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『ニュータイプの時代』 [☆☆]

・かつて高く評価された「問題解決者=プロブレムソルバー」はオールドタイプとして大きく価値を減損することになる一方で、誰も気づいていない問題を見出し、経済的な枠組みの中で解消する仕組みを提起する「課題設定者=アジェンダシェイパー」が、ニュータイプとして大きな価値を生むことになるでしょう。

・すでにモノが過剰に行きわたり、解消すべき問題が希少化しているのであれば、むしろ「失業」は生産性向上の末に達成された歓迎すべき状況だと考えるべきだということになります

・ケインズは「100年後には週15時間働けば十分に生きていける社会がやってくる」と予言しています。

・労働に関する需要が減少しているにもかかわらず、労働の供給量が変わらないために、本来的な意義を有さず、社会にとって意味のないクソ仕事に多くの人が携わって生きていかざるを得ない、というのが現在の社会です。

・「VUCAな世界」では、環境は連続的に変化し続けているわけですから、どこかの時点での環境に高度に最適化してしまえば、それは次の瞬間には時代遅れなものになってしまう。

・1965年に発表されたNASAの報告書には、宇宙船になぜ人間を乗せるのか、という批判への反論として「人間は非線形処理のできる最も安価な汎用コンピューターシステムであり、しかも重量は70キロ程度しかなく、非常に軽い」と記述しています。

・かつての日本において、「問題」というのは一種の天然資源のように、放っておいてもどんどん湧いてくるものだった。これは非常に恵まれた状態だったというしかありません。

・7世紀の遣隋使の頃から20世紀後半まで、日本にとっての「問題」は、常に海外先進国との差分として明確に示されるという、この「恵まれた状況」が、それこそ1000年以上にわたって続いていた。

・昨今のビジネス現場においては「予測=未来はどうなるか」という論点が議論されるばかりで、より重要な「構想=未来をどうしたいか」という論点はないがしろにされがちです。

・とくに才能があるわけではない平凡な人間にとって、暇な時間をどう使うのかは恐ろしい問題である。

・「部下がだらしない、使えない」と嘆いている管理職がどこの組織にも見られますが、これは典型的なオールドタイプの思考モデルであり、本当に嘆くべきなのは「部下を動機付ける「意味」が与えられない」自分の不甲斐なさであるべきでしょう。

・大規模な消費者調査を行い、得られた調査結果を統計的に分析し、分析結果をデザイナーやエンジニアに正しくフィードバックしたところ、どの企業からも金太郎飴のように似通った「正解」が提案されることになったわけです。

・経営というのは本質的に差別化を追求する営みですから、いくら論理的に正しい解答であっても、それが他社と大同小異であれば、そのような凡百な「正解」には価値はありません。

・チャーチルがナチスドイツの新しい意味を提示するまで、ヨーロッパの人々が考えていた「ナチスドイツの意味」とは、やがてやってくるソ連(共産主義)との戦いにおいて主導的な役割を担ってくれる国、というものでした。

・科学でなければ、何が答えを準備してくれるかを明言することは難しいですが、その答えのひとつとしてあるのは「倫理」でしょう。人間が何をすべきか、何をすべきでないかの線引きは、科学では用意できません。

・人類が考え出した数多くの美徳のすべてを、ただひとつの名前で総括することができよう。すなわち「服従」である。

・いつ後出しジャンケン的に改定されるかわからない明文化されたルールよりも、自分の内側に確固として持っている「真・善・美」を判断する方が、よほど基準として間違いがありません。

・「役に立つ」という機能軸での量的向上をひたすら目指してやってきた日本企業の多くは、それ以外の軸での価値提供を考えることができず、相も変わらずに量的向上を目指して「生産性低下の王道」を驀進しています。

・日本というのは「デュアルスタンダード」、つまり複数のモノサシを同時並行的に扱うことで、一つのモノサシだけを視野狭窄的に追求することで発生してしまうカタストロフィを巧みに回避するということをやってきた民族でした。

・人生を浪費しなければ、人生を見つけることはできない。

・「なぜリスクが取れないのか」という論点を深く掘ると、そこに「撤退が下手」という要因が浮かび上がってきます。一度始めた以上、なかなかやめられないということであれば、当然ながら「始まり」には大きなリスクが伴うことになります。

・重要なのは、のべつまくなしに「常識を疑う」という態度ではなく、「見送っていい常識」と「疑うべき常識」を見極める選球眼を持つ、ということです。

・マクドナルドのある国同士は戦争をしない。これは、マクドナルドの店舗が経営的に成立する水準まで中間層が勃興した国では、戦争を遂行できるだけの権力集中が不可能になる、ということ。

・ほとんどの企業で主流となっている意思決定の仕組みを分析し、そのスタイルを「ヒッポ=Hippo」と名付けました。「Hippo」とはすなわち「一番給料の高い人の意見=Highest-Paid Person's Opinion」の略で、カバのことではありません。

・アメリカのパニック映画を見てみると、未曾有の問題が発生した際に、それに対してリーダーシップを発揮するのは中央=コアにいる人ではなく、周辺=フリンジにいる人が多い。

・日本をはじめとした先進国において精神を病む人がここまで増えているのは、多くの人が「ゴミを作り、売る」ということに対して「意味」を見出せていないからでしょう。

・「新しい時代の転換」は、オールドタイプがかつて目指したような「ファンファーレを伴ったシステムのリプレース」によってなされるのではなく、誰もが気づかないうちに「人間の見方」が変わることで起きます。



ニュータイプの時代

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ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式

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