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『デビルズ・ダイス 2の目 悪魔はサイコロと嗤う』 [☆]

・「財団」が征服を目指す「世界」とは、単に人類の営む大地だけを意味するのではない。人間社会だけの世界を征服するというのなら、もうとっくに「財団」は世界を征服してしまっている。彼らが目指すのは、人跡未踏の密林や深海、高山、北極や南極……。それら全ての自然環境をも含めた世界、動植物の生態系、地殻変動や自然災害、つまりこの地球全体を管理し、秩序へと導く事だ。

・宗教で民衆を支配していた古代国家じゃあるまいし、神になったところで何の得があるというのか。

・現代に伝わっていないからといって全てが失敗だったとは言い切れない。何らかの理由で技術が伝わらなかった……或いは意図的に封印された可能性もゼロじゃなかった。言うなれば「成功した錬金術」が歴史上に存在していたかもしれないのだ。

・小学校や中学校までならそれで良かった。公立なら学区がたいてい決められている。様々な学力レベルの人間の中で上位につけるのは、それほど難しい事ではないのだから。ところが高校になるとそうもいかない。入試で選抜された生徒たちの集まりですから。地元の中学校では一番でも、高校に入った途端、落ちこぼれてしまう事は珍しくない。

・日本で医者になる場合、何よりもまず医大に合格する必要があった。大学受験の試験でいい点数を取れない人間は最初から医者になる資格がないのだ。

・逃げる事は恥ではない。逃げる事もまた戦いなのだ。ライオンに襲われたシマウマは必死で逃げる。その姿を見て、シマウマが情けないとか弱虫だとか、そんな事を言う者が果たしているのか? シマウマにとっては逃げる事が戦いなのだ、何も恥じる必要はない。最も恥じるべきは、己の特性も見極めず、シマウマでありながらライオンのように牙を剥いて敵に挑む愚行を犯す事だろう。

・他人を信頼させる方法は幾つかある。理詰めで論理的に説得して信頼を得る方法、感情を揺さぶって信頼させる方法。仲間を集めて集団で信じ込ませる方法、データなどを提示して客観的に安心させる方法。悪徳業者にとっては基本中の基本かもしれない。

・善だの悪だの、そんなものは他人が後付けで下す勝手な評価にすぎない。何一つ行動に移す事の出来ない、口先だけの偽善者どもが、自分の優越感を保つためだけに理屈を並べているだけなのだ。

・指揮官は生命の重さなんて感じちゃいけないの。作戦の成功を第一に考える以上、時には非情な判断を下す必要も出てくる。効率を優先して犠牲を払う局面も出てくる。生命は尊いっていう思考・感情・倫理……その全てを把握した上で、あえて視界に入れないように意識しなくちゃいけないのよ。

・味方の中であっても、役に立たない協力者や煩わしいトラブルメーカー、排除すべき障害物でしかない奴は確実に存在する。

・日本はイタリアと並んで先進国の中でも暴力団の影響力が非常に大きい国である。日本のヤクザが弱体化すれば、中国やフィリピンなどの犯罪組織やマフィアが取って代わるだけ。結局は誰かがこの国を、裏側から力ずくで牛耳らなければならないのだ。



デビルズ・ダイス―2の目 悪魔はサイコロと嗤う (角川スニーカー文庫)

デビルズ・ダイス―2の目 悪魔はサイコロと嗤う (角川スニーカー文庫)

  • 作者: いとう のぶき
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2008/03/01
  • メディア: 文庫



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