見ているかだけでなく、相手が自分をどう見ているかも判断の理由になる。

・私が子供の頃は、ネイティブが発音している英語の教材を見つけるのに、苦労していた。いまでは、ユーチューブなどの動画サイトに、毎日見続けても尽きないくらいの、大量の英語音声、動画が存在している。このような「ビッグ・データ」時代に、人間の脳はどのように適応するのか。

・「サブリミナル」、すなわち、意識に上らない情報は、まさに脳内ビッグ・データであると言える。

・行動(action)、気づき(awareness)、受容(acceptance)がセレンディピディの三要素(三つのa)である。行動しなければ、偶然の出会いもない。出会いがあっても、それに気づかなければ仕方がない。また、気づいても、それを受け入れなければ、せっかくのセレンディピティを、取り逃してしまう。

・古い理論が反証されるのではなく、それらの理論の支持者がいなくなるだけだ。





しらずしらず――あなたの9割を支配する「無意識」を科学する

しらずしらず――あなたの9割を支配する「無意識」を科学する

  • 作者: レナード・ムロディナウ
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2013/12/13
  • メディア: 単行本



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