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『社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた』 [☆☆]

・境界や限界はずっとあり続けるもので、どんな力が働いてもまず変わることがない。シカゴは「ご近所が集まってできた街」だと自分たちで公言している。それは同時に、社会や人種の境界で秩序だって分断されているということでもある。

・波風立てるな、負け犬に手を貸すな。

・ブラフマンという階級の生まれだ。インドのエリート階級であり、独特の考えを持つ。何を見ても無粋だと思う傾向があるのだ。

・犯罪をやらかす人たちはいつも、自分の行いは何かの高い志に沿った営みなんだということにしたがる。風俗嬢が自分は医療行為みたいなことをしている「セラピスト」だと言う。ヤクの売人が自分はコミュニティの腐ったリンゴからお金を取り上げてるんだと言う。

・彼らはみんな、同じ方を指さしていた。じっと動かず変わらない生活に焦点を当てるのではなく、動きと変化に目を向けろ、そう言っていた。彼らは境界線を引く代わりに、境界線を乗り越えている。

・自分が築き上げた人間関係を全部合わせたもの、それが彼らにとっての本当のコミュニティであるようだ。だから、都会における人付き合いは地域の上に成り立つという考えを捨てるのが、僕の最初の一歩となった。

・じっと座っていられない。動かないといけない。流れに乗って、どこだろうと行き着くところへ行き着いてみないといけない。

・科学的な手法だけでは役人やもっと広く一般の人たちを動かすことはできない。文章もうまくないといけない。研究を物語として語れないといけない。

・ジャーナリズムにつきものの、逸話の描写に頼るやり方が危ういのもわかっていた。逸話は幅広く当てはまるとは限らず、違う事例では何の意味もないこともあるからだ。

・でも、本当にすごいヤツなら、やってみせる必要さえない。

・グローバルな都市では金融や不動産、エンタテインメント、メディアが主役だ。昔ながらの都市が製造業や重工業の残りかすで細々と食つなぐのとは対照的だ。

・自分たちの絆に呼び名を付けていそうな集まり。

・お互いさまの行動は、自分は身内だよ、信頼していいよと示すシグナルになる。

・だいたい、誰かが誰かとの関係を利用して儲けようとして争いが起き、みんながそれぞれどっちかの肩を持って、この小さな世界に裂け目が入るのだ。

・退屈しているのと人嫌いなのの間の、ちょうどいいぐらいの調子を出そうとした。

・アングラの世界では、予想通りで人を浮足立たせない行動が何より大事だ。今度は誰が自分を食い物にしにくるかと、みんないつも背中を気にしているからだ。

・悩みを打ち明けるのが、人との関係を上手に築けるいい方法なのがわかった。

・ときどき売春婦、つまりいっぱしの犯罪者である女の子。

・社会学は社会を変えようなんて大それた夢を持ってできた学問だ。でも今や、手っ取り早く物事を変えたい人たちは経済学に望みを託している。

・ニューヨークはチャンスをくれる。でも、何も約束してはくれない。

・グローバルなニューヨークの第二の通貨とも言うべきライフスタイル。なにかというと、音楽、映画、芸術、それに食べ物だ。ニューヨークの人たちが上下のない関係の相手と話すことといったらそういう話題なのだ。

・今日のグローバル化はあまりにも急激で容赦がなくなった。資本はものすごいスピードで、こっちからあっちへと飛び回り、一緒に職や資源も持っていく。

・世界中の貧しい人たちが、表に出ない非公式なやり方で生活をやりくりしているのを見て、お金持ちのぼんぼんたちはとりこになり、アメリカのゲットーでもそういう企業家精神を育てたいと思うようになった。

・ものごとがうまくいかなくなったとき、社会の中でどの集団よりも厳しく自分を責めるのは貧しい人たちなのだ。彼らは社会が信じろと言ったことを信じる。つまりお前らがひどい目に遭っているのはお前ら自身のせいだってことだ。

・資本主義は何でもかんでも売り物にしてしまう。でもだからといって、何でも買い手がつくとはかぎらない。何かを売ろうって人には、売れないってリスクがつきまとう。

・ほとんどの貧しい人たちを変わらない環境に放置しておいて、それで目覚ましい結果を出せなんて無茶だ。条件を変えてないのに市井一般の人たちを進歩させようなんて、冗談もたいがいにしといてくれ。

・彼らはいつも、境界の向こうを見て次に何が来るのか見極めようとしている。いつも、たっぷり儲かる話やおいしい取引を追い求めている。

・テレビでリアリティ番組の時代が始まろうとしていた。汚名と高名の違いが消え始めた。

・ああいう頭のおかしい子らって、自分らのお涙ちょうだい聞いてくれる人に会ったらもう王子様がきたって思うのさ。

・優越感には勝利が必要だ。

・家賃を払ったり将来のために蓄えたりではなく、富を築くために事業をやっている。

・誰も彼も、いつも変化の崖っぷちに立っている。出口を見つけて的を変え、負けを受け入れ、素早く手を引き、切り替える。成功するには自覚が必要なのだ。

・結局のところ、ヤクを売ったり売春クラブを仕切ったりなんてことで牢屋にぶち込まれることは、普通はあまりない。自分のやっていることをつつましくやれないのが問題なのだ。

・ゆっくり手を広げ、知らない相手とは商売しない一握りの人たちは、まず逮捕されない。だからこそ境界を乗り越えようとすると「危険!」の声が鳴り響くのである。

・恵まれた立場の人っていうのは、やっていることのスケールを落とすのを断固として拒む。切り詰めないと生き延びられなくても、ハデに大成功できなくなるのはイヤなのだ。

・咎人たちの世界では、夢を見ているようでは決して成り上がれない。アングラ世界に一番向いているのは、己の限界を知り、市場(と警官)がどこまでは目をつぶってくれるかわかっている、自覚を持った商売人だ。

・モノを手に入れるためのお金じゃなくてお金を手に入れるためのお金って考えるようになる。将来のためのお金ね。

・10人話して1人光を見てくれたらそれでいいんだよ。

・やつがおんなじ言い方してたんだ。終わった、だ。「オレは終わった」。俺は言ったよ。「その言葉、絶対使うな。変わったって言えよブラザー。「オレは変わった」って」。

・誰もいない森で木が倒れたら、のネタを使うことにした。「本を書いて誰も読まなかったら、それってほんとに本を書いたことになる?」

・あたしらの部族には目的がない。目標はあるよ、でも目的はない。できることはっていうと、ただ続ける、それだけ。

・成功のカギは、その場その場でできた社会的な結びつきを、使ったり捨てたりする能力にある。役に立つときは利用し、役に立たなくなったら四の五の言わずにさっさと切り捨てるのだ。

・核になる事業ができればそれを支える業界が発達する。



社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた

社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた

  • 作者: スディール ヴェンカテッシュ
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2017/05/26
  • メディア: 単行本



社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた

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  • 発売日: 2017/05/26
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