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『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』 [☆☆]

・物理的に目に見えているものはほぼ全て「現象」に過ぎず、その現象を作り上げている物事の「本質」ではありません。

・資本主義とは「人間の欲望」をドライバーにして形作られている社会のことではないのかと。人間の「欲」をエネルギーとして使い、人間同士を競争させることで様々な発展と成長を生み出していく。

・ビジネスにおいては「同じ川を二度と渡ることはない」と言われます。たとえ同じ川の同じ場所を同じ時間帯に渡ったように思っていても、水量や水流や水温などが必ず違う訳で、文脈が同一条件になることは厳密にはあり得ません。

・実は他のアジア人と一緒にされたくないというインサイトがあった多くの日本女性の中では、「アジエンス」よりも「TSUBAKI」へのプレファレンスが高く、当時のNo.1ブランドだったラックスのような西洋っぽいブランドからも見事に「M」を獲得しました。

・「値下げは消費者にとって嬉しい!」というのは消費者の発言としては当然でしょうが、経済に少なからず責任のあるビジネスマンやメディアで発言する識者の視点としては間違っているのではないでしょうか?

・日本のテーマパーク業界のガリバーである東京ディズニーリゾートが長年にわたって低い価格設定で業界の天井を極端に低く抑え込んできたからです。

・東京ディズニーリゾートやUSJが建ってから、その低いチケット価格に圧迫された影響で、多くの遊園地が日本から姿を消しました。

・真実は、日本国民の購買力に比べて日本のテーマパークは安すぎるから、こんなに混雑しているのです。

・登りたい壁があるならば、まず足場を作る技術が必要なのです。高い壁があった時に一気に壁を飛び越えることしか考えられない人は、無理だと思って諦めます。そのような人は、階段(=戦略)を作る方法を知らないだけです。

・回帰分析とは、ある変数Yに対して、独立した変数であるAやBやCが、どの程度Yの変動に影響を与えるのかを分析するのに使います。

・出世するという目的のためにそうした方が良いのであれば、「恥ずかしい」とか「自分のプライド」とか「周囲がどう見るか」などの感情的な葛藤は、邪魔にしかならないのです。

・多くの人は、感情が意志決定に入り込みますし、自己保存を最優先にして現状維持を好みます。つまり「痛がり屋さん」です。自分自身の感情が痛む「タフコール」はしたくないのです。

・ようするに、人間はデフォルトに従う傾向が強いということ。自分でデフォルトから離れることを避ける、つまり面倒なことや負荷のかかることが嫌なのです。できるだけ意志決定などしたくなくて、独自の判断などしたくないということです。

・真実は「会社のために正しい意志決定をすること」よりも「自分が直面しているストレスから逃れること」を優先している。自己保存に基づいた行動です。

・発想の視野がルールを変えるところまで及ぶ、西洋人の方が日本人よりも圧倒的に強い。

・戦略家は、1)自分自身の時間をどこに集中して使えば戦果が最大化するか、2)自分以外の人々をどこにどう集中させて使えば戦果が最大化するか、この2つを冷静に考えるのです。

・脳がない動物はたくさんいるが、身体のない脳はない。脳は身体感覚を運動に変えるコンバーターとして発達してきた。

・我々の行動はほとんど感覚に対する反射であり、もっともらしい理由は後付けである。

・「文化が先行し、産業はあとからついてくる」も世の中の法則です。憧れの文化がまずあり、それを人々が欲しがるのです。

・役人の組織は実際に必要な仕事の量に関係なく肥大化する傾向がある。その増加率はパーキンソンの法則に従い、仕事量に関係なく5.17%から6.56%の間であることが証明されています。

・そもそも人類と他の動物の最大の違いは「学習能力」なのです。経験からどれだけ多くの学びを抽出して、その後の判断や行動指針に活用できるか。

・人に使われるということに精神的な抵抗がある人も少なからずいると思いますが、人に使ってもらえるということは素晴らしいことです。

・自分の能力を発揮するためには、自分を上手に使ってくれる人は得難い存在です。

・我々のできることは、日々目的に対して確率が上がる選択をすることだけです。その結果として長期的な平均確率(ポワソン分布のμ)が変わるのです。

・物事の多くは「現象」なので、考えない限り本質はなかなか見えるものではありません。本質を見極める方法は、極端な状況を思い浮かべること、あるいは自分と関係のない状況に置き換えてみること。不思議と本質が見えてきます。

・「世界はみんな腹黒い」と覚悟しておくべきです。



確率思考の戦略論  USJでも実証された数学マーケティングの力

確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力

  • 作者: 森岡 毅
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/06/02
  • メディア: 単行本



確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力 (角川書店単行本)

確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力 (角川書店単行本)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2016/06/02
  • メディア: Kindle版



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『データ資本主義』 [☆☆]

・21世紀初頭は75億人を超える人々の衣・食・住、教育、雇用を支える必要があるだけに、需要な資源はとてつもなく制約される。天然資源だけでなく、貨幣や時間も同じだ。コミュニケーションを向上させて、これまで以上に効率よく調整していかなければならない。

・米国では、買ってから欠陥が現れる質の悪いクルマを俗語で「レモン」と呼ぶ(良質なクルマは「ピーチ」と呼ぶ)が、結果的にレモンばかりが出回る中古車市場の状況を「レモン問題」という。

・貨幣を使ってモノの価値を表示すれば、その価値を過去に遡って調べることもできる。

・単に人数を増やせばいいというものではない。真実にたどり着く可能性が50%以上ある人物ならば、追加する意味があるのだ。

・ポーカーは美しいゲームだ。とりわけ、心理学、確率、ゲーム理論が複雑に絡まり合うところに醍醐味がある。優秀なポーカープレイヤーは、例外なくすぐれた記憶力、計算力、合理的指向の基盤がある。

・我々は伝達や処理が必要な情報の量を減らして、貨幣と価格に依存している。

・すっかり価格に慣れきってしまい、他が目に入らなくなっている我々にとって、多種多様な尺度に基づいて製品を比較し、自分にマッチする選択肢を特定するには、どうすればいいのか。

・溶接機を使うときに目の保護シールドを下ろさなければ安全が確保できないのなら、最初から溶接機にセンサーを取り付け、シールドが下りていることが確認できなければ溶接機が作動しない仕組みにしておくべきだ。

・人間は、現状維持に比べて現状変更のメリットを軽視し、未知のものより慣れ親しんだものを好む傾向がある。

・心理学の多くの実験では、被験者に二者択一の選択肢を提示している。だが、人生は白か黒かで片付けられるほど単純ではない。

・デジタル・ツールは、我々の行動をスピードアップするために使われているが、同時に、調整という社会的な仕組みを再編する可能性も秘めている。

・20世紀から使い続けている高コストの情報インフラを抱える銀行は、ペイパルやアップル・ペイなどのデジタル系のライバルとはまともに戦えない状況だ。

・フィンテック系のベンチャー企業が重点を置いているのは、格安手数料ではなく、革新的な付加サービスだ。

・コスト削減は短期的には業界にプラスに働くとしても、長期的には、沈みゆくタイタニック号で少しでもバランスを取ろうと甲板のデッキチェアの配置をああでもないこうでもないと変えている程度のものだろう。

・データには、交換手段として重大な欠点がある。データはそれ自体に価値があるため、紙幣よりもむしろ塩や金貨に近い。

・イノベーションとは画期的なアイデアではなく、いかに多くのフィードバック・データを集められるかにかかっていると言える。

・人々は依然として市場の様子をうかがってから判断を下す傾向があるが、誰もが同じシステムから助言を受けていることになれば、社会全体が同じ道を通って同じゴールに向かって進んで行きかねない。

・現実的には、自動運転システム導入の呼び水となっているのは、低燃費、高額な設備の利用率向上、人件費の削減といった経済効率だ。

・衣料品ショッピングの悩みは、自分の好みにぴったりの商品が存在しないことではない。ほとんどの人々にとっては、自分に似合う服を手間をかけずにさっと見つける手立てがないことなのだ。エコノミスト風に言うなら、アパレル業界はアイテム数を増やしてきたが、見つけやすさを高めてこなかったことになる。

・そもそも、意志決定で我々は何をめざしているのだろうか。正しい答えが欲しいのか、それとも判断後の幸福感が大事なのか。

・現実の細かい枝葉を削ぎ落せばすっきりするという発想は、過去の遺物となった。知識が少なく、情報が豊かでないときには、そういう発想でも役に立った。

・地球が平らだと決めつけるのはまさに単純化の典型である。実際、その見方で何世紀もの間、不都合なくやってこられた。我々の進歩があってようやくこの単純化に終止符を打ち、世界は平らな平原ではなく球体であるという、もう少し複雑な考え方を採用するに至る。その複雑さが人間を進歩させる一助となった。



データ資本主義 (ビッグデータがもたらす新しい経済)

データ資本主義 (ビッグデータがもたらす新しい経済)

  • 作者: ビクター・マイヤー=ショーンベルガー
  • 出版社/メーカー: NTT出版
  • 発売日: 2019/03/25
  • メディア: 単行本



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『「常識」としての保守主義』 [☆☆]

・政治に絡む諸々の現象を観察する際に大事なのは、「それが、どのように観えたか」ではなく、「誰が、どのような立場や視点に拠って、それを観たか」に留意することである。

・自らの「視点」に対する執着を示す。そのことは、他の人々の「視点」を排除するという意味の「偏狭」に結びつくのである。

・保守主義と呼ばれる思潮の本質は、人間の「理性」を懐疑し、その限界を認識するということにある。

・「右翼」には、「進歩」を拒絶し「変革」によって既に去った古い体制への回帰を模索する傾向もあるけれども、この傾向を鮮明に打ち出す立場は、一般には「極右」と呼び習わされる。

・そもそも、政治とは、他の人々を自分の望むとおりに動かすことを趣旨とする営みであるけれども、その営みを裏付けるのは、「暴力」、「富」、「魅力」を中身とする「権力」である。

・振り返れば、日本が近代国家として出発した明治という時代もまた、19世紀後半の「グローバリゼーション」の趨勢に否応なく巻き込まれれ、それに対する適応に没頭した歳月であった。

・広範な「国家の役割」への期待は、具体的には官僚層への「依存」の精神に通じている。

・帝政期におけるロシア芸術の豊饒さに比べれば、ソヴィエト共産主義体制下に登場した芸術作品が、総じて貧相な物であったのは、疑うべくもないであろう。こうした事情は、文化の豊饒さが人々の「自由」に裏付けされた多様な活動に支えられることを示唆している。

・共産主義や社会主義を標榜する国家の実態は、「官僚統制国家」である。

・「自由」の擁護を念頭に置いた諸々の政策は、必然的に「格差」を生じさせる。

・保守主義の思想の核にあるのは、人間の「理性」への懐疑である。一人の天才が自らの「理性」によって披露した見解や構想よりは、大勢の人々が多年に渉って尊重してきた慣習や伝統の方がはるかに信頼を寄せるに値する。それが保守主義の姿勢である。

・模索されるべきは、「変革」(change)ではなく、「適応」(adjustment)であるということになる。それは、元来、「正しい方向へ」(ad-just)移るということを意味する。

・「中庸」の美徳を支えるものは、第一義としては、「結局のところは、人間の手掛けることには限界がある」という感覚である。それは、物事に対する「謙虚さ」に相通じている。

・日本は、民主主義国家ではあるけれども、その国制は、「共和制」(republic)ではなく、歴然とした「立憲君主制」(constitutional monarchy)に他ならない。

・古代ローマ以来の「パンとサーカス」によって国民の歓心を買う政治手法には、「国民に対する不信と侮蔑」が反映されている。

・文化や芸術とは、人々の自由にして多様な活動における「時間の蓄積」を反映したものである。

・平時の政治家においては、自らを支持する特定の社会集団・階層の利害を優先しようという誘惑は、誠に強いものであるけれども、そうした誘惑に無分別に屈することは、国民各層に対して「断絶」の種を蒔くことである。

・川端康成の傑作『雪国』の舞台である越後湯沢にリゾート・マンションが立ち並ぶ風景を前にして、保守主義の政治は、それに怪訝な眼差しを向ける感情の受け皿を提供できるのか。そうしたことが問われているのである。

・政府の第一の義務は、人々を保護することであって、その生活を立ち行かせることではない。

・明治期に日本の発展を牽引したのは、実践を旨とする英国流の「現実主義(realism)、効用主義(pragmatism)」の思考であった。

・政治の前提とは、「多様性」であり、政治という営みの趣旨は、「異質な他者」との多様な関係を紡ぎ、それを切り回すことにある。

・ナチスから弾圧されたという政治上、道徳上の高みに拠って、ナチスに追随した人々を非難し、断罪するがごとき振舞いは、ドイツ国民の間に「断絶」を来すものでしかなかったのである。

・その再統一の実態は、「西」による「東」の「吸収合併」であった。東ドイツは、連邦国家としての西ドイツに「新連邦州」として編入されたのである。

・外交は機械工ではなく庭師の手法で行なわれるものである。

・民主主義体制は、「被治者」が「統治者」でもあることを要請する政治制度である。

・マルクス・レーニン主義の「肝」は、カール・フォン・クラウゼヴィッツが『戦争論』に残した「戦争は、別の手段による政治の継続である」という命題を転倒させて、「政治は戦争(闘争)の継続である」という命題を立てたことにある。

・東西両洋の古典は、「統治者」に対して統治の際しての「作法」を説く意味合いを持つ。



「常識」としての保守主義 (新潮新書)

「常識」としての保守主義 (新潮新書)

  • 作者: 櫻田 淳
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/01
  • メディア: 単行本



「常識」としての保守主義(新潮新書)

「常識」としての保守主義(新潮新書)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/01/17
  • メディア: Kindle版



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