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『人は、誰もが「多重人格」 誰も語らなかった「才能開花の技法」』 [☆☆]

・演じている自分、それを観ている自分、そして、その二人を、少し離れたところから見つめている自分がいる。

・数学者の「数学的思考」の奥には、緻密で論理的な思考を好む「人格」があります。時計職人の「手先の器用さ」の奥には、微細で正確な作業を楽しむ「人格」があります。もとより、「才能」と呼ばれるもののすべてが「人格」ではありませんが、通常の「才能」と呼ばれるものの大半は、「人格」が占めているのです。

・言葉というものが無意識に「世界を二つに分けてしまう」ことの怖さです。哲学的に言えば、「世界を分節化してしまう」ことの怖さです。

・先生が、「太郎君は、良い子ね」といった瞬間に、この言葉が、世界を「良い子」と「悪い子」に分けてしまうのです。「良い子」と言われなかった花子は、必然的に、自分は「悪い子」と言われたと思い始めるのです。

・我々が、表層意識で「ある能力を肯定する」瞬間に、深層意識では、「逆の能力を否定する」という心の動きが起こってしまうのです。たとえば、「数学は得意です」という言葉の奥に、「けれど、国語は不得意です」という思いが隠れている。

・「人格」とは、そのかなりの部分が、「生きてきた環境」「出会った人間」「与えられた経験」などによって「後天的」に「形成」される。

・自分の「人格」や「性格」について、「親から受け継いだものだから、仕方がない」や「生まれつきこうだから、変えようがない」という「強い固定観念」と「自己限定の意識」を抱いてしまい、本当は、自分の中に、新たな「人格」や「性格」を育てることができるという事実を理解していない。

・「怒りやすい人格」はそのままに、新たに、自分の中に「寛容な人格」を「育てる」ことです。

・「ある人格を演じる」ということと、「ある人格を育てる」ということは、同じことなのです。

・「苦手な仕事」、すなわち「自分の性格に向いていない仕事」に取り組むことは、必然的に、自分の中の「隠れた人格」を開花させることになる。

・「経験」を、心の中で振り返り、深く見つめ、そこで何を学んだかを反省すると、それは「体験」と呼ぶべきものに深まっていきます。

・「詩」というのは、「理屈」で書くものではないからです。自分の中の「感性」や「感覚」に従って書くものなので、「論文」や「評論」を書くことに比べれば、自分の中の「隠れた人格」が表に出やすくなる。

・「なぜか惹かれる」という感覚は、実は、心の奥深くの「深層人格の声」であることが多い。従って、日常生活や旅行において、「なぜか惹かれる」と感じた風景や人や物を写真に撮り、ブログなどに載せていくことは、自分の中の「隠れた人格」の発見になることがある。

・ネットの世界で「匿名」で自己表現をすることは、「隠れている人格」を「解放」するためにも大切ですが、それ以上に大切なことは、その「深層人格」を、少し離れた立場から「観察」することなのですね。

・自分の中にある「好きになれない人格」を抑圧していると、他人の中にその「好きになれない人格」を見た時、嫌悪感が増幅される。

・他者への嫌悪の本質は、自己嫌悪である。

・学生に「文学を読め」と勧めたのは、その小説の主人公の生き方や心の動きを通じて、「人間像」を広げ、「人間観」を深め、真の「教養」を身につけさせるためだったのですね。

・「悪人」を演じるときは、その人間の「善き部分」を見つめて、演じよ。「善人」を演じるときは、その人間の「悪い部分」を見つめて、演じよ。

・経営者として大成する人間は、悪いことができて、悪いことをしない人間だ。

・自分の中の「悪の部分」を見つめることも、大切な意味がある。その「悪い部分」を知っているからこそ、それに流されない「強さ」も生まれてくる。

・同僚が先に昇進して、それを妬む「エゴ」の動きが自分の心の中に芽生えたとき、それを、「ああ、こんな妬みを持ってはいけない」と抑圧するのではなく、「ああ、自分の心の中の「エゴ」は、同僚の昇進を妬んでいるな」と、ただ、静かに見つめることです。抑えるのでもなく、煽るのでもなく、否定するのでもなく肯定するのでもなく、文字通り、「静かに見つめる」のです。



人は、誰もが「多重人格」 誰も語らなかった「才能開花の技法」 (光文社新書)

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