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『私たちは今でも進化しているのか?』 [☆☆]

・単細胞生物のほうがいいこともある。がんは細胞の分化が暴走して起きる。つまり、単細胞生物は、がんにはならないのだ。

・魚類にも大きさと生殖の間にトレードオフがある。大きくなるまで待つと産める子の数が増え、進化上有利になる。しかし子を産む前に死んでしまうリスクは高くなる。

・乱獲によって魚の数が大幅に減った漁場では、平均的に魚は小さくなっている。あとさきを考えずに漁が行なわれた結果、生殖活動を早く始める魚のほうが、進化上、有利になったからだ。大きな魚がすべて捕獲されてしまったというだけではない。そもそも魚が以前より小さくなったのだ。

・15世紀から生きている吸血鬼のあなたの姿は、ネアンデルタール人ほどではないが、その時代の人々とは少し違って見えるようになる。たとえば同世代の友人たちより、少し背が低いとか。

・食物繊維も体にいいはずだが、私たちは糠が多く含まれる食事を、糖分を求めるほど熱心には求めていないようだ。

・自然選択によって糠を求める欲求が、甘い食べ物を求める欲求ほど人間に植えつけられなかったのはなぜなのだろう。答えは簡単だ。私たちの祖先は食物繊維がたっぷり存在する環境に生きていたため、それを得るために特別なことをする必要がなかったからだ。

・狩猟採集民と同じ食生活をしている人は1日200グラムの食物繊維を食べるが、現在のアメリカ人の平均摂取量は20グラムに満たない。その理由は単に、狩猟採集民の食べ物はすべて未加工だからだ。

・ハクチョウのヒナはシグネット、クジラの子はカーフ、クマの子はカブ、猫の子はキトンというように、多くの動物の子供には特別の呼び名があるのに、グッピーが産むのは、ただの子グッピーだ。グッピーの子に特別の名前がついていないのは、ほんの二、三か月で成体になってしまうからかもしれない。

・英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)のガイドラインでは、より人道的に有害動物を処理する方法として、冷凍庫に入れることを提案している。

・すべてわかったうえで、10年間、穀物も砂糖入りの加工食品も食べていないと言うと、人間は穀物なしには生きられないから、食べなければいけないとよく説教させる(そういう人はたいてい太り気味で、いろいろな病気について不平をもらしている)。

・ジャガイモは毒を持つものが多い危険なナス科の植物で、葉や実に有害な化合物が含まれる。その一つがソラニンで、胃腸障害を引き起こす可能性があり、大量に摂れば昏睡状態に陥り、死に至ることもある。

・アメリカ人のサンプルを「細身」と「肥満」というカテゴリーに分けたとき、後者は1日10時間近くを座って過ごしていた。

・この100年で遺伝子自体が変わっていなくても、座る時間が長くなったことで、遺伝子の働き方は変わったかもしれない。

・高血圧からアテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病まで、現在、多くの病気の患者が増えているのには、運動不足が重要な役割を果たしていると、科学者は感じている。

・進化によって受け継がれてきた運動は、精神疾患やアルツハイマー病を防ぐ方法まで教えてくれるかもしれない。BDNF(脳由来神経栄養因子)というたんぱく質は、前頭葉皮質の機能には不可欠だ。前頭葉皮質は精神疾患によって損なわれる部位でもある。このたんぱく質は運動している間に増加する。

・子供たちは三人の人との間に安定した関係を築いているとき、もっと正確に言えば、「たとえ何があって、あなたの面倒はみるよ」という明確なメッセージをくれる関係を三つ持っているときに、もっともよく育つようだ。

・離れた場所にいる赤ん坊が泣いたりぐずったりしたときに、親にその音を伝えるベビーモニターという道具も不可解な発明品だ。赤ん坊は社会的な環境の中で眠るように進化してきたので、赤ん坊の声を親に伝えるのではなくて、反対に親の声や動いている音を赤ん坊に伝えたほうが、赤ん坊は安心して満足するはずだ。

・他の人に何かを勧めて変化を促すことは可能だが、相手にその効能を完全に理解してもらうことは不可能なのだ。

・天然痘は腺ペストのように一気に大量の死者は出さなかったが、過去700年間で見ると、天然痘で死んだ人の数は腺ペストで死んだ人の数より多い。

・進化ではよく、一つの有利な状況が、どこか別のところでは不利になるという、まるで借金で借金を返しているようなことが起こる。

・(医学によって)夭折を免れた人々が、わびしく不完全な人生を子孫に伝える。

・予防接種のおかげで、以前なら天然痘で死んでいたはずの身体虚弱な何千人という人々が生き続けていると信じるべき理由はじゅうぶんにある。そのため文明社会の虚弱な成員が、その種を広めている。

・人の脳は、あらゆるところに危険があった時代に進化したため、もともと否定的なバイアスがかかっている。




私たちは今でも進化しているのか?

私たちは今でも進化しているのか?

  • 作者: マーリーン ズック
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/01/26
  • メディア: 単行本



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