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『アマゾノミクス データサイエンティストはこう考える』 [☆☆]

・分析すべき情報があまりに膨大であったため、東ドイツ崩壊時には労働人口の1%が秘密警察のフルタイム職員であったほどだ。

・18世紀には、聖書や教理問答の有名な文章を朗読できる者は、学があるとみなされた。今日ではその程度しか文字が読めない者は、現実的に学がないとみなされる。

・生データ自体はあまり役に立たない。データに価値を付与するのは、データを統合、分析、比較、選別し、新たなデータ製品やサービスとして流通させるデータ精製会社である。石油が産業革命以後の社会を支えた装置の燃料となったように、精製されたデータはソーシャルデータ革命を支えるインフラの燃料となる。

・グーグルのランキングが高いからと言って、そのページの情報が正しいとは限らない。それは単に多くの人が関心を持ったという事実を示しているに過ぎない。

・データ・リテラシーの高い人が持つべき基本的スキルの一つは、信頼できそうなデータ、信頼できなそうなデータ、およそ信頼できないデータを見分ける能力である。

・石油の精製とデータの精製には類似性がある。精製プロセスが一定の段階を過ぎると、特定の油井から掘削した原油だけを取り除くことは不可能になる。

・100年前の人々がプライバシーのために戦ったからというだけの理由で、われわれが同じ行動に出るべきではない。

・技術者の世界では、コミュニケーションの目的は情報を伝えることにある、とよく言われる。だがフェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグが直観的に知っていたように、情報の目的は人々にコミュニケーションの口実を与えることなのだ。

・リンクトインでかつて戦略プロジェクト担当バイスプレジデントだったエレン・リビーは、データを必要としている人ではなく、データを持っている人に役立つサービスを考えたことが、サイトの大きな飛躍につながったと振り返る。

・人間関係を作るのに最悪のタイミングは、何かを必要としているときだ。そうなると関係構築ではなく取引になってしまう。両者は明らかに別物だ。反対に、関係を作る一番良い方法は、下心なしに誰かを助けることだ。

・フェイスブックはニューヨーク・タイムズとは違う。読者が誰であろうと、編集者が決めた同一のニュースを読ませる媒体ではない。フェイスブックのニュースフィードのベースとなっているアルゴリズムは、情報をもらわなければ情報を提供することのできないものであることを、ジョーは理解していなかったのだ。フェイスブックは「出来合いの」サービスではない。

・研究者が近況アップデートで使われる言葉を分析したところ、ある都市で雨が降ったことで生じた否定的感情は、その人物のソーシャル・ネットワークを通じて拡散していき、からっと晴れた都市にいる友達の投稿の感情表現にも影響を与えることがわかった。

・誰かを信頼しているというのは、その人物の過去の振る舞いから行動パターンを予測でき、そのパターン通りに振る舞うだろうと期待できることを意味する。通常、誰かを信頼するというのは、その人物が将来にわたってあなたに「好意的に」振る舞う、そしてあなたの利益に配慮した行動をとると考えられる場合である。

・コンテクストとして特に重要なのは「過去」と「ピア(仲間)」である。昔の自分と今の自分、あるいは自分と他の人々の違いを比較することで、初めてデータに意味が生じる。

・少なくとも先進国では100歳まで生きる人もいるのに対し、企業の寿命はそれほど長くない。政府も個人情報を守ることにかけては実績が芳しくないし、方針が変更することもある。どちらも100年、もしくは遺伝情報のように世代を超えて使われるデータをガバナンスする組織としてふさわしくない。



アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える

アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える

  • 作者: アンドレアス ワイガンド
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: 単行本



アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える (文春e-book)

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