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『13の未来地図 フレームなき時代の羅針盤』 [☆☆]

・明治維新は厳密な意味では、革命ではありませんでした。革命を定義するうえで最も重要なのは、過去との断絶です。その象徴的な事象が「旧体制のボスの処刑」ですが、明治維新ではその最も革命的な断絶的な行為はありませんでした。

・過去との断絶が革命だとすれば、過去との継承が行なわれた日本の明治維新は「革命」ではなく、「改革」です。ですから日本はまだ革命を経験したことはありません。

・コストもかからず簡単な作業で自分の人となりや才能を、世界の人に伝えられるところにネット社会の本質がある。

・「フレーム問題」三カ条の、「人工知能(AI)」の部分を「ダメ社員」に置き換えてみるとこうなります。(1)ダメ社員は、与えられた問題しか解けない。(2)ダメ社員は、問題を作り出せない。(3)ダメ社員は、問題から外に出られない。まさに今、企業が問題視している人材像にぴたりと一致しますよね。

・誰かが面白いというものは、人を魅了する何かが必ずあります。だから誰かの「面白い」という評価は100%信じるようにしてきました。反対に、誰かの「つまらない」という評価は信じません。もしかしたらその人にその魅力を感知するセンスや才能がないだけかもしれないからです。

・そもそも同じ時間に全員一斉に仕事をやめなさいというやり方は、大量生産の工場のマネジメントです。いまだに人間を機械と同様に扱っているから、残業時間という数字だけを削ればいいという安直なやり方になってしまうのでしょう。

・「バーチャル」という言葉の本来の意味は「本質的な」という意味です。つまりバーチャル・リアリティとは、本質的な現実という意味。日本ではすっかり反対の意味でこの言葉が使われるようになった。

・人が熱情を込めるときというのは、その人が一番避けたいテーマだったり、失敗したところである場合がほとんどです。なぜかというと、嫌という感情にいたるものこそ、その人が最も大切にしていることにつながっていたりするからです。

・知識の量を誇る時代から、情報の真偽を見極める知性の時代へ。

・お金というのは、信用できない人とも取引ができるよう「信用」をシンプルかつ瞬時にやり取りするための、コミュニケーションツールと同じだということです。

・モノより情報に価値がある。それは大量にモノを作って大量に消費することではなく、一つひとつのモノを大事に体験すること。つまり情報とはモノを体験したことの記憶なのかもしれません。

・東南アジアの賃金が高くなるとどうなったでしょうか。それより安い南アジアやアフリカ諸国はありますが、そこまでは工場移転できません。なぜか? そこまで離れると遠くなり、むしろ移動コストがかかりすぎて、そもそも成立しないのです。

・社員はどこでどのように働いてもいいということになっていくはずなんです。出退勤管理の概念はなくなり、管理ではなく、個人の成果の集合体になります。

・働く場所が変わったり、時間が労働が減ることが働き方改革の本質ではありません。働き方を改革するということは、組織と個人の関係が変わるということです。

・VHSがDVDになりブルーレイになった映像メディアの進化といったことと同じように見えて、実はまったく違う変化です。つまりフレームが技術の進化で次のフレームに移行したような従来の変化ではなく、フレーム自体の消滅を意味する根本的な概念の変化です。

・番組のライバルは他局だけではありません。YouTubeだったり、映画だったり、行楽地だったり、家族との団欒だったりします。実はそちらの方がはるかに強力な裏番組です。



13の未来地図 フレームなき時代の羅針盤

13の未来地図 フレームなき時代の羅針盤

  • 作者: 角田陽一郎
  • 出版社/メーカー: ぴあ
  • 発売日: 2018/03/16
  • メディア: 単行本



13の未来地図 フレームなき時代の羅針盤

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  • 出版社/メーカー: ぴあ
  • 発売日: 2018/03/16
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タグ:角田陽一郎
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『サイコパス』 [☆☆]

・サイコパスについて「感謝祭のディナーで七面鳥を切るときに感じるわくわくした気持ちで、被害者を拷問したり切り刻んだりする」と形容しています。

・普通に見える、あるいは普通以上に真面目で「いい人」であるかのように装う能力を持っているのがサイコパス。

・心拍数がもともと低く、しかも上がりにくい人の方が、反社会的な行動を取りやすいという、正の強い相関関係が示されている。

・モラルに反する行動をする時(あるいは、これからしようとする時)、一般の人間は心拍数が上がります。心拍数が上がると、不安感情が喚起され、パニック状態になったりします。そのシグナルによって「こんなことをしてはいけない」と感じ、その行動を反省したり、中止したりします。

・心拍数の低い人間は、一般人と同じような感じ方ができない。したがって相手への共感性に乏しく、反社会的な行為へのハードルが低くなる。

・心拍数が低い状態とは、脳の覚醒レベルが低い状態であるとも言えます。

・サイコパスは道徳によって判断することはありません。「合理的なのだから、それが正しい」と考えます。そう答えることによって、自分がまわりからどんなバッシングを受けるかは、予測する能力を持ちません。

・博愛主義者とは、特定少数の人間に対して深い愛着を築けないサイコパスなのかもしれません。

・脳科学や神経科学の研究者は「遺伝的な要素が大きい」と判断しがちであり、社会学者や教育学者は「後天的な要素が大きい」と判断しがちな傾向があります。

・家庭生活が安定していようと不安定であろうと、サイコパスが最初に姿を現すのはほぼ14歳であり、健全な家庭に育ってもサイコパスの場合は環境が歯止めにならない。

・戦場でためらいなく敵兵を殺せるのは100人に1人か2人しかいないそうです。

・戦場では、自分が殺されるかもしれない状況でも迷いなく落ち着いて敵を攻撃することができ、味方の悲惨な死体を見ても心理的なダメージを負わない人物が勇敢な英雄として讃えられてきました。そういう人間は、おそらくはサイコパスでしょう。

・サイコパスの特性を考えると、面接ばかりを重視した採用試験や大学のAO入試には、問題があるといわざるをえません。過剰に魅力的で、確信をもって堂々とした話しぶりをするサイコパスばかりが通る試験になりかねないからです。

・MENSAは「人口上位2%の知能を持つ人間のみが入会できる」ことを謳っています。しかし、たかだか50人に1人程度の知能で天才であるとは、ちょっと言いすぎではないでしょうか。

・何かを信じたら、そのまま信じたことに従い、自分で意思決定しない方が、脳に負担がかからず、ラクなのです。たとえば、宗教を信じている人の方が、そうでない人よりも幸福度が高いというエビデンスもあります。

・サイコパスは、「信じたい」という、人間の認知のセキュリティホールともいえる弱点を、巧みに突く生存戦略を取っている存在とも言えます。

・精神分析も人間学的心理療法も日本では根強い人気があります。しかし、犯罪抑止に効果が実証されているのは、認知行動療法のみです。



サイコパス (文春新書)

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  • 発売日: 2016/11/18
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タグ:中野信子
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『知の英断』 [☆☆]

・私の孫は、学校では教科書さえ使わないんです。単にiPadを持っているだけで。

・第三世界(辺縁国)の近代化は、先進国が通ってきた道を後追いするかたちで起こるのではなく、先進国に従属するかたちで起こり、世界システムの中で先進国は必ず第三世界を搾取する。

・「ドラッグ撲滅」というのはアメリカが作ったスローガンで、ドラッグの問題は、とにかく禁止することが解決策だと言い続けた。以前アメリカは、全く同じ方策でアルコール問題に対処して、大失敗だったわけです。

・ポルトガルは2001年、マリファナ、コカイン、ヘロイン、メタンフェタミンなどあらゆるドラッグを「非刑事問題化」した。ドラッグの所持、使用は今でも違法だが、所持が見つかった場合でも、10日分の使用量(マリファナ25グラム、ヘロイン1グラム、アンフェタミン1グラム、コカイン2グラムなど)を所持しているぶんには駐車違反程度の罰金ですむ。しかし、それ以上だとドラッグの売人とみなされ、刑事法違反となる。

・愛国心とは、つまらない理由のために殺したり殺されたりする意志のことだ。

・戦争というのは誰が正しいか(right)を決めるものではなく、誰が生き残るか(left)を決めるものだ。

・むき出しの資本主義や社会主義ではなく、責任ある市場経済が求められる。

・人生は、運が大きく左右します。最初のチャンスがあったとき、それがいかに重要なものか認識して、すべてをかけるべきです。

・他文化から学ぼうとしないのは、間抜けと狂人の国だ。学んだからといって自分の文化を捨てるわけじゃないんだから。

・アフリカの言葉で「人間の親切心」を表わす「ウブントゥ」(Ubuntu)という言葉。

・人生で最も大切なのは自分の評判である。たとえ大金持ちであっても、世間の評判が悪ければけっして幸せにはなれない。

・問題は中国の政治家たちが、自国の13億人を相手に発言をし、日本の政治家たちが、自国民を相手に発言しているということです。



知の英断 (NHK出版新書)

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  • 作者: ジミー・カーター
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2014/04/09
  • メディア: 新書



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