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『欲望の資本主義 3 偽りの個人主義を越えて』 [☆☆]

・欲望は、常に「今ではない何か」を志向してしまうもの……イルミネーションであり、フィクションであり、増幅されるもの。

・祈りとは「問いかけ」です。かつての私たちは、わが子が病気になったら神に祈っていました。「うちの子は大丈夫ですか?」と、神に問いかけ、祈っていたのです。

・今日、異性に最もアピールできる価値は、「高収入で、都会に住んでいて、創造的な仕事をする才能がある」ことです。そして、それを異性に示すことができる最も簡単な方法はiOSを持つことなのです。iOSを持っているということは、1300ドルもする電話を購入する経済力があることを意味します。

・ピーター・ドラッカーは「経済の目的は中流階級を作ることだ」と言っています。

・人はモノでは幸せになりません。人を幸せにするのは体験です。

・かつて、私たちの目標は大勢のミリオネアを生み出すことでした。良き市民として一生懸命に働き、ルールを守れば、一生で100万ドルは貯蓄でき、経済的安定を手に入れられるはずでした。

・アメリカの目標は大勢のミリオネアを生み出すことではなく、少数のトリリオネアを生み出すことになってしまいました。

・Braveにはプライバシー機能があります。独自のトークンも連動しており、広告収入は利用者と分け合います。他のブラウザと比べてかつてない成長率で新規ユーザーを獲得し、既に何百万人もが利用しています。

・健全な雇用を創出するためには、仕事を守るのではなく、被雇用者を守らなければなりません。仕事を守ると、短期的な仕事や不平等な雇用形態がはびこる危険性が生じます。

・経済学者にとってバブルの予測ほど難しい問いはありません。不動産バブルと同じく、社会現象だからです。

・十分なパンが供給できているのは、決断する権限を分配しているからです。小麦を作りたい人が小麦を作り、パンを売りたい人がパンを売る。人々がそれぞれ決断する。人々が決断の自由を持つことが自由市場の成功の秘密です。

・ひとつ1ドルでは売れないとすれば、値段はいくら適正価格でも高過ぎることになるのです。反対に20ドルでも売れるなら、コストからは法外な値段でもそれが価格になります。

・ソ連の情報はすべてモスクワの指導部に集まりましたが、共産主義の官僚たちはその情報をうまく理解し、適切な判断ができなかったのです。そのため、社会主義システムは自壊しました。

・ビッグデータやAIは分散型よりも集中型の方が効率よくデータ処理ができます。ビッグデータでは、一か所により多くのデータがあればあるほどアルゴリズムが良くなるからです。

・ある一人の医療記録とその人のDNAを見るだけでは、特定の遺伝子が特定の病気の原因であることを知ることはできませんが、10億人のデータを集めることができたら、統計により解明の鍵が得られます。

・中国のような国では、政府が「中華人民共和国の人民は全員、国立の遺伝子銀行にDNAのサンプルを渡さないといけない。また、すべての治療記録のアクセスを許可しないといけない」と言えます。一気に、10億サンプル以上の世界で最も大きな医療・遺伝子データベースができあがるわけです。それをもとに、最高の医療アルゴリズムを作ることができます。

・仕事がなくなること自体は問題ではありません。多くの仕事は、労働者にとって特に価値ある仕事ではないからです。

・広告業界の仕事の99%は、もともと存在していなかった欲望を作り出すことと、既に存在する欲望をより大きくすることです。

・実際の政治で重要なことは、リソース(資源、富)を分配すること。そしてリソースを分配するには、マテリアル(原料、材料)を変形・変換することが前提です。

・ポストトゥルースとは、知識よりも意見が重視される新しい潮流です。

・ポストトゥルースの時代に、私たちがインターネット上で目にする情報の大半は、知識ではなく意見です。

・人文科学分野そのものにも問題があります。「真実など存在しない。そこには社会があるだけだ」といったポスト構造主義の主張により、この分野そのものが崩壊してしまったからです。

・概念とキーワードは違います。真実を理解しようとする試みが概念であり、キーワードは武器のようなものです。

・哲学は考え方を変え、それによって現実を変えます。

・人間は、現状を違った角度から捉えることを学ぶべきです。言われるがままの見方で現状を捉えていては、巷に溢れているイデオロギーの犠牲者になってしまいます。

・ソーシャルメディアは、共産主義の究極の勝利である。なぜなら万人が、民衆の労働に依存しているからだ。「民衆の労働」とはクリックや「いいね」のことです。

・政治家たちも、ソーシャルメディアでの反応を重要視しています。ソーシャルメディアは、労働者(プロレタリア)によるデジタルな独裁制というわけです。

・物質的豊かさや欲望に関しては現世代も前の世代もさして違わないが、現世代が明らかに異なるのは、自分の欲望の実現を妨げる障害物や、他の目的との衝突を決して容認しない点である。

・人間は元来怠惰、不精、軽率で浪費家であり、人間をして目的と手段を合致させ、経済的に、もしくは注意深く、行動するようにさせうるのは環境の力のみである。

・スミスの主たる関心は人間が最良の状態にある時にたまたま達成しうることにあったのではなく、人間が最悪の状態の時に害をなす機会をできるだけ少なくすることにあった。

・心臓移植の手術では、誰もが提供する側ではなく受け入れる側になりたがる。しかし、脳移植手術の場合は、逆に提供者になりたがる。

・脳を主人と見なすのではなく、気難しい召使ととらえ、脳を守り、活力を与え、活動に意味を与えてくれる身体のために働くものだと考えないかぎり、脳の機能を正しく理解することはできないのである。

・どんなに優れた人間でも、「合理性」の名において考えることができるのは、高々「部分的な正解」であり、すべての世界を縫合するような「全体として正解」など構想できない。

・部分最適の総和は「全体最適」とはならない。



欲望の資本主義3: 偽りの個人主義を越えて

欲望の資本主義3: 偽りの個人主義を越えて

  • 作者: 丸山 俊一
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2019/06/28
  • メディア: 単行本



欲望の資本主義3―偽りの個人主義を越えて

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  • メディア: Kindle版



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