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『世界をつくった6つの革命の物語』 [☆☆]

・グーテンベルグの印刷機は、眼鏡需要の急増を引き起こした。読書という新しい習慣のせいで、大陸中のヨーロッパ人が突然、自分は遠視だったと気づいたからである。

・ガラスのない世界では、近代的発展の根拠、すなわち、細胞やウイルスや細菌の理解によって延びた寿命、何が私たちを人間たらしめてかに関する遺伝子の情報、宇宙における地球についての天文学者の知識、すべてが打ち砕かれる。

・世界貿易の歴史は、ある環境ではありふれている産物を、それがめったにない場所に運ぶことによって、莫大な富を築けることをはっきり実証している。

・鳥を広口瓶の中に入れて、真空ポンプで空気を吸い出した。ボイルが推測したとおり鳥は死んだが、おかしなことにさらに鳥は凍りついた。

・電話はあまり目立たない変化も可能にした。「ハロー」という言葉の現代的な──会話を始める挨拶としての──意味を世に広め、地球上のどこでも認識される言葉のひとつに変えた。

・AT&Tは電話サービスの独占維持を許されるが、ベル研究所によって生み出された特許発明はどれも、それを有益と考えるアメリカ企業に無償で使用権を与えなくてはならず、新たに取得する特許は安価な料金で使用を認めなくてはならない。事実上、政府は、AT&Tに対し、利益を守ることはできるが、その代わりアイデアは提供しなくてはならないと告げたのである。

・受話器に向かって誰かが話して音波を発生させると、それが電気パルスになり、電話の向こうで再び音波になる。言ってみれば、音は私たちが感じるものの中で初めて電化したのだ。

・文化的イノベーションはときとして、新しいテクノロジーを思いがけない用途に利用することから生まれる。

・だいたいにおいて、テクノロジーと科学の進歩の隣接領域が、次に発明できるものを決定する。あなたがどんなに賢くても、音波発見の前に超音波を発明することはできない。

・クリーンルームに入る前に体をきれいにするときには、石鹸を使うことさえ許されない。たいていの石鹸に含まれる香料は、汚染物になりかねないものを放つからだ。クリーンルームにとっては、石鹸さえ汚すぎるのである。

・あらゆる余分な「汚染物質」を除去されたいわゆる超純水は、マイクロチップにとって理想的な溶剤である。しかしそのような成分が欠けているせいで、超純水は人間の飲用にはならない。コップ1杯を一気飲みしたら、その水があなたの体からミネラルを吸い取ってしまう。

・いまや時は金なりであって、ただ過ごすものではなく、何かに使うものなのだ。

・エジソンは、私たちが今「ベイパーウェア」と呼ぶものの名人であった。競合他社を追い払うために、存在しない製品を発表したのだ。

・さまざまな分野の専門知識の「異系交配」が達者である。それが専門家ではない愛好者の強みだ。

・さまざまな知的分野を混ぜ合わせるには、そのすべてが書斎やガレージに散らばっている方がだいたい好都合である。



世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史

世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史

  • 作者: スティーブン・ジョンソン
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2016/08/05
  • メディア: 単行本



世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史

世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史

  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2016/08/05
  • メディア: Kindle版



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『50 いまの経済をつくったモノ』 [☆☆]

・庶民の生産できるものが増えれば、権力者が搾取できるものも、その分増える。余分な食料ができると、支配する者と支配される者、使う者と使われる者が生まれ、狩猟採集社会では見られない富の格差が生まれる。

・ラッダイトたちは機械に仕事を奪われることを恐れていたわけではない。低コストで熟練度の低い労働者に機械が力を与えて、自分たちの仕事を奪うのではないかと恐れていた。

・世界最高の歌声を家で聴けるなら、わざわざお金を払って、それなりでしかない歌を聴きに行くだろうか。少しだけ劣るアーティストは、安定した暮らしを送れなくどころか、食べるのにも困るようになった。資質のわずかな差で、報酬にきわめて大きな格差が生まれるようになったのだ。

・アーティストたちはアルバムを売る手段としてコンサートチケットを使うのをやめて、コンサートチケットを売る手段としてアルバムを使うようになっている。

・上位1%のアーティストのコンサート収入は、下位95%のアーティストの収入を合計した額の5倍を超える。

・最富裕国では、移民やってくると既存の国民の6人に5人は暮らし向きがよくなるという。今、メキシコ人の集団がアメリカに渡ってきて、アメリカ人よりも安い賃金で果物を収穫する仕事を進んで受け入れるとしよう。すると、全員が果物をほんの少しだけ安く買えるようになるが、そのせいで仕事を失うアメリカ人もいる。メリットは広く薄く行き渡りすぎて誰も気に留めないが、失業した人は、自分はこんなに不幸だと声を大にして訴える。

・世界のロボット人口は急激に増えている。ロボットの「出生率」は5年ごとにほぼ2倍になる計算だ。

・「考えること」ではロボットが人間に勝つが、「棚からものを取り出すこと」では人間がロボットに勝つのなら、ロボットの頭脳を使って人間の体をコントロールすればいい。

・ピルが解禁されたのは1999年になってからだった。同じ避妊薬を使えるようになるまでに、日本の女性はアメリカの女性よりも39年も長く待たなければならなかったのだ。それなのに、勃起不全治療薬のバイアグラがアメリカで認可されたときは、ほんの数か月後に日本でも認められている。日本は男女間格差が先進国で一番大きい国として広く知られている。

・レジャーカーは、それに乗っている人の趣味や洗練度を雄弁に語ります。古びたレジャーカーに乗っているというのは、老いた馬に乗っているのと同じで、財力がないか、誇りがないことを触れ回っているのです。

・カラー印刷をするには、同じ紙に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクで4回刷らなければいけない。その間に湿度が変わると、紙がわずかながら伸び縮みしてしまう。1ミリメートルずれただけで、とても見られたものではなくなる。

・その昔、劇場は夏に閉鎖されることが多かった。息苦しいほど暑い日に劇を観たいという人はいない。

・人の生産性は18~22度でピークになる。

・買い物はずっと、社会的表示と深く結びついていた。上流階級にとっては、そこは見るだけでなく、見られる場所でもあった。

・グローバリゼーションを可能にした最大の要因は、たぶん自由貿易協定ではなく、ある単純な発明だろう。幅8フィート(2438ミリ)、高さ8.5フィート(2591ミリ)、長さ40フィート(1万2192ミリ)の波板鋼板製の箱。そう、輸送用コンテナだ。

・コンテナ革命の恩恵は、すべての港に届いているわけではない。貧しい国の多くの港は、今も1950年代のニューヨークさながらだ。サハラ以南のアフリカは特に、インフラが貧弱なせいで、世界経済からほとんど切り離されている。

・頭のイカれた独裁者が君臨し、冷酷な外国資本に支配されている貧しい国をさす言葉がある。「バナナ共和国」だ。

・バセット主教があなたから5ポンド借りていることを示すタリーを持っているとしよう。すると、バセット主教が借金を踏み倒す心配がないかぎり、そのタリー自体が5ポンドに近い価値を持つようになる。タリースティックは一種のお金になった。そう、貨幣とは債務なのである。

・組み立て作業を顧客にアウトソースすることが、フラットバックを安くする唯一の方法だったのなら、確かにそうかもしれない。しかし、それ以上にコスト削減効果が大きいのは、そう、輸送だ。

・デザインを見直し、そのおかげで梱包のサイズが半分になり、ソファを工場から倉庫に、倉庫から店舗に運ぶために必要なトラックの数が半分になった。そうして価格を15%弱下げることができた。

・イケアは、マグの高さを変えれば、ルーマニアにあるサプライヤーの窯のスペースをあと少しだけ効率よく使えるようになることに気づき、デザインを変更した。その結果、ルーマニアの窯から店舗の棚に輸送するコストが2分の1になった。

・現代経済のイノベーションとは、最先端の新しいテクノロジーを生み出すことばかりではなく、退屈に感じるまでに効率的なシステムを生み出すことでもある。

・コンサルタントは契約延長を勝ち取るために新しい問題を次々と見つけてくる。蛭のように、一度食らいついたら二度と離さない。これは「上陸・拡張(ランド・アンド・エクスパンド)」戦略と呼ばれるやり方だ。

・アメリカにおけるアマゾンの「ワンクリック」特許は、ボタンを1回クリックするだけでインターネット上の商品を買えるようにするという、斬新さの欠片もないアイデアを保護するものだ。

・人口50万人の都市には馬が10万頭いたはずで、その1頭1頭が毎日15キログラムの糞と4リットルの尿を通りに撒き散らしていた。安価で信頼性が高い小型エンジンで馬を置き換えられるなら、これほどありがたいことはなかった。

・ラジオ放送が始まって時報が流れるようになる前には、ロンドンに住むベルヴィル一家が、1世紀にわたって時間を売る商売をしていた。毎朝グリニッジで標準時に腕時計を合わせ、ロンドンにいる客にその時計を見せて、わずかな料金を取るのである。

・年間1億6000万トンのアンモニアを生産できる環境をつくるために、ハーバー=ブッシュ方は世界のエネルギー総量の1%以上を消費しており、そうして作られたアンモニアの大半が肥料を作るのに使われる。

・古い世代にとっては、「プラスチック」は大きな可能性を秘めた現代的な素材だったが、若者にとっては、まがいものの安っぽい代用品でしかなかった。

・国家と市場は美しいダンスを踊り続けている、国家は、ときに一歩前に出て、ときに一歩後ろに下がり、ときに全員のつま先をぎゅっと踏みつける。

・アメリカで有鉛ガソリンが禁止された時期は州によって違う。そこでレイズは、大気汚染規制の導入時期とその後の犯罪データを比較した。そして犯罪率の低下の半分以上(56%)は、車が無鉛ガソリンに切り替わったことによるものだと結論づけた。

・ショートメッセージで支払いができるモバイルマネーの登場で、発展途上国の経済のあり方が変わっている。

・既存の典型的な銀行システムは非常に非効率で、人口の大半占める低所得者層と取引して利益を上げるのは難しい。

・現金での取引は汚職を助長するだけでなく、脱税するにも都合がいい。所得を追跡できるようになると課税もされる。モバイルマネーがもたらすもう一つの大きな約束がそれである。経済のグレーゾーンがなくなって、課税ベースが拡大する。

・法的に認められた所有権があるかどうかで、私の家が資産であるか、「資本」であるかが決まる。資産とは、私が所有しているものであり、資本とは、金融システムが認識している資産である。

・不動産登記の手続きが簡素で迅速な国ほど、腐敗とグレーマーケット活動が少なく、信用と民間投資が多い傾向が世界的に認められる。

・スクリーンをスワイプするより、紙の本や新聞をめくるときのあの感じがいいという人は今も多いが、デジタル流通コストが大幅に下がっており、安い方の選択肢が選ばれるようになっている。

・バフェットは妻に宛てて書いた手紙の中で、自分が死んだ後にはどう投資すればいいか伝えている。内容はこうだ。考えられるかぎり一番つまらない投資先を選べ。
非常に低コストのS&P500種インデックス・ファンド」にほぼ全額投資するように。

・中国は2008年以降の3年間で、アメリカが20世紀を通じて使った量を上回るコンクリートを流し込んでいる。そのコンクリートが厳格な基準を守ってつくられているとは、誰も考えていない。

・今から100年間には、世界の平均寿命はわずか35歳だった。私が生まれた時は、60歳だった。それが最近では、70歳を超えている。

・世界で極度の貧困状態にある人々の割合は、200年前には約95%だったが、50年前には約60%になり、今では約10%に下がっている。



50(フィフティ) いまの経済をつくったモノ

50(フィフティ) いまの経済をつくったモノ

  • 作者: ティム・ハーフォード
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2018/09/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



50(フィフティ) いまの経済をつくったモノ

50(フィフティ) いまの経済をつくったモノ

  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2018/09/21
  • メディア: Kindle版



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『七つの試練 池袋ウエストゲートパーク14』 [☆☆]

・トラブルを抱えた有名人をてのひら返しでたたくのが、庶民の最高のエンターテインメントになったのだ。

・人のスキャンダルを無制限に楽しむのは、そろそろやめた方がいいんじゃないか。人のスキャンダルは上品にたしなむ程度にしておいた方がいい。

・壁もソファも真っ黒。テーブルだけ真っ白で宙に浮かんでいるように見える。

・ニュースが真実でも、そいつを認めたくない場合、相手の評判を落とせばいい。

・20代のうちに結婚できるのは、大企業に勤める正社員か、資格もちの士族さまと決まっている。あとは勢いだけで突っ走るヤンキーの「おれたちに明日はない」結婚。

・女ってみんな占いとか、神さまとか、運命って好きだよな。同じように自分が巻き込まれ暮らしの形を変えられてしまうかもしれないのに、国際政治や為替や長期金利なんかにはまるで無関心。

・相手は片目で見るくらいじゃないと、他人と一緒には暮らせない。

・日本人の音への鈍感さが顔をだした。ホームやエスカレータのアナウンス、商店街でかかる安い音楽、街をいく街宣車や広告トレーナーが撒き散らす大音量のノイズ。どれも音に対する感覚が鈍くなっているから、許される耳への暴力だ。

・大きな力がどこかにあって、それが動くときは、人によい影響も悪い影響も同時に及ぼすものだ。

・思えば火を発見して焼死が生まれ、自動車を発明して交通事故が生まれるのと同じように、ネットが生み出した死が俺たちの時代には確実にあるのだ。「いいね」死、「炎上」死、「配信」死。

・価値観を同じくする同世代から受ける賞賛の「いいね」。人間は社会性を持つ生き物だから、麻薬のような酩酊と万能感をもたらすだろう。

・世の中の幸せと個人の幸せっていうのは別もんなんだよ。

・やつの一番の強みは何か。きっとその強みのかげにやつの弱点が隠れているはずなのだ。



七つの試練 池袋ウエストゲートパークXIV

七つの試練 池袋ウエストゲートパークXIV

  • 作者: 石田 衣良
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/09/14
  • メディア: 単行本



七つの試練 池袋ウエストゲートパーク14 (文春e-book)

七つの試練 池袋ウエストゲートパーク14 (文春e-book)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/09/14
  • メディア: Kindle版



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