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『成熟脳 脳の本番は56歳から始まる』 [☆☆]

・あなたが忘れるのは、まだ固有名詞でしょう? 80代に入ってくると、普通名詞を忘れるようになる。固有名詞のうちは、物忘れとはいわないよ。

・ことばは、今を生きることに必要でなくなったものから消えていく。

・最後は、甘えて身をゆだねることも、残る者へのプレゼントである。

・趣味というのは、「やむにやまれず、好きでたまらない」じゃないと意味がない。

・多層ニューラルネット(ディープ・ラーニング)を使えば、パターン化したタスクなんて、「傍で見ていて」すぐ覚えてしまう。

・用意されている答えを、誰より早く正確に出せる能力なんて、人工知能に勝てるわけがないのだから、偏差値エリートたちは案外危ないかも。

・金魚には「群れるための拡張感覚」がある。群れ全体を、自分の体の一部のように認識する、一斉に動くための神経系の機能。

・健全なカップルは、男性の拡張感覚のおかげで、彼の一部になってしまうために、褒め言葉や愛の言葉がなくなってしまう。

・以心伝心が起こるとき、遠隔地の2つの脳が40Hzの整数倍の周波数で連動していることがわかった。

・脳の神経信号は、科学的な反応で起こる電気信号である。それは、素粒子レベルに突き詰めれば、量子波動ということになる。量子波動は、時空を超える。したがって、物理学的にも、遠隔地の脳の連動は、それほど不思議なことじゃない。

・「別選択をするからこそ、ちゃんと相手の意見を否定したり、無視したりする」男性脳の誠実さに対し、「別選択をするからこそ、相手の提案にデリケートに共感する」女性脳の誠実さ。

・脳は入力からも変えられる。リーダーにふさわしい歩き方や話し方をしていれば、やがて脳もそうなってくる。

・人レジは、その店のホスピタリティ・スポットになるに違いない。

・「レジ打ち」という職種は地位が上がることになる。レジ打ちさんは、その店の顔になるからだ。

・人工知能時代に起こりうる、「人作業の付加価値が上がる」現象である。

・無意識のうちに感知する生命情報」が、私たちの脳に安心感を与えてくれるのだ。その安心が人工知能にはない。だから、人工知能に、愛しいもののふりをさせてはいけないのである。心を込めるしぐさをして、心を込めた口を利くのに、生命情報がないというおぞましさ。それは、人の心を完全に蝕む。

・人工知能が得意とするのは、N個の事例から類型を見出し、N+1番目を創り出すという行為だ。

・アプローチの前に、祈りのポーズから始める。このことは、あらゆる競技にも効用がある。

・体幹バランスは、脳がしばらく聞くする。一度しっかりと黄金バランスが取れれば、その所作(競技)を続ける間くらいは、ゆるやかに効果がある。

・手のひらを優しく合わせる祈りのポーズの特徴は、肩甲骨とあばら骨の無駄な緊張が取れると共に、自然に、首が体幹の真ん中にすっぽり収まる点にある。肩甲骨とあばら骨が自由になるので、身体が柔軟になり、首が体幹の真ん中に据わるので、強い軸ができる。すべてのアスリートが憧れる状態が、いとも簡単に作り出せることになるわけだ。

・フィンランドの人たちは、冬にプールで泳いだり、氷を割って湖水に浸かったりするのだが、あれは我慢大会かと思っていたら、マイナス20度以下になると、水は温かく感じるのである。0度以下にはならないからね。

・尊敬できる老人の言うことは、四の五の言わずに素直に受け止め、尊敬できない老人からは、一目散で逃げることだ。

・アルデンテがわかるのは、世界にイタリア人と日本人だけ。イタリア人と日本人の間で交わされる、定番の「ご挨拶」なのだそうだ。

・ほぼすべての言語表現を、日本人は、訓読み系と音読み系の二通りに表現できる。「ありがとうございます。うれしかった」と「感謝しております。光栄です」のように。しかも、ねぎらいや親密感を表現したかったら訓読み系で、敬意や責任感を表現したかったら音読み系でと、無意識のうちに正確に使い分けているのである。

・これから始まるロボット社会。ヒトの感性に添うようにつくられる、自律型のメカたちを、感性の視点とメカの視点の両方から見つめつくすことができるのも、私は日本語脳の持ち主たちだと信じている。

・やがてやってくる人工知能時代。人の思いや動線を察して動く自律型のメカたちは、人と対話をすることになる。そのメカたちが、どのように言葉を紡いだら、私たち人類は、ストレスなくメカと共存できるだろうか。



成熟脳: 脳の本番は56歳から始まる (新潮文庫)

成熟脳: 脳の本番は56歳から始まる (新潮文庫)

  • 作者: 伊保子, 黒川
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/12/23
  • メディア: 文庫



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