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『本を読んだら、自分を読め』 [☆☆]

・星新一はあえて古くならないように執筆当時の現代風俗に関する描写を避けたのだと、ご本人から聞いたことがあります。

・現実逃避というと、ネガティブなように聞えてしまうかもしれませんが、現実逃避をしようにも、想像力のない人はうまくいきません。その逃避先の現実を妄想できる能力が必要になります。

・本を開いて、何をいっているのかわからないというとき、自分はどういう状態なのかというと、「自分が何をわかっていないかということすら、わかっていない」ということ。

・人として、最低限文化的な教養があるかどうかの目安は、自国語で書かれた本を読むことが苦痛でないかどうかというところにあります。

・本は勝手に人を救います。本とは、海で溺れたとき、波間に浮いている丸太のようなものです。丸太に「人を助けよう」という意志があるわけではありません。

・現代におけるベストセラーとは、本を普段買わない人がたまたま購入に至った本のこと。

・本など読むよりも、ゴミ捨てや掃除をしたほうが、よほどダイレクトに日常生活に役立てることができます。

・金持ちになる人とは、いかに金を稼ぐかを考えている人ではありません。自分の空想力で、金持ちになったときの自分のイメージを鮮明に描いている人です。もう頭の中の自分は金持ちであって、あとは現実の自分とのギャップを埋めているだけなのです。

・本を読むと知恵がつく。そして現代における仕事のほとんどは、知恵のよしあしで値段が決まります。

・ベストセラーがロングセラーになるのが絵本ですから、重版を繰り返して百何刷の本とか、当たり前にあります(絵本作家の五味太郎さんなんか、印税という点で、もうむちゃくちゃうらやましい)。

・もしもインターネットで本の評判を知りたいのであれば、実際に購入した人しかレビューできないようになっている楽天のほうが、レビューの質は高いといえるでしょう。

・偏見というと世間一般ではいけないものであって、捨てなくてはならないようなことのようにいわれますが、実はその人ならではの個性をつくるために、なくてはならないものでもあります。偏見は捨てるのではなく、育てなければならない。

・アインシュタインは「常識」を何と定義したか、ご存じですか? 「18歳までに得た偏見」です。

・教養を積んでいくということは、自分にとってどれだけ良質の偏見を得られるかというゲームです。

・過去の常識の蓄積が組織を蝕んでいくということの実態は、年寄りが若者に負けていくという過程にすぎません。優れたものが勝ち、劣ったものが負ける優勝劣敗は、負かされる側としてはみじめなものですが、世の中全体として見ればいいことであり、自然なことです。

・一説によれば、高額所得者のほうがたくさん本を読んでいるといいます。一方、生活の貧しい人たちはまったく本を読まないで、携帯ばかりいじっています。

・人を「頭でっかち」とか「机上の空論」と揶揄する人たちが、より優れた代案を出す場面に僕は1度もお目にかかったことがないのも厳然たる事実です。

・スタートは机上の空論であっても、そこからスタートして実践的な経験知にすればいい。しかし机上の空論すらない人には、そのスタートさえ切れません。

・学校では、テストのときに教科書を見てはいけないことになっています。何も参照しない素の状態で、脳みその中の知識だけでやり繰りできる人が、成績が高いことにされてしまう。しかしこれは単に記憶力を試しているだけです。社会に出れば、いかに適切に参考文献を探し出し、自分や会社にとって役立つところを引用できるかが勝負になってきます。

・社会人として、いつ、どこで、何を、どうしたか事実を報告する文章くらいは、目をつぶってでも書けるようでなければならない。でもそういう訓練を僕たちは全然受けていません。

・個性とは、「非個性的な代わりに、ものすごく役に立つこと」を真似して真似して真似して、それでもどうしても残ってしまう癖のことです。

・日本には意外といい伝記が少なく、題材となる人物も、よく知られている人に集中しています。もしあなたが物書きとして成功したのであれば、誰か知られざる歴史上の人物を捜し出し、光を当てた作品を書けばいい。1人でもそういう人を見つけられれば、もうそれだけで食べていけます。

・司馬遼太郎は坂本龍馬を見つけて『竜馬がゆく』という歴史小説を書いたおかげで、国民的作家といわれるまでになりました。

・伝記の面白さは、同世代を生きた他の歴史上の人物と主人公がからむところにもあります。『天地明察』には、水戸光圀が登場する。そういう人が出てくると、「ああ、あの時代だな」とピンと来ます。その手法をうまく身につけなければ、優れた伝記や歴史小説は書けません。

・「でも誰かが面白いって保証してくれた本じゃないと、読みたくない」というのなら、あなたは本を読むより空気を読むほうが好きな人。空気を読みたければテレビがあります。

・学校のテスト1つ取っても、試験中に外の資料に当たったら、カンニングになってしまいます。ところが大人になったら、逆にそういう「裏を取っていない文章」は、単なる思い込みで書いていると見なされます。同じことをしているのに、評価が180度変わってしまうのです。

・電動ミキサーが包丁を滅ぼさなかったぐらい、電脳が書籍を滅ぼすことはありえないでしょう。

・世の中にお金で買えないものがあるかないかという、使い古された議論があるでしょう。しかし買えないものは必ず存在します。それは、まだ存在しないものです。2005年にiPhoneは買えません。

・知識が貴重な時代は、ものを知っている年寄りには敬うだけの価値がありました。しかし安価な本とそれ以上に安価なネットがそれを破壊した今、こういっては何ですが、若者にたかるしか能がなくなってしまった。





本を読んだら、自分を読め 年間1,000,000ページを血肉にする〝読自〟の技術

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  • 作者: 小飼 弾
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2013/02/20
  • メディア: 単行本



本を読んだら、自分を読め

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