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『住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち』 [☆☆]

・イタリアのスリは、お金を抜いたあとは財布を郵便ポストに入れる。郵便屋はそれを警察に届けるので、財布も身分証明書もちゃんと返ってくる。

・私は日本で遭遇したスリの話を書けといわれたら、何も書けない。その代わり、落とし物をして戻ってきた話は、たくさん書ける。一方、30年以上も住んでいるドイツでは、落とし物をして戻ってきた話は一つも思いつかない。

・日本の子供は、義務教育でかなり高度な合唱や合奏を経験している。日本人が物を習うときの呑み込みの良さも、ここで鍛えられた能力だろう。

・そもそもドイツでは、学校で「全員に同じことを仕込む」ことに対するアレルギーがとても強い。ヒトラー時代の負の遺産である。

・自然は、すべてを自然に任せていたから残っているのではない。手つかずの自然を手つかずで残すためには、十分すぎるほど人間の手が掛かり、叡智が費やされている。

・数年前、東京の高尾山に登り、下山の途中、忽然と、森の中に醜いコンクリートのビアガーデンが現れ、「二時間飲み放題で○○円!」と、呼び込みがマイクでがなり立てているのを見て、唖然としたことがあった。

・この国の、寒くて暗い、生産性の停止する冬を、餓死も凍死もせずに生き抜くためには、大昔から、長期的な視野と緻密な計画性が必要不可欠だったのです。

・すべては登山と同じで、自分のいるところより下のことしか本当にはわからない。ましてや、判定などできない。

・騙すほうが悪いということに議論の余地はないが、違いさえわからなかった人が、偽物を食べさせられたと怒るのは、何か滑稽だ。

・ヴィーガン(Vegan)というのは、ヴェジタリアンがさらに進化したもので、ヴェジタリアン(Vegetarian)の最初と最後を取った新造語だ。彼らは、肉、魚だけではなく、卵も酪農製品も、とにかく動物由来の物は一切食べない。

・過去を振り返らない性格は、心理学において、日本人固有の性格として認識されている。

・戦後のドイツでは、「忘れてはいけない」という教育が為されてきたが、これは、加害者として「人にしたことを忘れてはいけない」という意味であり、被害者として「されたことを忘れてはいけない」という話ではない。

・なぜ、和解が可能だったのか? それは、この両国が過去のことを忘却してしまったからだ。いや、正確にいうなら、次世代には史実を伝えるだけで、過去の恨みを語り継がなかったからだ。

・歴史は支配者の数だけあり、また、支配者が替わるごとに書き換えられる。いま歴史として定着しているのは、長年のあいだ他の多くの物語と競い合って、勝ち残った物語ということだ。

・奴隷といえば、アフリカ大陸からアメリカに連れて行かれた奴隷ばかりが有名だが、西洋がアラブに輸出した白人奴隷は、現在通用している世界史から跡形もなく削除されている。

・「奴隷(スレイブ)」は、語源的に「スラブ人」と同じである。

・すでに階級などなきものであるかのように思い込んでいるのは、往々にして下の階層の人たちで、上の階層の人たちは、その勘違いをうまく利用しつつ、自分たちの特権をちゃんと維持して暮らしている。

・インドには、カースト制によって、今でも当然のごとく、人間扱いされていない人々が多くいる。

・難民のほとんどはソマリア人とエリトリア人だったが、アフリカやアラブの人たちは泳げない人がほとんどなので、船もろとも、大半が暗い海に沈んでしまった。

・身障者の物乞いは、必ず若い男の子だった。女の物乞いで障害者はいない。女の子は傷つけない。女の子には他に使い道があるのだ。

・ヨーロッパ人の心の中には、未だ無意識的にローマ帝国がある。パクス・ロマーナこそ、EUの最終目的なのだろう。

・人に案内してもらって見る風景と、自分で探検していく風景とでは、脳裏に刻まれる深さが違う。





住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち (講談社+α新書)

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  • 作者: 川口 マーン 惠美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/09/23
  • メディア: 新書



住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち (講談社+α新書)

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  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/09/22
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