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『入れたり出したり』 [☆☆]

・生まれる子供は少ないのに老人はたくさんいる、という少子高齢化の今の日本は、拒食症の人が便秘をしているようなものでしょう。

・ゴミ袋に入れられて、誰かに発見されてしまったバラバラ死体もあるけれど、ゴミ袋に入れられて捨てられ、発見されないままきれいに処理されたバラバラ死体の方が、この世にはずっと多いような気もします。

・「こう言っておけば老人は喜ぶだろう」とばかりに「お若いですねぇ」を連発するのは、お年寄りを尊敬しているようで、実はとっても軽く見た態度のような気がするのですが。

・「今日は自分のプレイができませんでした」と、さもたまたま運が悪かったかのような言い方をするけれど、自分のプレイというのはたいてい、相手が自分より弱い時にしかできないものであることを、彼等は忘れたフリをしている。

・誰のことも嫌いではないのだけれど、同じように誰のことも好きではないのです。だからこそ、不特定多数の人と交際することができる。

・何かに挑戦しようとする人は、最近みんな「誰かに何かを与えたいから、やる」という言い方をするのです。どうして素直に、「自分がやりたいから、やるんです」と言わないのか。

・一人でする旅行為は「一人旅」と言い、「一人旅行」とは言いません。対して複数人数での旅行為は、「団体旅」とか「修学旅」とか「新婚旅」とは言わないように、「旅」ではなくて「旅行」になる。

・すっかり大人になっているのに携帯に電話がじゃんじゃんかかってくるというのは、あまり格好良くないものです。それが仕事の電話である場合は、いまだに木っ端仕事から解放されていない無能な人、という感じも漂う。

・手帳にいくつスケジュールが書いてあるかじゃなくって、スケジュールが書いていない時間に何をしているかが、重要なのよね。

・たとえ洗濯したてでもアイロンがかかっていないシャツを着ている人は、三日目の着用であってもアイロンがかかったシャツを着ている人よりも、確実に不潔に見えてしまう。

・ジェーン・オースティンの「自負と偏見」の中に、女の馬鹿さ加減を示す事例として、「馬車を見て「あれは馬車だわ!」というような女」というのが出てくる。

・過去の告白をする人達の表情に、どこか得意気な空気すら感じて、鼻白んでしまったりもする。

・有名人の悪口など言わずとも、その人のことを「知らない」とさえ言えばいい。



入れたり出したり (角川文庫)

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  • 作者: 酒井 順子
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2003/11/01
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