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『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』 [☆☆]

・家庭という意味の「オイコス」と、法律、ルール、制約という意味の「ノモイ」がひとつになって、「オイコノミア」という言葉が生まれた。この「オイコノミア」こそ、「エコノミー」の語源だ。エコノミーとはもともと、「家庭を運営し、管理するための法則」というような意味だった。

・今の経済を表すには、「アゴラノミー」という言葉の方がふさわしい。アゴラとは市場のことで、アゴラノミーとは「市場の法則」という意味だ。

・最初のうちは、ものすごい数の濃度が労働力を「売り出して」いたのに対して、買い手はほとんどいなかった。数十年後に最初の工場ができてやっと、労働力への需要が高まった。

・昔の心配は、領主が十分な分け前を与えてくれず、冬が来たら食べ物がなくなって死んでしまうかもしれないということだった。だが、今の心配は全く違う。「羊毛が高く売れるだろうか? そのお金で賃料を払い、かつ子供たちを食べさせていけるだろうか」それが新たな心配の種になった。

・フォースタスがメフィストフェレスに負った債務の物語は、当時の人々が「市場のある社会」から「市場社会」への移り変わりを心配していたことを映し出している。この物語は、自由な選択、履行義務を伴う契約、そして債務と利子の関係を描く中で、近代ヨーロッパで利益の追求という考え方が出てきたことと、それが引き起こす不安を見事に映し出していた。

・プロテスタントは、ローマ教皇と枢機卿たちへの反対から生まれた。カトリック教会では、教皇と枢機卿だけが神と対話できるとされていた。一方、教会の権威者を通さなくても、誰もが自由に神と話せるとしたのがプロテスタントだ。

・「やけくそになって悪魔に魂を売ろうとしたのに、いらないって言われたようなもんさ!」失業した人たちが、食べていくために劣悪な労働に身を落とそうとしても雇ってもらえなければ、そんな気持ちになるものだ。

・被害者に対して被害者づらするなと言うことほど、相手を傷つけることはない。

・成功には個々人の協力だけでなく、個々人がみんなも協力するだろうと「信じている」ことが必要になる。

・集団全体が楽観的なら、楽観的な憶測が現実になる。集団全体が悲観的なら、悲観的な憶測が現実になる。全員がそのことを意識すればするほど、予想した未来が現実になる可能性は高まっていく。

・市場社会は技術革新を利用して人間をロボットに置き換えるだけでなく、人間がロボットよりも安ければ、人間を機械代わりにしてしまう。

・国家に紐づかないビットコインのような仮想通貨の最大の弱点は、危機が起きたときにマネーの流通量を調整できないことにある。

・人々が豊かな森を切り崩したことで土壌が緩んで海に流れ込み、土地が干上がったのだ。

・イギリス人がやってくるより数千年も前、アボリジニはオーストラリアにいた大型哺乳類をすべて絶滅に追い込んだ。

・節度のない者は「愚か者」になる。ダメと知りながら競争を止められない。

・古代ギリシャでは、公共の利益を考えられない人、つまり自分のことしか考えられない人は「イディオテス」と呼ばれた。

・地球を救うには、誰かが地球を買えばいい?

・市場社会が地球の資源をきちんと管理できないのは、これらの資源には経験価値はあっても交換価値がないからだ。だから、これらの資源にも交換価値を与えればいい。

・満足したブタより不満な人間の方がいい。満足なバカより不満なソクラテスの方がいい。もしブタなりバカなりがそう思わないとしたら、それは彼らには自分のことしか見えていないからだ。

・本物の幸福を味わえる可能性のある人生とは、何者かになるプロセスだ。ギリシャ人はそれをエウダイモニアと呼ぶ。「花開く」という意味だ。

・私は十代の後半から二十代の前半にかけての自分の写真を見て、当時執着していたことや、好きだったものや考えていたことを思い出すと、恥ずかしくて穴があったら入りたくなる。当時の好みや欲をずっとかなえ続けてくれる世界に、自分は住みたいだろうか? とんでもない。

・幸福になるには、それを求めないことだ。幸福は美しい蝶のようなものだ。追えば追うほど逃げていく。しかし別のことに気を取られていると、そっと方に止まっている。

・私が絶対に嫌で恐ろしいのは、気づかないうちに誰かにあやつられ、意のままに動かされてしまうことだ。

・経済を経済学者に任せるのは、中世の人が自分の運命を神学者や教会や異端審問官に任せていたのと同じだ。

・経済学者が数学を使うから科学者だと言い張るのは、星占い師がコンピュータや複雑な表を使うから天文学者と同じくらい科学的だと言うのと変わらない。

・人を支配するには、物語や迷信に人間を閉じ込めて、その外側を見させないようにすればいい。



父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

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  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2019/03/07
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