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『ロケット開発「失敗の条件」』 [☆☆]

・旧軍は、勝ちいくさにはめっぽう強いが、いったん負けるとひじょうに弱い。

・「失敗」は、ひじょうに断定的です。ささいなミスによるものから、重大な問題をふくむものまで、全部ひと言で片付けられてしまいます。

・よく「技術立国」といわれますが、誤解があると思います。新しいモノを開発する技術力で利益をあげるのが「技術立国」です。しかし日本の工業体制は、ラインの製造によって利益をあげてきた「製造立国」です。そういう「開発」と「製造」の違いを、政治家や経済学者はもちろんのこと、マスメディアもいまだに理解していません。

・鉄道の運行における事故は、ほとんどの場合、人間がからむんです。

・防衛庁の航空自衛隊でもあります。新型機のテストや、新たに開発した搭載機器の試験などは、能登半島のGエリアと呼ばれる空域でやります。しかしこのあたりの海には、国籍不明の漁船が、頻繁に出てくるといいます。

・日本人は、経済の話になると熱心ですが、そのモトとなっている科学や技術に関してはあまり関心がないというか、大切だとは感じていても、他人事のように扱っている。

・オープンであることと、セキュリティがないことは、別だ。

・ヒドラジンと四酸化二窒素というのは、そもそもミサイル燃料です。常温でいつまでも貯蔵できるので、個体ロケットと同じようにいつでも打つことができる。

・まずは誉める文化と、まずは説教する文化の違いかもしれませんね。日本人は、説教や叱責が大好きだし、それが思いやりだと信じ込んでいますから。下手をすると、説教されてカネを払わされてしまう風土です。

・金具を落とした作業員を叱ったりしないで、落ちた金具を発見した人を誉めて表彰したんですよね。それをまた公表したんですから、隊員の意気は上がりますよ。

・何でもいいからとにかく批判する側にまわり、何でもいいからとにかく謝罪する側にまわるというのは、あまりにも次元が低すぎますよ。テレビで見ている方が、何だか恥ずかしくなります。

・日本では原因究明よりも責任追及の方に重みがありますからね。

・技術屋って、そういうところがあるじゃないですか。自分の専門に関係した部分になるとあれこれ口を出すけど、ちょっと違う部分とか自分が知らない分野については、素直に知らないといえないところが。

・技術屋出身の行政官というのは、自分が理解できないと上に説明できない。理解できないなら専門の人に聞けばいいのに、素直じゃないからいつまでも粘るわけです。

・アマチュアは物事を複雑にする。

・政治家は、明けても暮れても構造改革とはいうものの、家の中に今まであった家具の配置がえしているだけですから。

・なぜかこの国は、首相の無策ぶり、政治家の失策、経済政策の失敗については声高に責任を問わないのに、科学技術については過剰なまでの反応をしますよね。

・永田町は、世間の流れよりずっと遅れているが、実はこうして政治について語っているわれわれやメディアの人たちも、いつの間にか遅れていたんじゃないだろうか。実は国民の方がずっとすすんでいるんじゃないか。

・個人で論文を書いても、会社の名前ばかりが表に出てきて、個人が表にあらわれない。名前を出す時でも、実際にやった人の上に、会社の上役の名前が並び、その一番上に、事業団でカネを出した、いわゆる担当者がくるんですよ。研究発表というのは、本当は「個」の話です。そういう個の話ですら薄められて、みんなでやった、仲良くやったというふうな話に、全部すり替えられてしまうんです。

・日本の自衛隊はミサイルの射撃訓練は国内でできません。アメリカでやっています。

・人間がやっているのだからトラブルもありうる、万が一のケースもありうる、という「危うさ」に対する感覚が薄いように思います。

・「これぐらいしか予算がないよ」というと、それでがんばって作っちゃうというんです。どうせ頼んでも無駄だから、あれを削りこれを削り、無理して作る。そうすると役所の方が、なんだこの額でもできるんじゃないかと、また予算を削ってくる。

・内閣法制局は、「軍事」に利用されるおそれがあるとして、輸出を認めなかった。日本製ビデオカメラのCCDが、湾岸戦争のミサイルに使われているのに、商業衛星打ち上げ用のエンジンを認めないというのは、おかしいですよ。

・日本政府が、「日本の技術が軍事用に使われているといっても、それはごく一部の小さな部品にすぎない」と釈明しても、世界のどこの国も認めないでしょう。部品が大きいか小さいかなんて、冷蔵庫とCPUを比べるようなもので、笑い者になってしまう。



ロケット開発「失敗の条件」―技術と組織の未来像 (ベスト新書)

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  • 作者: 五代 富文
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2001/06
  • メディア: 新書



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