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『人は、なぜ負けパターンにはまるのか?』 [☆☆]

・「いま、ここでできることを」という考え方を「ヒア&ナウ」という。勝つ、という遠大な目標ではなく、自分がいま、ここでできることをひとつひとつこなす。これがときとして大きな結果に結びつく。

・これから起きようとする出来事が、自分の生理・心理の許容範囲を超えそうだと感じたとき、人間は安全装置によって一時的に機能を停止するのだ。たとえば、真っ赤な血の海を見て気絶する人は、それが危険を強くイメージさせるからだ。

・アドバイスを仰ぐふりをして、相手の言葉にことごとく逆接の接続詞で答える人もいる。相手の言葉をひとまず肯定しながら、「でも……」と不安げな様子を見せる。なにかと理屈をこね、とにかく逆接で応じるのだ。いったい助言がほしいのか、ただ単に逆接ごっこをやりたいのか。

・麻雀好きの素人が、プロの雀士に尋ねるのだ。ギャンブルで負けない極意とはなんぞや、と。プロ曰く「負ける金額を決めておくこと」。運を使い果たさないよう。勝つ額を決めるのではない。ここまで、と決めた額まで負けたら、きょうは自分の日じゃないと潔くやめるのだという。

・学問の世界では、難解なほど高尚と見なすおかしな習慣がある。しかしTA理論は違った。あまりにも平易で、とっつきやすいため、「ポップ・サイコロジー」、つまり安易な心理学と軽視されたりした。

・緊張しているときや、失敗して不利な状況に追い込まれているとき、不思議なことに人間の行動はふだんよりも速くなるのである。ということは、ミスしたときや「緊張しているな」と感じたときは、無理にでもゆっくり行動すればいい。その場合、これじゃあゆっくりすぎるかな……というくらい、意識的にスローダウンする。

・日本では、リトルリーグからシニアリーグや中学、高校、大学と、そのたびごとに指導環境が変わる。指導者は、限られた年数でなんとか実績を残したいから、相手を出し抜くようなさまざまなテクニックを教え込む。アメリカは、子供のころにはそういう小手先の技術に無頓着だから、少年野球では日本が上を行く。だがやがて、小手先の技術だけでは主導権を握れなくなる。年齢が上がるにつれ、世界の舞台で通用しなくなるのはそういうわけだ。

・現実には、多少びびっている選手のほうがえてして好成績を残したりするものだ。

・新聞記者が一念発起、退社してフリーになったあと、まず戸惑うのは取材のアポイントメントを取ることだという。それまでは、「○○新聞です」と名乗れば以心伝心だったのが、看板をはずしたことで、相手にとってはどこの馬の骨ともわからない人間になるのだ。

・同じミスでも、オーバーするほうがいいミス。だってショートするということは、カップインする可能性は金輪際ゼロでしょう。オーバーなら、入る可能性は少なくともゼロじゃない。

・相手の態度や行動から、愛情というプラスのストロークが感じられないと、人はわざと相手にいやがれるような行為をとる。愛情が得たいのだが、それがかなわぬとみると反感というマイナスのストロークでもいいから、代償がほしくなる。マイナスよりも、ストロークがゼロの無反応がもっともこたえるのだ。

・右腕が疲れたら、私たちはふつう、なにもせずに右腕を休ませようとする。ところが、右は休ませながら左腕を運動させたほうが、右腕の回復がより早くなる。積極的休息と呼ぶ。

・「自分が公言した目標を達成する人」を勝者と定義した。敗者はその逆だ。じゃあ、勝てない者とはなんだろう。これ、「どっちつかずの人」といえばわかりやすい。毎日淡々と過ごし、大きな損もしないかわりに一山もあてない。要するに、平凡な人。

・周囲にやらされているという被害妄想があったら要注意!

・こんな実験がある。何十人かに、サッカーのペナルティキックを蹴ってもらう。その際、ゴールキーパー役には、ふつうのユニホームとは似ても似つかぬ奇抜な柄のユニフォームを着せる。そして、ペナルティキックを成功した人、はずした人に質問する。「ゴールキーパーは、どんな柄のシャツを着ていましたか?」 成功した人はかなりの確率でその柄を覚えていず、失敗した人はその逆だった。いいかえれば、ゴールキーパーのシャツを見ているようでは、ペナルティキックの成功はおぼつかないということだ。

・日本人ならこういうとき、おうおうにして情緒的なアドバイスを送りたがる。「気持ちで負けるな」とか、「攻めるんだ」とかね。だけどこれ、悩んでいる選手にとってはなんのタシにもならない。こんがらがっているときに、抽象的な指示を出しても、事態をますます複雑にするだけである。

・ほめるのは、いい行動を現像したあとの定着液だ。



人は、なぜ負けパターンにはまるのか?―泥沼から抜け出し、「勝ち」をつかむ心理学

人は、なぜ負けパターンにはまるのか?―泥沼から抜け出し、「勝ち」をつかむ心理学

  • 作者: 佐藤 雅幸
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2000/09
  • メディア: 単行本



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