SSブログ

『フランクリン自伝』 [☆☆]

・船賃はいらないといって金は受けとろうとしなかったが、私のほうがむりやり受けとってもらったのだった。どうも人間というものは、たくさん金をもっているときより、少ししかもっていないときのほうが鷹揚になるようであるが、これはおそらく、金をもっていないと思われるのが恐ろしいからかもしれない。

・彼はすべての人に喜ばれたいという願望をもっていながら、人にあたえるものはほとんどなにももっていないので、ただ口約束だけをあたえていたのだ。

・心のなかではもう助からないと覚悟をきめていたので、自分が回復しつつあることを知ったときは、むしろあてがはずれたような気持ちになった。

・「実際」に勤勉と倹約を心がけるだけでなく、「外観」からも、その反対にみえることがないよう気を配った。質素な服を着て、遊び人が集まる盛り場などにはぜったい顔を出さず、魚釣りや狩猟にも出かけることをしなかった。

・手段を示すことも教えることもしないで、ただりっぱな人間になれ、と訓戒する本とは違うものになるはずだった。そうしなければ、着るものも食べるものももたない人たちに、どこへ行ってどうすればその着るものと食べるものが手にはいるかを教えることなしに、ただ「温かくなれ、飽くことを得よ」と訓戒したあの使徒伝に出てくる人の場合のように、言葉だけの親切になってしまうからだった。

・他人の意見に真正面から反対したり、自分の意見をなにがなんでも押し通そうとする態度をいっさいつつしむのをつねとした。

・人間が生まれもった感情のなかで、「思いあがり」ほど抑えがたいものはたぶんないのではないか。

・党派はその全体の計画にもとづいて行動するが、党派のメンバーはそれぞれ個人的な目標をもっている。党派が全体の目標を達成するや、それぞれのメンバーは自分自身の特定の利益のみを考え、他人をおしのけ、党派を分裂せしめ、さらなる紛糾をもたらす。

・公共の問題にかかわる場合、どのようによそおおうとも、国全体の利益のみを考えて行動する者はほとんどいない。たとえ彼らの行動が真に利益を国にもたらすことがあっても、人びとはまず自分の利益と国の利益が一致することを考えるだけであって、博愛の原則にもとづいて行動しているわけではない。

・わが国の若い女性のために会計という学問を教えておくと、万一未亡人となった場合、音楽やダンスよりももっと彼女自身と子供たちにとって役に立つと思った。

・チェスを通して「先見の明」「用意周到さ」「警戒心」「忍耐力」などの精神的な正確が強化されるという。

・一度親切にしてくれた人は、こちらから親切にしてやった人よりも、向こうからまた親切にしてくれる。

・人間の幸福というものは稀にしか起こらない大きな幸運よりは毎日起こる小さな便利さから生じるものなのだ。したがって、貧しい青年に髭の剃り方と剃刀の研ぎ方を教えてやったほうが、1000ギニーの金をあたえるよりも人生における彼の幸福により大きく貢献することになる。




フランクリン自伝 (中公クラシックス)

フランクリン自伝 (中公クラシックス)

  • 作者: フランクリン
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2004/12
  • メディア: 新書



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

トラックバック 0