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『サイタ×サイタ』 [☆☆]

・犯人を捕まえたらね、ただ、犯行を立証するだけにして、動機とか、そういう感情面のことはきいても、公表しない方が良いと思う。じゃないと、社会のみんなに理解してもらえるという、一種のご褒美を与えるようなものでしょう?

・やっぱり、犯人を満足させてしまってはいけないんじゃないですか。そうしないと、同じことをする人間があとから出てきますよね。ああすれば、自分のことをみんなに聞いてもらえるんだって考えて、真似をする人が現れます。

・よく、警察は動機について調べているってニュースで言ってますよね。でも、あんなの全部、一身上の都合じゃないですか。

・殺人の動機も、金のためか、一身上の都合のどちらか二択にしたらすっきりしません?

・ストーキングって、それだけでもけっこう満足できる行為なのかもしれない。変な表現だけれど、ただ他人のあとをつけるだけで、相手と関わっていられるわけだし、そのことだけを考える時間が楽しいと感じられるのにちがいない。

・どこから来たのかと不思議なくらい、大勢の野次馬が集まった。パトカーや救急車のサイレンに引き寄せられた人たちで、三、四十人はいるだろう。

・そんな自分の思いつきによって、他者を勝手に評価してしまう。感情的な評価が、知らず知らずのうちに自分の思考を支配してしまうのだ。

・普通の人間というのが、もうだいぶ変なんだよ。変だからこそ、変じゃないように、理屈とか道徳とか、そういうものを考えて、それになるべく添った思考や行動を選択しようと努力している。

・警察は警戒を強めている、と書かれていたが、具体的にどんな警戒をしているのだろう、と不思議に思った。強めているというのは、気持ちだけの問題なのか、それとも具体的にパトロールを増員した、という程度の意味だろうか。

・友人どうしというよりも、なにかの商売の関係のように見受けられる。

・ハンバーガーを頬張った。少しだけ若返った感じがして、元気が出た。
・その笑顔は、もうはっきりとは思い出せない。ただ、自分は彼の笑顔を見た、ということだけなのだ。時間が経つと、すべてのものが、みんな薄まっていくようだ。

・必要不可欠なことについてさえ理解がなく、感動し、驚嘆して当然と思えることにさえ関心を示そうとしない彼らを、ぼくは知らず知らず、自分より一段下の人間と見るようになった。

・聞きあきた紋切り型の反論をぼくに並べたてることもよしてほしい。「おまえは空想していただけだが、彼らはそのころすでに現実生活を理解していたのだ」などと。





サイタ×サイタ (講談社ノベルス)

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  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
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