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『日本に生まれて、まあよかった』 [☆☆]

・「反体制」ではなく「反大勢」でした。

・人権、民主主義、文化多元主義などの「西洋的」価値を否定する度合いが強ければ強いほど純粋な愛国者と見做される。

・センター試験には正解が必ず一つあります。その試験を受ける際の習性が真理の奥に働くのでしょうか、救いの問題についても正解が必ず一つあると無意識に思い込んでしまう。

・東條首相は新聞の主張を読んで自分の政策の正義を信じていた人。

・東條も、情報を日本の大新聞にのみ頼ったために結局は失脚した国内政治家の一人でした。

・どういう新聞を読むかによって人間は出世もするし、失敗もします。

・学生の岡田克也は『朝日新聞』の社説のような意見を堂々と述べました。そのように模範解答をすなおに言い続けていれば、世論にも支持されて、ある程度までは必ず出世できるのが今の日本の仕組みなのですが、実はそれが落とし穴なのです。

・彼らは元旦から朝日を拝まずに朝日新聞を拝んでいた。だからこそ失政が続いた。

・人が過去を想起する仕方には二種類あります。過去をありしがままに想い出すタイプと、今日の価値観に基づいて過去を再構成してしまうタイプ。

・無学な民衆レベルでは、敵を倒した人の数が多ければ多いほど英雄としては格が上なのかもしれません。

・海外旅行者が人口の中で占める率が低い国では、国家の意図的な宣伝は有効に作用します。

・金泳三はなんと自分の前任者の軍人出身の大統領二人を裁判にかけ一人に死刑の判決を下しました。北の朝鮮民主主義人民共和国で新しい最高指導者が権力を確立するためには、肉親も側近も粛清する。その様とどこか一脈通じています。

・自分自身で憲法を改正する能力のない国民は、自分の力で国家を上手に管理できない国でもあるのです。

・日本のインターナショナリストと称する人の多くは「今はこれが西洋の大勢だから」という言い方をして日本人に向けて日本語で教えを垂れるだけで、外国人に向けて外国語で日本の立場を説明はしていない、というかできない。

・外国語と母国語を結ぶと知識がばらばらの点でなく線となります。そこに第二外国語が加わると知識は面となり、さらに第三外国語が加わると見方が立体的になります。

・国際会議で反対すると意見を求められるので、ついYESと一言ですませてしまう。

・勉強もしたくない若者の全員高校進学などといっている。それは財政のバラマキに過ぎず、そのような教育の悪しき平準化は、質の低下につながるだけ。

・機会の平等は結構です。しかしそれは競争という切磋琢磨の場を提供するための出発点の横並びであるべきで、到着点であるべきではない。

・全員大学入学などという主張は「全部の列車を各駅停車にする、それが民主的で公平である」と言うに等しい愚策だ。

・戦後に流布された、戦時中の日本は英語を排斥し英語教育をないがしろにしたという話は必ずしも真実ではありません。日本では戦争末期の1944年にも『研究社新英和大辞典』は2万8千部刊行されており、先生方も一生懸命教えてくれました。

・政治問題や歴史認識の問題について「今はこれがジャーナリズムの模範解答だ」式の考え方に追従するようになるのです。

・英語に訳すると『論語』は迫力に欠け、つまらぬ教訓集になってしまう。ちょうど『論語』の口語訳が迫力に欠けるのと同じです。ちなみに『聖書』が日本人に訴えなくなったのも口語訳がまのびしたせいで、そのために信仰も薄れました。

・『源氏物語』を日本語現代語訳や原文だけでなくウェイリー訳と三つ並べて読むと原文の魅力とともに優れた翻訳の英文の魅力も同時に味わうことができます。

・大学生でも自分は高校で日本史を選択したから西洋史は知らなくて当たり前という顔をするものが多い。紫式部とダンテとどちらが先に生まれたか、シェイクスピアと芭蕉はどうか、とたずねてもわからない。それでいてつまらぬ年号は結構暗記している。

・さすがに『朝日』は大新聞です。『朝日』に追随して騒ぎ出す二流三流新聞が内外に多い。これは二流三流の論説委員が自分の頭で考えず「右にならえ」をするからでしょう。

・外務省の幹部が「大新聞にこれだけ反対されると、逆に政府は正しいと確信が持てる」と言った。

・野党の「反対のための反対」がしまいには野党の反対の主張から正統性を奪ってしまったように、大新聞の論説委員が大仰に反対を唱えれば唱えるほど、オオカミ少年になってしまいました。



日本人に生まれて、まあよかった (新潮新書)

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  • 作者: 平川 祐弘
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/05/16
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