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『億男』 [☆☆]

・毎日多くの人が「金持ちになれる本」を借りていく。まるで宝島の地図を求めるかのように。

・毎回、何も考えずに福引きにチャレンジし、あたりまえのようにティッシュを受け取って帰る。それは、まるで金持ちと貧乏人の差のようだ。ティッシュしか当たらないと思っている人間は、一生ティッシュしか当たらない。ハワイ旅行が当たるということを明確にイメージできる人間にしか、ハワイ旅行は当たらない。

・宝くじが当せんすると親戚や友人が急に増える、とはよく聞く話だ。密閉された部屋のゴミ箱から、なぜかハエが湧いてくるのと同じように、それは避けられない事態に思える。

・お金で幸せを買うことはできないかもしれない。だが少なくとも自由を手に入れることはできる。好きなようにする自由。嫌いなことをしなくて済む自由。

・1グラムさ。ちなみに一円玉も1グラム。一万円札と一円玉は同じ重さってことだ。

・分かりやすいっていうのは大事なことなんだ。誰でも知っているから説明しなくても済むだろ。

・彼はいつも「分かりやすいものと、良いものとは必ずしも一致しない」と繰り返していた。

・人間は信用にしかお金を払わない。信用のためには、誰もが知っている「分かりやすさ」が必要なんだ。

・ほとんどの女にとってのお金って、自分のお金のことじゃないと思うんです。愛した男のお金なんだと思うんです。

・諸悪の根源はお金そのものではなく、お金に対する愛である。

・貧しさは人間を狂わせる。同じように、あり余る富も人間を狂わせる。

・かつてアメリカの大富豪、ジョン・ロックフェラーは「十セントを大切にしない心が、君をボーイのままにしているんだよ」と「はした金」の大切さを説いたという。

・キミらみたいな貧乏人は、入ってくるお金と、出ていくお金をまるで別物やと思っとる。だから目的もなくただ貯金してたかと思ったら、ある日突然浪費してみたりする。金というのは入ってくるんと、出ていくんとを組み合わせて初めて意味が出てくるのに、その意識がないんや。

・賭けって言葉、印象わるいやろ。でもボクはこの言葉好きやねん。だって何かに賭けるってことは、それを信用するってことやろ。それって素敵なことやと思うねん。

・観光客は着いたときに帰ることを考え始めるが、旅人は帰らないこともある。

・本物の花よりも造花のほうが美しいと思う人間も、この世界にはきっといるのだろう。枯れないこと、朽ちないこと、何も失うことがない世界。たとえそれが嘘で作られた世界だとしても、それに憧れ、渇望する人間たちがいる。

・きっとここにいる誰もが、同じことを書いているのではないか。皆が揃って、同じような茫洋とした夢や欲望のためにお金を求めている。

・生まれてから死ぬまでに、一万円札を破く人間がどれだけいるのだろうか。千人にひとりもいないだろう。それはきっと、そこの信仰があるからだ。宗教画を燃やすことができず、仏像を壊せないのと一緒だ。

・つまるところチャップリンが言ったとおりなんだ。人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しのお金さ。想像力を持ち、世界のルールを知る。そして勇気を持ってそこに踏み込む。それさえあれば、ほんの少しのお金で充分だと思える。



億男

億男

  • 作者: 川村 元気
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2014/10/15
  • メディア: 単行本



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  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2014/10/15
  • メディア: Kindle版



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