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『未来予測入門 元防衛省情報分析官が編み出した技法』 [☆☆]

・AT&Tが、コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーに「2000年時点の携帯電話の市場規模を予測してほしい」と依頼したことがある。この依頼に対してマッキンゼーは、最終的なレポートで「90万台」と回答したと言われている。

・北朝鮮の歴代指導者やアメリカのトランプ大統領などは、客観的に見れば理にかなっていると言い難い、突拍子もない行動をとることで世界中を驚かせることがある。トランプに至ってはおそらく彼自身さえも、半年後に自分が何をするかよくわかっていないのではないだろうか。

・予測というのは基本的に自分自身に関係あることを予測していればいいであって、100年後の未来を予測することにあまり意味はないよ。

・戦略を決定するには、まず「自分は何を知らなければならないのか」という「問い」を明確にしなくてはいけない。

・イラク戦争で米国は「イラクのサダム・フセインは大量破壊兵器を保有しているか?」という「問い」を設定したが、そのせいで逆に自らの問いを肯定するような情報ばかり集めてしまった。アメリカはのちにこのことをインテリジェンスの失敗と結論付け、「フセインは、なぜ大量破壊兵器を保有していないと言えるのか?」といった、最初の問いを自己検証するような新たな「問い」への転換を行なうべきだった反省しているんだ。

・大事なのは当初の「問い」を別の「問い」に置き換えて、本当に知らなければならないこと、すなわち論点を明確にしていくことだ。

・過去形で語ることで、実際に「未来に行って帰って来た」ように感じられるからね。「会社はテレワークを完全導入した」と断言することで、「それにより社員たちは?」といった「次」を予測する発想が出てくる。



未来予測入門 元防衛省情報分析官が編み出した技法 (講談社現代新書)

未来予測入門 元防衛省情報分析官が編み出した技法 (講談社現代新書)

  • 作者: 上田 篤盛
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/10/16
  • メディア: 新書



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  • 作者: 上田篤盛
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/10/16
  • メディア: Kindle版



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『つんつんブラザーズ』 [☆☆]

・欲しいものを買い、必要なものには金をかけない。

・人間は誰も、死ぬだいぶ前に、いらなくなる。不要になるのである。

・「安心」というキャッチフレーズを信じていたとしたら、さらにおめでたいことである。

・僕は、血が繋がっていることに意味があるとは考えない人間だ。親子の関係も、育てた時間に意味がある。

・「謝罪しろ」という怒りは、謝罪されたら行き場を失って、困ることになる。

・機械は生きていない、死者も生きていないという意味で、同じなのである。

・楽園と呼ばれるような観光地も、現地の人にとってみれば、貧しさから抜け出せない田舎なのである。

・帰り道に迷わないように、分岐点では、必ず後ろを振り返ることにしている。その方向の映像を記憶しておくことが、迷わない秘訣である。

・「屋台が炎上」などというニュースでも、屋台が何をして非難されたのか、と考えてしまうようになった。まさか、本当に燃えたとは考えない。

・本当にじっくりと取り組んで考えている人ならば、質問にはならず、自分のやった成果を語るはずだ。

・犬は、自分が見たものが現実であり、自分が知ったものが現実だと考えるしかないから、自分が知っていれば、誰もが知っているものになってしまう。

・仕事の関係というのは、報酬を払う側と、それに対して奉仕する側、つまり金の流れる始点と終点からなる。

・国立大学にいたから、お役所仕事も目の当たりにしている。「どうしてそんな無駄なことをわざわざするの?」ときくと、返ってくる答は、「それをする役目の者がおりまして」である。

・科学的なバックグラウンドがないと、すべてがSFになり、すべてがリアルなのだ。何がファンタジィで、どこから起こりうる未来なのかも、区別がつかなくなる。

・当時既に実現していた。単に普及していなかっただけである。

・大事なことは、政策である。民衆が喜ぶような政策ではない。民衆がちょっと困るような、つまり我慢を強いられるような政策を、きちんと説明すること。それが政治家に求められるリーダーシップの本質である。

・Amazonで読者の評価が低い作品ほど売れているのも同じで、売れているから、好意的でない人まで読む結果、評価の平均値が低くなる。

・安全とは、危険の確率を下げること、ゼロにすることではない。

・自分が置かれている状況が、どの程度に危険なのか、普段から意識しておき、常に確率が低い方を選択して行動していれば、大半の事故や被災は防ぐことができる。

・自己が実際に起こったのを見て、慌てて「ゼロにしろ」と言うような対処では、安全は実現できない。次に現れるものは、今まで顕在化しなかったものだ。

・ニュースになった過去の事故しかイメージできない人が多い。

・知りたいことは、自分の目で見て学ぶ。この観察力に、まず非凡な才能が発揮されるのが天才である。見ればわかる、ということだ。

・確実に言えるのは、天才は自分で自分を評価していることだ。人に評価されることが目的の凡人は、人に見てもらうまで出力結果の評価が見えない。だから遅いのである。

・大勢がいる場所に長時間いる人は、周囲の人間によって、自分の感情の大部分が作られていることを、多少意識した方が良い。認識していれば問題ないが、無意識に受け入れていると、一人になったときに感情がなくなっていて、笑えない、泣けない、という状況になるかもしれない。

・面接で本人の意気込みをいくら聞いても、わかるのは演技力だけ。

・祭りで餅や菓子を投げる人は少ないが、群がってそれを受け取ろうとする人たちは大勢いる。この少数対多数の関係が逆転するような事例はまずない。

・死が怖いのではない。ただ、明日も明後日もやりたいことがあるだけだ。

・機械の信頼性は向上し、トラブル・ゼロに近づいている。ただ、その一端は、未だ人間による整備に支えられている。

・人口減少で問題になるのは、安全である。犯罪に対する防御が、どのようなレベルで実現できるか。そのあたりが、都会と田舎の最後の決着をつけそうだ。人は、安全な場所に移動したがるはずだからである。

・警察や法律が抑止できるのは、軽犯罪だけ。自分が死んでも良い、という人間が起こす犯罪は防げない。

・恩人がいないというのは、窮地に陥らない用心深さの証かもしれない。

・ヨーロッパのある時期の美は、豪華絢爛な装飾の量を競ったが、それらは、富で美を買おうとした哀れな行為としてしか歴史に残らなかった。

・日本には古来、朽ちゆくもの、滅びゆくものの美へ注ぐ目があった。しかし、それは弱さを求めたのではなく、着飾った虚構が崩れ、還元される本来の姿に、永遠という強さを求めようとしたものだ。



つんつんブラザーズ The cream of the notes 8 (講談社文庫)

つんつんブラザーズ The cream of the notes 8 (講談社文庫)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: 文庫



つんつんブラザーズ The cream of the notes 8 (講談社文庫)

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  • 出版社/メーカー: 講談社
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『国家と教養』 [☆☆]

・「何もない」を「0がある」と達観したインド人の勝利だったのです。

・ヨーロッパは長い中世の時代、無教養どころか、読み書き計算すらできない無知蒙昧の地だったのです。

・どの国も、口先では人道とか正義とか平等を唱えながら、あくまで国益を優先します。

・現在でもヨーロッパでは、「大戦争(The Great War)」と言えば第二次ではなく、より多くの死者を出した第一次大戦のことです。

・ユーモアを生むには、いったん自らを今ある状況から一歩だけ退き、永遠の光の中で俯瞰するということが必要です。これは現況への没入を忌避するということであり、バランス感覚につながります。

・イギリス人は「他人と違うことは格好いい」という文化がありますが、これは自分が付和雷同していない、バランス感覚を保っているという証拠だから格好いいのです。

・ヒットラーがまず手がけたのは、自分達に近い政見を持つこれら政党を一つずつ壊滅させることでした。自分たちに近い政党とはとりあえず手を組み、敵対的な政党を潰しにかかるのが普通なのに、まず近い政党を壊滅させるというのですから、すでに天才的政略家です。

・周囲に一見論理的であるけれど現実や本質をよく見ないで、口角泡を飛ばす人々をよく見かけました。彼等を「ロジカル・イディオット(論理的バカ)」と呼んでいました。

・アメリカやフランスにロジカル・イディオットが多いのに対し、ドイツにはロマンチック・イディオットがが多いと思います。何か美しい原理や原則に陶酔すると、バランス感覚を失い、突っ走ってしまうのです。

・ハル・ノートを書いたのは、財務次官補という要職にあったハリー・ホワイトでした。1995年に公開されたソ連の暗号解読文書(ヴェノナ文書)によると、彼は歴然としたソ連のスパイでした。

・幾多の教養層の人々が戦後、「私は騙されていた」と語りました。しかし教養層ともあろう人は、新聞を飾る戦争宣伝文句の嘘に気付くだけの政治常識や軍事常識を持たねばならなかったのです。

・手塚治虫はこう言いました。「君たち、漫画から漫画の勉強をするのはやめなさい。一流の映画を見ろ、一流の音楽を聴け、一流の芝居を見ろ、一流の本を読め、そしてそれから自分の世界を作れ」。

・実生活において、論理などというものは吹けば飛ぶようなものです。人を殺してはいけない論理も、人を殺してよい論理も、少しでも頭のいい人ならいくらでも見つけることができます。

・現代社会の病の本質は、世界的規模での民主主義の浸透に、各国国民の教養がついていっていない、という不合理にあったのです。

・ドン・キホーテは読書により紳士になった。そして読んだ内容をそのまま信じたため狂人となった。



国家と教養 (新潮新書)

国家と教養 (新潮新書)

  • 作者: 藤原 正彦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/12/14
  • メディア: 新書



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