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『ストレス、パニックを消す 最強の呼吸法 システマ・ブリージング』 [☆☆]

・「最強の呼吸法」は旧ソ連軍で生み出された訓練法「システマ」の核となる技術です。

・思考とは過去の記憶を参照し、未来や未知のことを推測する行為です。その結果、苦い記憶を元に悪い結果を想像し、それに対して恐怖心を抱くことが往々にしてあります。本来、現実だけを直視していればいいはずなのに、過去と未来という脳の中にしか存在しないものに縛られ、恐怖心を水増ししてしまうのです。

・ニートやひきこもりと言われる人も実はとても頭が良い人であることもあります。彼らはその責任感や優秀さゆえに過去と未来について熟慮しすぎ、恐怖心を人並み以上に増幅してしまったことで、自分自身でも背負い切れないほどの負担を作り出してしまっているのかも知れません。

・人間が生み出した今日の文明そのものが、自然という人知の及ばぬ強大な力への恐怖心による産物であると考えられます。

・恐怖心の取り扱いは、包丁や自動車、火といった生活必需品と同じです。使い方を誤ると深刻なダメージを被りますが、有効に使えば大きな力となります。

・ロシア軍特殊部隊で採用されている武術、システマでも「キープ・カーム(穏やかであれ)」と教えられます。辞書によるとカーム(Calm)は「静けさ」「平穏」「無風状態」といった意味。

・問題はそれを自覚していないという点にあります。萎縮していながらそれに気づいていない時、攻撃的になっているのにそれを自覚していない時、その人はその人の人生を生きていません。自分の意思ではなく、恐怖心に支配され、その言いなりになってしまっているのです。

・萎縮や攻撃、無感覚は言わば処世術のようなものです。決してその人の本心ではありません。

・最強の呼吸法「システマ・ブリージング」です。基本は口を軽くすぼめて息を吐き鼻から吸うこと。

・脳が生む止めどない思考を自力で止めるのは非常に困難です。肉体はというと、脳や精神に比べて格段にコントロールが容易です。ですから恐怖のスパイラルを断ち切るには、肉体に働きかけるのがもっともやりやすいのです。それには筋肉のリラックスが必要です。そうすれば筋肉の緊張を知らせる信号が脳に送られなくなりますし、脳が恐怖心を増幅させることもなくなるのです。

・自分の弱さとそれに向かい合える自分の強さの両方を知っていくのが、自分を知るという作業です。

・自分の弱さを否定すると、同じ弱さを持つ他人を否定することになります。

・自分の弱さを見つめることに抵抗感があれば、自分の弱さを「伸びしろ」と考えると良いでしょう。弱さを見つけるということは同時に自分の未知の可能性を知るということなのです。

・アレルギー性鼻炎などで鼻が詰まっている場合も同じく鼻から息を吸いますが、口を軽く開いて足りない分の空気が自然に口から入るようにしましょう。

・肺が空気に満たされれば体内の圧力は高まり、逆に肺から空気が抜ければ圧力が低下します。呼吸による圧力は正しい姿勢をキープし、健康を保つ上でもとても重要な役割を担っています。

・「相手のナイフではなく、自分の呼吸に集中しなさい」 実際にその通りにするだけで恐怖心が大きく軽減され、動きも軽くなり、格段に犯人役に近づきやすくなるのです。意識の対象を変えるだけでこれだけ大きな違いがあるのかと、とても驚いたことがあります。

・「動き続ける」は体の動きだけでなく、一つのことに居着いてしまうことなく、常に変幻自在に動き続ける精神面の働きも指します。やや固い言い回しをするなら「執着しない」と言い換えても良いでしょう。

・戦場であれば銃弾が飛び交う中でも普段コンビニに行くのと同じくらいの冷静さで敵地に突入できる人がいたとしたら、もはやその人は超人です。強いストレスの中でも普通でいられるということは、それ自体がとても高度なことなのです。

・人は他者に対して潜在的な恐怖心を抱いています。なぜなら人はどんなに親しくても他者の内面を完全に理解することができません。そのため、死を代表するさまざまな苦痛と同じように未知に対する恐怖心を感じるのです。

・人と人の肉体的な接触は他者への恐怖心を和らげる効果があります。その機会がどんどん少なくなっている昨今の傾向は、心を許せる人物が身の回りにいない、人を信じられないといった、現代人特有のメンタリティの一因となっているのかも知れません。

・ウォッカのような度数の高いお酒だと、飲んだ直後に胃から気化したアルコールがこみ上げてきます。それを肺に吸い込むと酸素とともに血中にアルコールが取り込まれて悪酔いを引き起こしてしまいます。

・犯罪者は、自信のなさそうな者を選ぶ傾向にある。自信の有無はその人の強さを連想させます。悪事を働くなら、できるだけ強そうな人を避け、弱そうな人を狙おうとするのは当然の心理です。たびたび犯罪に巻き込まれる人と、そうでない人がいるのもそのためです。

・犯罪を避けるための方法は簡単です。犯罪に巻き込まれそうな雰囲気、つまり自信のなさそうな雰囲気を出さなければ良いのです。

・戦場ではアグレッシブな者から死んでいく。戦場ではいかにも強そうな者、優秀そうな者から先に命を落とし、本当に最後まで生き延びて頼りになるのは、普段は物静かで目立たず、むしろ頼りなさそうに見える人たちなのです。

・狙撃手としてはムダな弾は使いたくありません。撃つ回数が増えるほど、自分の居場所が悟られる危険が高まりますので、発砲は最低限に留めておこうと考えます。そうした条件下で効率良く敵の戦力を削ぐには、強そうな人や優秀そうな人を優先的に狙うことになります。すると当然、生かしておいてもたいして害にならなそうな兵士は見逃すことになります。

・恐怖心とは決して外部からやってくるものではありません。自分自身が生み出したものです。群集心理によって恐怖心が伝染するのも、自分の中にもともとある恐怖心が共鳴し増幅されるためです。

・細かなミスを気にして正解ばかりを求めてしまうと、どうしても萎縮し、発想も動きも縮こまってしまいます。それはいざという時には硬直化した融通の利かない対応となってしまいかねません。



ストレス、パニックを消す!最強の呼吸法 システマ・ブリージング

ストレス、パニックを消す!最強の呼吸法 システマ・ブリージング

  • 作者: 北川 貴英
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2011/11/17
  • メディア: 単行本



タグ:北川貴英
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