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『僕とツンデレとハイデガー』 [☆☆]

・ここで悪口をいっちゃ負けだと思いながらも、つい悪態が口をついて出てしまうのを止めることができなかった。

・その芯とは哲学。なにが信じられるもので、なにが明日にはメッキがはがれているものなのか。確実なものはなにかと問いかける知識。これがない人間は、結局は弱くて不安から抜け出せない。

・ボクたちが「自分は完全ではない」ということを知っているためには、それはどこかで「完全なるもの」にふれている必要がある。だって、完全を知らないでいる限りは、自分が不完全であることも知りようがないからね。

・意志と理性はそれぞれに正しいのだけど、適用される範囲が違う。意志のほうがはるかに自分の行動を決めるにあたって影響する範囲が大きいので、ボクたちはついつい、「こうすべきだ」という理性的な判断よりも「こうしたい」という意志のほうを優先させてしまう。

・歴史を勉強しすぎると現代について無知になる。旅行をしすぎると自分の国で異邦人になる。

・人生にはいろんなことがあって、ものを決めるのに十分な時間がないことが多い。でも一番よくないのは、あれこれ迷って、いろんなことを試してはやめて、結局なにもできないこと。

・とにかくベストと思える道を決めて、ゆっくりと歩めばいい。決められなかったことで後悔することはあっても、最善だと思って決めたことなら、後悔することはないものだよ。

・わたしたちは、意志するに至った原因を知らないから、自由に意志していると錯覚しているだけ。

・「いい」と思ったから欲しているのではない。欲しているものを「いい」と感じているんです。

・卑下は、高慢に一番近いんですよ。能力がないというのいは、なににくらべて能力がないといっているのでしょう。それは他人とくらべてでしょ? そういう他の人とくらべる考えかたは、逆に、他人のダメなところを見つけて、よろこびたいという心に通じるんです。だから卑下は高慢と同じなの。

・心を再現するためには、世界に働きかけ、世界から働きかけられる「体」を持つ必要があった。どうやら体がなければ心もないらしいの。だから人工知能の分野では、今では体を持った知能ロボットの研究が主流になっている。

・ベンジャミン・リベット教授の有名な研究があるんだ。教授は、被験者の脳に電極をとりつけて「指を動かそう」とする意識と、実際に運動準備指令が出るタイミングを調べてみたの。その結果は驚くべきもので、動かそうとする意識のほうが、実際の運動準備指令より0.35秒「遅れて」いた。つまりわたしたちが感じる意識は、実際には体を動かしていなかったの。

・やっぱり「本当のあなた」なんていえるものはないはず。子供のときのあなた。臆病なときのあなた。勇気が出ているときのあなた。瞬間、瞬間に無数のあなたがいるはずだけど、「自己」という、いつも変わらない同一性をその中に見つけることができるでしょうか?

・あれこれ考えたって人間の考えることには限界もある。だから衝動にまかせて生きてみることも、結構大切だよ。

・夜にふとんに入ってから、あーすればよかった、こういってやればよかったと考えちゃうんでしょ? それはよくないな。リアルのいざこざを空想の中で続けると、絶対に相手への怒りも加速しちゃうからね。

・ストア主義は、現実なんかに関わるから苦労するんだよと、脳内の思考に重きをおいた。

・人間って目の前の現実とは反対のものを、理想の中に求めるものなのかもしれないね。

・ヨーロッパでは2000年このかた、ただひとりの新たな神も創造してこなかったよ。

・「なにを問うていけば答えにたどり着くのか」という、謎の解きかたから開発していく必要があった。

・気分は襲ってくるものであり、自分ではどうすることもできない。これは気分があなたを背後から、規定していることを示している。

・自分で考え、自分の意志で選択しているようだけど、実際は世間にしたがっているだけ。

・わたしたちにできるのは死に「居あわせる」ことだけ。そこで体験する喪失は自分の死ではなくて、残された者の喪失。死は代替不可能なもの。

・世界に確実なものなどない。しかし、それは悪いことだけではないのかもしれない。どこにも正解がないということはつまり、「間違っている」といわれることもないのだから。それぞれに答えを見つけていけばいいのだ。

・世界に正解などはない。それは与えられるものではなく自分自身の生を世界に投げかけることではじめて、それぞれにあらわれるのだ。

・多神教の相対主義、「人それぞれに答えがあっていいじゃないか」という「なあなあの文化」の国に暮らすわたしたちには、ハイデガーの思想は、ますます存在感を増していると感じられる。



僕とツンデレとハイデガー

僕とツンデレとハイデガー

  • 作者: 堀田 純司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/09/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



タグ:堀田純司
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