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『CIA極秘分析マニュアル「HEAD」』 [☆☆]

・私が犯したミスは、最初に事実から説明し、すべてのアナリストが一度はやる典型的な誤りにあっという間に陥ったことである。つまり、情報や専門的な分析さえ伝えれば、ブリーフィングを受けた側の人間はそれをもとにどう行動すべきかを判断できると思っていたのだ。

・問題を分析する人が意思決定者役に紛れ込むことを許していないか、意識すること。紛れ込んでいた場合、結果に利害がない状態を保てるかどうか疑わしい。

・分析と意思決定の混在は日常生活でいつも起きており、その手の混在を許容できないふりをするのは世間知らずだろう。

・沈黙が、単純な反応へと人を駆り立てる。「何か言え。なんでもいい。間をもたせろ」と衝動的に思ってしまう。

・インタビュー中、答える側が3秒以上黙り込んで答えに困る様子を見せると、人間の本能が自然に動き出す。わずか数秒の沈黙でも、人は居心地が悪いと感じるようである。

・批判的思考はいつの間にか自然に身につくものだと、私たちは考えている。文学の講義を二十数科目も受ければ、学生は知性を鍛えられ、分析できるようになるのだ、と。そうはならない。

・ピクニックを延期する必要があるかどうかを知りたかったとしたら、最初の二つの問いは、事実としては正しいが、誤解を与える答えを導き出しただろう。1、ハイ、明日は雨が降ります(午後ではなく午前中に雨が降りますが、あなたそれを問いませんでした!)。2、明日は雨が降ったりやんだりするでしょう(晴れるのはあなたがピクニックを予定していた午後ですが、あなたはそれを問いませんでした!)。3、はい、午前中は雨が降るでしょうが、昼には止むでしょう(ピクニックをお楽しみください!)。

・未来なんて予測できないんだから、本当に答えを知っている人は誰もいません。もし誰かが知っているふりをしていたら、そうした確信を持つからこそ、彼らの分析を懐疑的な目で見る必要がある。

・私たちはみな書くことよりも話すことの方が自然にでき、あなたの耳は、アイデアや文の中にある引っかかる言い回しや構造をすぐに聞きつけて取り除くだろう。自分が書いた文を読み上げた時に耳で聞いておかしいと感じたら、ためらってはいけない。文を書き換えるよう自分を追い込むこと。

・スターバックスは、カフェは他店同様にコーヒーを売る場ではなく、出かけるための場所だという考え方のもとにビジネスを構築した。

・コメンテーターを責めないでほしい。テレビ番組は展開の速い娯楽として設計されているのであり、時間をかける分析ではないのだから。

・優れたアナリストであるかどうかは、何を知っているかではなく、どのように考えるかによって定義される。彼らは第一にアナリストであり、専門家ではない。

・私たちの社会で勝利するのは、大胆で議論を呼ぶ予測を立てるハリネズミである。キツネばかりが出演するテレビのトーク番組がいくつあるだろうか?

・「ガラクタはガラクタを生む」という原則の典型的な例である。最初によい問いを立てることにエネルギーを使えば、最後に役立つ答えを生み出すだろう。しかし、最初に悪い問いを立てると、最後に悪い答えを生み出すことは、ほぼ確実に保証できる。

・私たちははっきり区別すべき二つの分析能力を混同している。一つは、豊富な専門知識や歴史の知識を用いて今日の出来事について説明する能力であり、もう一つはこうしたくびきから逃れて、これからのパターンが明日どこで変化するかを見極める能力である。

・専門家たちが昨日と今日に足を取られ、現在起きている幅広い変化に気づかない場合こそが問題である。

・誤りは、小さな手がかりを一つ見落としたことから生じるわけではない。批判的思考における基礎的な見落としから生じるのである。

・「私ならあんなことはしないだろう」とあなたは言うかもしれない。「いえ、あなたもするでしょう」と私は答えるだろう。

・成功の秘訣は、不確実性の低減にある。

・テロ事件は、攻撃の規模にかかわらず電波を独占する。

・テロリズムが社会にとって脅威か、という一般的な問いではなく、次のような問いを立ててはどうか。私は個人としてどれくらい案じるべきか?

・私たち人間は賢い一方で、毎日のように心に騙されており、人間の心の弱さに付け込んで莫大な富を築いている人は大勢いる。騙されていると「知っている」ときでさえ、私たちは餌に食いつく。

・二つの矛盾するものの見方を同時に持つことができる、人間特有の能力である。

・民族や宗教が対立する社会に彼がもたらした公共の安全は、アメリカによるイラク侵攻後に失われた。

・多くのイラク人はサダムを好きではなかったが、中には、彼が追放されたのちに享受した自由を、彼が日常生活にもたらした安全と取り替えてもいいと思っている人もいる。

・分析業界では、評価している存在や個人を自分同様に考えたり、行動したりするだろうと仮定することは鏡像として知られており、分析において最もよく目にする誤りの一つである。

・統計をよく知っている人、あるいはせめて楽に扱える人はごくわずかである。



CIA極秘分析マニュアル「HEAD」――武器としてのインテリジェンス

CIA極秘分析マニュアル「HEAD」――武器としてのインテリジェンス

  • 作者: フィリップ マッド
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/06/22
  • メディア: 単行本



CIA極秘分析マニュアル「HEAD」 武器としてのインテリジェンス (早川書房)

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  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/06/25
  • メディア: Kindle版



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