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『人に強くなる極意』 [☆☆]

・感情的になってキレてしまうというのは、感情の抑制が効かない情緒不安定というカテゴリーに入ります。つまりは病気です。

・ウサギなんか思い切りつかんだり脅したりしたら死んでしまう。なぜかというと、肉食獣につかまったらウサギは絶対に助からない。そこで、捕まった時点で苦痛を感じないために自ら心臓を止めてしまうといいます。

・新聞記者が一番恐れるのは相手が怒りだすことじゃなく取材を拒否されること。情報が入らないと記事が書けませんからね。

・SNSなど高度情報化社会のもとで情報が共有されると、必然的に同調圧力も高くなる。都会も本質的には農村と変わらない、部分的に新たなムラ社会ができているといえるのではないでしょうか。

・怖いのは、そうした同調圧力を受けて自分を抑え込んでいると、それを破って突出しようとする人に激しい憎悪や怒りを覚えたり、攻撃するようになることです。「自分はこれだけ抑えているのに、アイツばかり勝手にやって許せない」というように。

・フェイスブックという表の世界では「いいね」を連発する紳士的な人物が、2ちゃんねるという裏の世界では他人を攻撃し悪態をつく人物に豹変する。

・今や世の中全体が相手を不安にさせ、ビビらせることで回っているという現実があります。

・商品をたくさん買ってもらわないと経済が回らない。そのために手っ取り早いのが消費者を不安にさせ、その不安を解消するために商品を買わせるという図式です。

・代理経験も含めてさまざまな経験をしておけば、何かビビるような場面に出くわした時でも、「今の状況はあの本に書かれていたあの状況にそっくりだ」と対象を冷静に分析できます。

・面と向かって相手の言葉に反応してはいけません。たとえば「いや、ウチは使い捨てのおしぼりしか使わないから」などと断ろうとすれば、「こちらにも使い捨てのおしぼりはある」といわれる。相手はこちらに断る理由をいわせて、それを一つずつ潰してくる戦略ですから、とにかく理由をいわないこと。

・江戸時代の花魁の衣装なんてまさに飾りの極致。高下駄をはいて、きらびやかな衣装をまとい、頭はたくさんのかんざしで飾り立てる。その伝統が、長いつけまつ毛に髪を大きく膨らませる、キャバクラ嬢の「盛り」スタイルにまでつながっているわけです。

・文章の構成だって「起承転結」と途中で「転」を入れるのをよしとしますが、これも一種の飾りといっていい。話の趣旨としては、転などなくても通じる。でもある方がしゃれていて説得力が出る。いきなり結論をいう前にひと呼吸置くんです。

・九鬼周造の『「いき」の構造』によれば、「いき」とは全部いわずに一つ手前で止めることだといっています。いきなり全部説明したら野暮になる。

・福澤諭吉は「天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず」と平等主義を謳いましたが、同時に学問の大切さを説くわけです。義務教育のもとで全国民を巻き込んでの学問の競争がここから始まった。福澤諭吉の言葉は、学歴社会や偏差値社会といった競争社会の大元だともいえるわけです。

・会社が育てるというより鍛えるという雰囲気だったら逃げた方がいいということ。これだと、不条理で報われないことがたくさん起きるのです。

・年をとればとるほどたくさんの人に囲まれ、楽しくエキサイティングな人生を送る人と、逆に気づいたら自分の周りに人がいなくなり、寂しくしぼんだ人生を送る人がいます。この違いは、どれだけ人間関係を断らずにつくり上げてきたか、その違いだともいえます。

・お金というのは、数千万円規模であるうちは庶民的な生活レベルのリアリティがありますが、そこから先、数億となると質が変わってくる。税務署や国家が絡んだ、どこかキナ臭いにおいが漂う危険物に変質するのです。

・物を贈ったりもらったりするということが身分関係になる。

・本来、投資というのはその企業が中長期的に成長すると見込んで株を買うことであり、業績が上がったらその株の配当金をもらう。その配当金を目的にするのが本来の投資であるはずです。

・単行本を書いて得た初版のお金が本来の労働のまっとうな対価だということ。ですから、重版でさらにお金が入ったというのは、いうなれば不労所得、予定外の収入だと考えます。それを自分の労働の対価としてとらえるとおかしなことになる。

・「ハマっている」のか「ハメられている」のか。

・「執着」の泥沼に陥ってしまう人は、たいがい「終わり」や「出口」の見えないものを追いかけている。

・何か目標設定する時は、完成形がイメージできるもの、現実可能なものにすることが大切です。

・国家の裁きに執行猶予はつくかもしれませんが、自分の良心の裁きに執行猶予はありません。

・時間割引率の大きい人ほど貯蓄率が低い。それは目先の消費に大きな価値を置いているので、よほど高い利子がつかない限り貯蓄する気にならないからです。

・判断が早いというのは、思いつきをすぐ口にすることとは違う。とくに、上に立つ人は思いついたことをすぐに口に出してはいけない。一回頭の中で考えてから公言する。

・これからの時代、先送りできなくなるのが語学、それも英語です。TPPが導入されることで否応なしに英語が入ってきて、ちょっとした会議やメールのやり取りが英語になるなんてことが日常的に起こる。

・そうなると英語ができない人は当然上に上がれない。そういう人は単なる「労働力」になってしまい、賃金が激減します。東南アジアなどの安い労働力との競争になるからです。

・うつ病にかかっている人、あるいはかかっていなくてもその傾向がある人に特徴的なのは、「取り返しがつかないことになった」「もう終わってしまった」という感覚が強いことだと述べています。これを彼は「祭りの後(ポスト・フェストゥム)」的な時間意識と名づけています。

・こういう人には「間に合わなくなる」という潜在的な恐怖心があるので、病気になる前はむしろいろいろなことを先回りしてこなしていた人が多い。つまり、優秀で仕事ができる人に多いのです。まじめな人ほどうつ病になりやすいというのはそういうことです。





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