『アホの壁』 [☆☆]
・誰に対してもずけずけとものを言う人というのは正直だと思われる場合もあるが、こういう人はそうした世間の常識に甘えているということもできる。
・えんえんとつまらない、どうでもよい、言ってもどうにもならぬことばかりを喋り続けてついに怒鳴られると、何が悪かったのかわからないからただ怒鳴られたことにのみ反応して泣くのである。
・未成熟というのはあながち青少年とは限らない。知的なユーモアや真のギャグ、ナンセンスを体験していない、今までそういう会話に恵まれなかった人たちも含まれている。
・たいていはまるっきりバラエティ番組を模倣したつまらない会話で盛り上がっていて、それは即ち身内の悪口、同僚の失敗談、その話をしている者の言葉尻や言い間違えを捉えた冷かし、その他その他である。そのつまらない話に爆笑で返すというのもバラエティ番組そのままだ。
・いやだいやだと思いながらしている仕事は失敗が多く、うまくいったためしがない。いやな仕事は絶対にやらないという人を、あながち我儘とか自分勝手とか断じ、責めるべきではないのかもしれない。
・大人が自分を束縛できるのは単にからだが大きくて力が強いためだとしか思わない子供は、自分が大きくて力が強くなることを待ち望み、大人になるなり喧嘩するアホになる。
・やたらに人に喧嘩を吹っかけてくるようなアホは、当然のことながら孤独であることが多い。つまりこういう人種は喧嘩している状態が唯一、他人とのコミュニケーションの場なのである。
・リシュリューは「権力のもとではペンは剣より強い」と言ったのであり、それが間違えて伝えられているのだ。リシュリューは国家に反旗を翻し、反乱を企む輩に対して、いつでも逮捕状や死刑執行命令にペンでサインできるのだぞと脅したのである。
・最悪の喧嘩は、毎日くり返される喧嘩である。双方の頭がどんどん悪くなっていく喧嘩である。
・毎日喧嘩をするということは、双方ともに思考がプラスの方向に向かわず、ひたすらマイナス思考に、それもどんどん深まっていくということだから、頭がよくなる筈はなく、どんどん悪くなっていく。
・意見を決して変えない人は、たまり水のようなものだ。心が腐ってくる。
・日本のプロの中には世界的に見ればアマチュアとしか言えないような人がまだまだ多いようである。
・なぜ相手が死ぬまで攻撃するのか。ローレンツは、人間は動物と違い、歯や牙や爪ではなく道具で攻撃するからだと言っている。そのため、直接手をくだすよりも残酷になれるのだと説明している。
・えんえんとつまらない、どうでもよい、言ってもどうにもならぬことばかりを喋り続けてついに怒鳴られると、何が悪かったのかわからないからただ怒鳴られたことにのみ反応して泣くのである。
・未成熟というのはあながち青少年とは限らない。知的なユーモアや真のギャグ、ナンセンスを体験していない、今までそういう会話に恵まれなかった人たちも含まれている。
・たいていはまるっきりバラエティ番組を模倣したつまらない会話で盛り上がっていて、それは即ち身内の悪口、同僚の失敗談、その話をしている者の言葉尻や言い間違えを捉えた冷かし、その他その他である。そのつまらない話に爆笑で返すというのもバラエティ番組そのままだ。
・いやだいやだと思いながらしている仕事は失敗が多く、うまくいったためしがない。いやな仕事は絶対にやらないという人を、あながち我儘とか自分勝手とか断じ、責めるべきではないのかもしれない。
・大人が自分を束縛できるのは単にからだが大きくて力が強いためだとしか思わない子供は、自分が大きくて力が強くなることを待ち望み、大人になるなり喧嘩するアホになる。
・やたらに人に喧嘩を吹っかけてくるようなアホは、当然のことながら孤独であることが多い。つまりこういう人種は喧嘩している状態が唯一、他人とのコミュニケーションの場なのである。
・リシュリューは「権力のもとではペンは剣より強い」と言ったのであり、それが間違えて伝えられているのだ。リシュリューは国家に反旗を翻し、反乱を企む輩に対して、いつでも逮捕状や死刑執行命令にペンでサインできるのだぞと脅したのである。
・最悪の喧嘩は、毎日くり返される喧嘩である。双方の頭がどんどん悪くなっていく喧嘩である。
・毎日喧嘩をするということは、双方ともに思考がプラスの方向に向かわず、ひたすらマイナス思考に、それもどんどん深まっていくということだから、頭がよくなる筈はなく、どんどん悪くなっていく。
・意見を決して変えない人は、たまり水のようなものだ。心が腐ってくる。
・日本のプロの中には世界的に見ればアマチュアとしか言えないような人がまだまだ多いようである。
・なぜ相手が死ぬまで攻撃するのか。ローレンツは、人間は動物と違い、歯や牙や爪ではなく道具で攻撃するからだと言っている。そのため、直接手をくだすよりも残酷になれるのだと説明している。
タグ:筒井康隆