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『読まずに小説書けますか』 [☆☆]

・既にこんなのもあんなのもあるってことをある程度知っていないと、古臭いアイデアを無邪気に新しいと思って使ってしまう。それは、かなり恥ずかしい。

・物語世界のルールや環境をどう設定するか。現実と近すぎると想像力が飛べないし、遠すぎるとスリルが生まれない。

・その誰かという張本人を退治してしまえば、とりあえずは目の前の悪は根絶されるという昔のヒーローものみたいな牧歌的な時代は終わってて、今の悪には中心がない、ヌエのようなものに対して闘いを挑まなくてはいけない徒労感をいかにして克服するか。

・笑いについて知りたかったら、まず自分自身がどんなことで笑うのかに普段から注意することが大事なんだよね。

・自分の笑っているものがイコール自分の笑いのレベルってこと。

・春樹ってやっぱりアメリカンなテイストですもんね。見たことねえよ、春先のモルダウ河。平原? 日本に在るのかっ! って反発させる何かがある。

・比喩ってある意味、世界認識の更新なんだよ。つまりひとつの言葉に別個のイメージを与えることによって、いままで見えていた世界とは違う世界が見えてくる。

・類語辞典はいいですね。ひとつの言葉をいくつの言い方で表現できるかは、どれだけ実弾を持ってるかと同じですから、語彙は増やしたほうがいいです。

・個性だの、才能だの、そんなものは、凡庸な種族が何とか競争社会を生き延びるために備えて磨く武器でしかない。

・それは引き算の文学です。書かなくともすませられる部分はとことんまで削っていく。そして残った描写で登場人物の考え方や気持ちを匂い立たせるように書こうとしているのだと思います。

・中途半端に着てるものや性格を説明するくらいなら削ってしまったほうがいい。人物造形は「説明的」になってしまったらダメ。

・自分がすでに知っている世界の再確認のために本を読む人が多かったりしますけど、読書の本当の楽しみは異質な何かに出会う驚きだったり、ときめきだったりするわけじゃないですか。

・簡単に泣く人は簡単に忘れるって法則もあると、わたしは思います。

・女のほうから告白させる男は、みんなあざといに決まってんです。

・戦争は究極の遊戯であり、倫理などというものは<強者から権利を奪い弱者を助けるために人類がでっちあげた>インチキであると豪語する<魂が真っ黒な男>。

・探偵なんて、実は批評家にすぎなくて、犯人こそが事件における創造者であり、芸術家である。

・「ちょっと背伸びして手を出してわからなかった本も、すぐにブックオフに売ったりせず、本棚の片隅に置いておくといいよ」ってこと。そして、毎年、決まった日、たとえば誕生日にでも再挑戦し続けてみる。すると、ある年、急に読めるようになってる自分に気づくことがあるんですよ。その時に覚える喜びって、ちょっと別格です。



読まずに小説書けますか 作家になるための必読ガイド (ダ・ヴィンチブックス)

読まずに小説書けますか 作家になるための必読ガイド (ダ・ヴィンチブックス)

  • 作者: 岡野 宏文
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2010/09/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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