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『戦争の大問題 それでも戦争を選ぶのか。』 [☆☆]

・彼の年齢から考えると、彼に当時の記憶があるとは考えにくい。彼の心の中の光景は、むしろ物心がついてから、周囲の人に聞かされた昔話によって形作られたものだろう。

・中国人のメンタリティーは、死んだらみんな仏様という日本人とは違う。恨みも恩も石に刻んで1000年経っても忘れないというのが中国人だ。

・同じ出来事でも国によって解釈が異なる。その解釈が「歴史」なのである。そして、解釈は勝者によって決められる。歴史とはそういうものだ。

・責任を取る覚悟のない人間は、企業であれ、国であれ、組織のトップをやるべきではない。

・優等生ばかりの集団は、自分の保身に頭を使うが、責任を取ることを躊躇する。

・新兵訓練では「条件反射」で銃を撃つ訓練を繰り返す。人と認識したら撃てない。だから人と認識する前に、反射的に引き金を引く訓練である。

・兵士が発砲する理由は何かという質問に、戦争体験のない人は「撃たないと撃たれるから」と答え、戦争経験者は「撃てと命令されたから」と答える。

・戦争で生き残った人に共通するのは運である。

・スキルのない労働者が、いくら頑張って物を作っても、品質の悪い物が大量にできるだけである。生産量はあっても、生産性は極めて低い。熟練工を戦場に駆り出し、その穴埋めに素人の少年少女を当てたのでは、生産性など上がるはずはない。

・新興国と覇権国の対立から衝突、戦争に至るプロセスを「ツキジデスの罠(The Thucydides Trap)」という。

・過去500年間の新興国と覇権国との関係において16件の事例中、12件が戦争に至ったとしている。戦争を回避できた事例では、覇権国が新興国に譲歩する形でことを収めている。

・資本は牡丹餅で、土地は重箱だ。入れる牡丹餅がなくて、重箱だけを集むるは愚であろう。牡丹餅さえ沢山出来れば、重箱は、隣家から、喜んで貸してくれよう。

・金融資本や技術資本があれば土地など誰かが貸してくれる。

・国力とは、その国の国民の質と量の掛け算である。土地は借りればよいし、資源は買ってくればよい。しかし、質の高い国民は買ってくることも、戦争で獲得することもできない。質の高い国民は、自国で育てるしかない。

・凡人は実を見て実のでき具合を思い、大人は実を見て樹の育ち具合を思う。

・敵を作らないことが目的の安全保障に対し、敵がいないことには成立しないのが防衛計画だ。防衛計画とは特定の国を仮想敵国として定め、それと戦って自国を守るために戦力を整え作戦を練ることだ。

・防衛力の向上は安全保障の手段の1つに過ぎないのに、それが安全保障政策の目的であるように思うのは、目的と手段の混同だ。

・人々がついていこうとするのは、往々にして正しいことを言っている人の後ではなく、強気で勇ましい発言をする人の後だ。

・戦前のエリート主義の問題は優等生をエリートとしたことだ。



丹羽宇一郎 戦争の大問題

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  • 作者: 丹羽 宇一郎
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2017/08/04
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丹羽宇一郎 戦争の大問題―それでも戦争を選ぶのか。

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