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『オフショア化する世界』 [☆☆]

・今や、オンショアにとどまっているマネーの方が例外的に見えなくもない。そのようにしているのは、いまだに税金を払い続けわずかな金しか持たない「庶民」のみなのである。

・公海上にある限り、パナマに登録された船舶は、パナマの法律だけを認識しておけばよかった。

・超富裕層のとる軌道を、さほど裕福ではない人たちから実際に分離することによって、プライベートジェットのシステムは、身体的な移動の排他的な空間を創出し再生産するのである。

・超富裕層にとって、贅沢はライフスタイルではなく、必要条件である。

・訪問客が危険を感じながらオフショアを手に入れるのを助けるために、「危険な旅行」のためのガイドブックさえある。近年、貧困ツアーは、本当にビッグビジネスとなった。

・石油輸入量世界第2位の中国は、戦略上の石油備蓄が2週間分しかないため、石油タンカーが途切れることなく確実に入港するようにしなくてはならない。

・既存の機器は4Gで作動することができない以上、その多くは廃棄されるほかない。4Gは、現在世界中で使用されている50億台の携帯電話を含む、すべてのハードウェアの入れ替えを引き起こすだろう。

・戦争の大義名分は理想や正義や経済的繁栄に求められるのではなく、原初的な政治的なるものの実存に向けたものとしてある。個々の政治体、そしてそれらが有する兵器は敵の存在を前提としているのである。

・多彩な愛情や友情からなる友達未満(semi-friend)が無数に存在するこのモバイルな世界で、誰を友と呼んだらよいのであろうか。彼(彼女)らは友だちでいてくれるのだろうか。

・子供時代をビデオゲームで過ごし、どれだけの「敵」を殺したかを点数化されてきた「操縦士」は、実在の人間を監視したり殺害し終えたなら、、気分転換のビールを飲みに自宅へと戻るのだ。

・ドローンは、「英雄不在(post-heroic)」の時代と呼ばれる現代、殺人という人間にとって重大なことをオフショア化した。

・「アルゴリズム化された防犯装置」は、日頃の通勤や航空機のチェックイン作業を軍事的行動に近づけつつあり、敵味方の区別を前提にしたアーキテクチャーによって操作されている。

・海には、数えきれない危険と同時に、知られざる富があるのだ。地球とは、まさに「海の世界」なのである。70億の人間は、その表面の4分の1に過ぎないところにいる。

・オフショアにするということは、陸からは見えない水平線の彼方の、人目にはわからないところにやってしまうことを意味している。

・水際に立てば、水平線はわずか3マイル先にあり、海洋面の大半は水平線の彼方である。

・過剰な財やサービスは、まさに「無駄」なのである。そこではカネが、テレビの買い替え、不必要な着ない服、エキゾチックな島への旅行、たくさんの使いもしない玩具、過度に高く(低く)設定された室内温度などに費やされている。

・既存の現実と戦うことでは物事は変わらない。何かを変えたければ、既存のモデルが古ぼけて見えるような新たなモデルを作りだせ。



オフショア化する世界――人・モノ・金が逃げ込む「闇の空間」とは何か?

オフショア化する世界――人・モノ・金が逃げ込む「闇の空間」とは何か?

  • 作者: ジョン・アーリ
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2018/09/12
  • メディア: 単行本



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