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『日本のポップパワー』 [☆☆]

・ポップカルチャーの発達は、優れた作家を輩出するメカニズム以上に、そのオーディエンス層の厚さに依拠するものである。

・アメリカでの日本アニメの市場規模43.6億ドル(2002年)は日本からの鉄鋼製品輸入の3.2倍になる。アニメの経済貢献は鉄鋼の3倍というわけだ。

・アニメのビジネス関係者は「世界にファンが増え、通信ネットワークでいつでもコピーを受配信できるようになった今、利益機会を守るためにはテレビ番組なら世界同時放送、映画は世界同時公開しか手がない」と語る。

・エンターテインメントよりもケータイ通信料に支出するという行動は、プロのつくったコンテンツよりも、友達や家族など身近な人とのコミュニケーション、すなわち素人のコンテンツに魅力を感じているということでもある。

・ポップカルチャー、大衆文化は、しばしば流行りすたりものとして語られがちだが、世界性を獲得した後は時代を経るごとに文化的な存在感が増していく。

・アメリカでは、クラシックと並ぶ世界的な音楽ジャンルとしてジャズの文化的地位を確立するために、ジャズの故郷ニューオリンズでは毎年大イベントが開催されている。

・子供が絵日記に「ぬいぐるみと遊んだ」と書くと、母親や教師は「ぬいぐるみで遊んだ」と書くようにと注意するだろう。大人にとって、人格のないぬいぐるみは遊ぶ道具であって、友達ではない。しかし子供にとって、ぬいぐるみが語りかけてくる仮想世界の住人になることこそが、ファンタジックな遊びなのだ。

・フランスでの日本のアニメのもっとも初期のヒットは「ゴルドラック」(日本名「グレンダイザー」)である。

・耐久消費財市場では、新商品は普及率10%を超えたあたりから急速に売れ行きが伸びる。



日本のポップパワー―世界を変えるコンテンツの実像

日本のポップパワー―世界を変えるコンテンツの実像

  • 作者: 中村 伊知哉
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 2006/05
  • メディア: 単行本



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